TrailRunner

suunto トレイルランニング

トレイル天国カナダ・ウィスラーのシリーズ戦

北米で最も人気があるスキー場、カナダ・ウィスラー。2010年にはオリンピックも開催される今最も注目のエリアです。夏の間は恵まれた自然環境を生かし、トレイルランニングが日常的に親しまれています。全7回がシリーズ化されているトレイルランのレースには、初心者からベテランランナーまでが参加。このカナダの大自然を走るレースにクローズアップしました。ウィスラー周辺で行われるトレイルランイベントは全7回。その7レースをまとめて「シー・トゥ・スカイ トレイルランニングシリーズ」と言います。開催地はウィスラーの南に位置するスコーミッシュ(Squamish)、北に位置するペンバートン(Pemberton)、そしてウィスラーです。

whis1.jpgシリーズの第1回は5月にウィスラーで行われる「ウィスラー バレー トレイルラン」。このレースは5kmと10kmコースに別れているため、トレイルラン初心者でも気軽に参加することができます。シリーズも進むにつれてコースの難易度も上がり、第3回のスコーミッシュで行われる「ストーミー」でのレースは50マイル(約80km)と100マイル(約160km)。カナダ国内だけでなくアメリカからも多くの人が参加する人気のイベントです。

whis2.jpgシリーズ折り返しのレースは、「2010冬季バンクーバーオリンピック」のスキージャンプやクロスカントリースキーの会場になっている場所、カラハン・バレーで行われる「カラハン・クラッシャー」。第5回目は、スコーミッシュにあるアリス湖州立公園内にある四つの湖のまわりを走る「ループ・ザ・レイク」。このレースの8kmコースは、きれいな景色の中で滑らかな走りならされた道を走るので、初心者にお勧めです。一方、15kmコースはコースのほとんどがシングルトラックトレイルと呼ばれる細い山道から構成され、途中には大きな石や木の根がある場所や急な上り坂や下り坂があるハードなレースです。

whis3.jpg第6回は「ラブルクリーク クラシック」と呼ばれるレースで、コースの全長は約26km、ウィスラーにあるガルバルディ州立公園の中を通り、有名な観光スポットであるブラックタスクと呼ばれる山の麓を走ります。このコースの特徴は標高差。スタートから標高約1800mのポイントまで950mの標高差を、およそ10km走り上がり、そこから一気に約1300mの標高差を16km下るのです。最終戦の第7回目は、ウィスラーの北部に位置する町ペンバートンで行われる「ランピーズ・エピック」です。コースは全長10km。森の中を走ったり、ごつごつした岩だらけのコースを走ったりと、トレイルランの醍醐味を味わえるトレイルです。またコースはワンマイルレイクという湖の近くなので、とてもきれいな風景を楽しみながら走ることもできます。

「シー・トゥ・スカイ トレイルランニングシリーズ」には、初心者からベテランランナーまで多くの人が参加し、トレイルランニングを楽しんでいます。また、このトレイルランニングシリーズでは全イベントを通してポイントを稼ぎ、最終イベント終了後に獲得ポイントの多い上位数名に賞品が贈られます。これもレースに参加する楽しみの一つであり、参加者達は豪華賞品を目指して多数のレースに参加し、ポイントを稼ぎます。そして、シリーズ化されていることにより参加者同士の交流が深まり、トレイルランニングの輪が広がっていくのです。

CSBAトレーナープログラムの生徒、水野泰晴さんは、2008年のトレイルランニングシリーズに参加し、次のように言っています。

whis4.jpg「私が参加したのは第2回の『コンフォタブリー・ナム』で、800mの標高差を10回以上も上り下りを繰り返しながら走る難易度の高いレースでした。それでも参加者の年齢層は10代後半から60歳くらいまでと、かなり幅広い年齢の方々が参加していました。コースの途中には川を渡る橋や、苔が一面に生え神秘的な深緑に囲まれた森などがあり、経験できただけでも参加する価値はあったと思います。また、レース中の休憩ポイントとゴールでは、ドリンクやフルーツ、ベーグル、ケーキが食べ放題。こちらも楽しめました」
 
彼のレース結果は3時間20分。これは平均的な記録だそうです。ちなみに1位の人はそれより1時間以上早い1時間55分。シリーズ常連参加のベテランランナーなのでしょう。最後にゴールした人も4時間20分と自分のペースでトレイルランニングを楽しんでいたようです。 休憩ポイントでイベントスタッフとの会話を楽しむ人や、一度も止まらずにゴールを目指す人など、楽しみ方もそれぞれ。しかし、ゴールをすると参加者同士がレースを話題に盛り上がり、とても楽しそうにしていたのが印象的でした。これもまたイベントに参加するということの大きな魅力でしょう。


竹内天平、金沢次郎=文 竹内天平=写真
カナ