トレイルランニングという言葉がまだ市民権を得ていなかった2007年前に産声を上げた「Madarao Forest Trails 50km 斑尾高原トレイルランニングレース」。プロトレイルランナーの石川弘樹氏がはじめて全面的にプロデュースした大会です。
第1回大会は定員に満たなかったそうですが、徐々に人気が高まり、現在ではエントリーすることが第0関門と呼ばれるほどになりました。その人気の秘密は「よく整備され、気持ちよく走れるコース」「ランナーをもてなすホスピタリティ」にあります。トレイルランニングというよりは山岳耐久レースといった趣の大会が多かった7年前に、石川氏は「斑尾高原トレイルランニングレース」を通して走りやすい整備されたコースと充実したエイドステーションというコンセプトを、日本に根付かせてきたといっても過言ではないでしょう。ここ数年のトレイルランニング人気も高まりにも、大きく貢献している大会といえるのではないでしょうか。
大会前には石川弘樹氏によるトレランHOW TOクリニックやコースガイダンスがあり、トレイルランニングの大会にはじめて出場するランナーも、装備や走り方のアドバイスが勉強できて、安心です。
競技は一般クラス・50kmとビギナークラス・16km。一般クラスは、斑尾高原スキー場のレストランハイジをスタート・ゴールとし、斑尾山(1382m)、袴岳(1135m)、毛無山(1022m)の3つのピークをつなぐコースは、今では地元でも貴重となった美しい里山のトレイルで、よく整備されていて気持ちよく走れるコースです。エイドステーションも5箇所あり、装備も最小限で臨めます。
心配された天気も、大会当日には綺麗に晴れ渡り、気温は25度を超え、10月の斑尾としてはかなり高温となったレースとなりました。苦しい登りもありますが、そのご褒美は絶景。また、落ち葉が重なったふかふかのトレイルや、湿原の木道、時には岩場など、バリエーション豊富なトレイルが迎えてくれます。さらに、コースのいたるところに出没し、エールを送ってくれる石川氏にも元気をもらうことができます。
山ブームは依然続いていますが、その人気は一部の場所に集中しているように思えます。しかし、美しいトレイルはいたるところにあり、そこは人が使ってこそ維持できる場所が多いのです。斑尾の素晴らしいトレイルを走れるのは、一般クラス400名、ビギナークラス200名。エントリーには気合と運が必要ですが、一度は体験していただきたい大会です。
「斑尾高原トレイルランニングレース」は、環境に対する配慮も十分にされていて、森を育む「生命の森づくり」活動を続けています。大勢の選手が森林整備や植樹活動に協力し、当初植えた木々も年々成長を続けているそうです。今年は大会のスポンサーでもあるmontrail(コロンビア スポーツウェアジャパン)が斑尾高原の紅葉した森のイエローからインスピレーションを受けたスペシャルカラーのシューズ「バハダ斑尾イエロー」を発売。montrailでは、このシューズを履いて会場に来た人数分だけのブナの苗木を「生命の森づくり」に贈呈するという企画を実施。58本の苗木が送られました。
montrail「バハダ 斑尾イエロー」が大集合