2014年にデビュー以来、スタイリッシュで快適なトレイルランニング用バックパックとして累計10000個を販売し、不動の人気を確立している「RUSH(ラッシュ)」シリーズ。
2019年春に待望のフルモデルチェンジが行われるとの話を聞き、PAAGO WORKS(パーゴワークス )の本社にお邪魔して、代表の斎藤徹さんにお話をお伺いしました。
ブランドの設立は2011年ですが、トレイルランニング用のバックパック制作の原点は1994年にまで遡ります。「第2回ハセツネCUP」の出場に際して、納得のいくバックパックが見当たらず、自作したことから始まります。
「当時、市場には納得のいくバックパックがなかったんです。プロダクトデザイナーをしていたこともあり、それなら自分で作ってしまおうと」
デザイン会社に6年勤め、1998年にプロダクトデザイナーとして独立。2003年に兄とHOBO GREAT WORKS発足した後、2011年にPAAGO WORKSを立ち上げました。
目指したのはトップアスリート用ではなく、初心者やファンランナーのためのバックパック。そのための第1のポイントは、山を長時間走っても疲れない快適なフィット感と機能性。そして、日本のマーケットに合った商品創り。
このため、開発はトレイルランニングシーンを牽引するショップやコアランナーとともに行われました。
「トップアスリートの意見だけを参考にすると、マーケットニーズとかけ離れてしまう」
と考えたからです。すると、レーシングと言う目線だけではなく、様々なシーンで快適に活用するための要望が次々と寄せられたのです。
フィットに関しては、日本人の骨格をベースに設計できるので、ジャパンブランドとしてのアドバンテージがあります。しかし、フィットするだけでは片手落ち。走っているうちに部分的な当たりが出ると不快感になってしまいます。
「レーシングベストは軽量化のためにショルダーハーネスにパッドをつけないものが多いのですが、あえてパッドをつけました」
しかし、パッドの両サイドに縫い目が露出していると、結局そこが当たりにつながってしまいます。そこで、内縫いと呼ばれる縫い目が外側に出ない製法を採用することで、最高のフィット感を手に入れたのです。
コンパートメント(荷室)にもこだわりが詰まっています。まず驚くのはマチがないこと。伸縮性が高い素材を採用することで、装備が少なくてもダボダボにならずに、ぴったりとした状態を維持できますが、問題となるのは揺れでした。
「『RUSH』の開発は揺れとの戦いでした」
と、語るほど大変だったようです。 ファスナーの位置や内部の補強など、いくつものプロトタイプを作り納得のレベルまで水準を引き上げたそうです。
もう一つの大きなポイントはスタイリッシュなデザインにすること。レースの時しか使えないような奇抜なカラーリングは避け、トレイルから街へ戻ってもそのまま使えるようなシックなカラーリングを採用しました。
「みんながみんな常にレースで使っているわけではないですからね。普段の生活に溶け込めるバックパックを作りたかったんです」
こうして2014年にリリースされたのが「RUSH」でした。ベストラップと名付けられたフィッティングは多くのトレイルランナーに受け入れられ、ヒット商品となりました。そして、2019年、ついに「RUSH」のセカンドジェネレーションがデビューします。
ファンランナーのために作った「RUSH」でしたが、発売以来年月が経過し、成長したユーザーのニーズに応える、さらにはエリートランナーにも供給できる商品の必要性を感じていたことがラインナップに反映されています。また、「RUSH」の発売以来続けてきた「TRY ON RUSH」という試着イベントで寄せられた様々な意見もフィードバック。そして何より、今回のニューモデルは、斎藤さん自身がデザイナーとして最高の商品を作ってみたいというチャレンジでもあったとのこと。
「新しい『RUSH』シリーズはラインナップ全体を見直し、日々のトレーニングからレースまでより幅広い用途に合わせて選択できるようになりました」
もちろん全モデル、一から設計し直しています。トレイルランニング用のモデルはショルダーハーネスの形状を見直し調整幅を拡大、フィット感を高めました。また、素材は2wayストレッチメッシュに変更し、装備が揺れにくくなり安定性が高まったと同時に軽量化と速乾性を実現しています。
カラーも一新、洗練されたミッドナイトと、山に映えるスカイグレーの2色展開です。
中でも注目は、初のベストタイプとなるレーシングモデル「RUSH 5R」。詳しくは次のページでご紹介します。
2019 RUSH ニューラインナップの紹介は次のページで!