THE NORTH FACE(ザ・ノース・フェイス)のトレイルランニングシューズ「VECTIV(ベクティブ)」は、2021年のデビュー以来アップデートを重ね「VECTIV 3.0」に進化。2025年3月に「Summit VECTIV Pro 3(サミット ベクティブ プロ 3)」「Summit VECTIV Sky 2(サミット ベクティブ スカイ 2)」「VECTIV Enduris 4(ベクティブ エンデュリス 4)」の3モデルを発表しました。

そこで、「VECTIV 3.0」の進化のポイント、そして各ニューモデルの詳細について、THE NORTH FACEのフットウェア担当である吉村憲彦さんにお伺いしました。
常に進化し続ける「VECTIV シリーズ」
ーー まずは「VECTIV」の基本コンセプトから教えてください。
吉村 「VECTIV」とはVelocity=速度とeffective=効率的の二つの単語の組み合わせた造語です。つまり「VECTIV」のコンセプトは、速く、遠くに、効率よく移動でき、アスリートのパフォーマンスを最大限に発揮させるということになります。
ーー 基本的なシューズの構成について教えてください。
吉村 3Dのプレート採用していること。ロッカー形状のミッドソール。そして、アウトソールはオリジナルのサーフェスコントロールというラバーを使用しているところが基本的な構成になります。これは初代の「VECTIV」から変わっていません。
ーー 一番気になる3Dプレートについて、詳しく教えてください。
吉村 ミッドソールのリバウンド性が高いので、プレートには反発力の他に安定性を高めるという役割も与えています。プレートはかかとからつま先までフルレングスでインサートされています。モデルによって形状は多少違いますが、前足部はウイング形状になっていて外側にはみ出しています。これによってミッドソールの変形を抑えて安定性が向上しています。前モデルの「VECTIV 2.0」ではかかとが足首側に立ち上がったような形状をしていましたが、「VECTIV 3.0」ではその部分を取り除いて軽量化を図りました。
ーー モデル毎にプレートの素材が違うのは前昨と同様ですね?
吉村 そうですね。それに加えて今回のニューモデルはどれも大きく進化している点に注目してください。

スタックハイト7mmアップ+ダブルプレート
Summit VECTIV PRO 3
ーー それではモデル毎の説明をお願いします。まずはフラッグシップの「Summit VECTIV PRO 3」から。
吉村 ロングディスタンスに対応しながらも、どちらかというと反発が好きなランナーにおすすめしたいシューズです。ソールの厚みを最大化させて、いかにパフォーマンスを引き上げるか、という開発コンセプトの元、ソールの厚みを7mm増やしました。スタックハイトはフォアフット33mm、ヒール39mmです。
ーー 7mmとはだいぶ厚底になりましたね。
吉村 はい、その中にプレートが2枚入っていて柔らかいフォーム材をサンドイッチしています。トップのプレートはカーボンとTPUをブレンドした素材でウイング形状と中足部が上に跳ね上がるような形状で、柔らかいフォームの上で安定性を向上させます。ボトムには剛性が高く推進力を生むカーボンプレートを採用しています。
ーー プレートの役割が違うわけですね。
吉村 はい。足に近いところに反発するプレートがあると、ロングレースの後半でプレートの硬さが気になってくる方もいらっしゃると思いますが、このソールシステムだと柔らかいところを踏んで蹴り出すので、かなり衝撃吸収が高くなっています。
ーー 前作は1つのプレートで反発性と安定性を高めようとしていたけれども、今回はプレートを2枚にして役割を分けたのですね。
吉村 そうですね。
ーー アウトソールはどのようにアップデートしていますか?
吉村 アウトソールのラバーは前作と同様で、THE NORTH FACEが独自にか開発したサーフェスコントロールという素材を使用しています。ラグの高さは3.5mmと変更はありませんが、形状を変更し数も増やすことでよりグリップしやすい設計になってます。
ーー 実際に履いてみたフィーリングはどのように変わっていますか?
吉村 重量は295gで「Summit VECTIV PRO 2」と比べると少しだけ重いのですが、フィット感が高くなったので足との一体感があり、逆に重さは感じにくいです。走った印象は、かなり柔らかく感じながらも、反発性の高さを実感できます。また、接地面積が広いので安定感も感じることができます。
ーー より反発を得られるけれども、より履きやすく、疲れにくいという感じですかね。100マイルを走るアスリート以外でも使えそうですか?
吉村 そうですね。柔らかさと履きやすさが向上しているので、前作よりも使用できるランナーのレベルは広がっています。アスリートレベルではなくとも使いこなせると思います。
Summit VECTIV Pro 3
(サミット ベクティブ プロ 3)
・品番:NF02501
・価格:33,000円(税込)
・サイズ:5〜11
・カラー:ホワイトアッシュ×サルファースプリンググリーン(WS)
・平均重量:約295g(9インチ)
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厚いソールとハイグリップで、よりオールラウンドな性能に
Summit VECTIV Sky 2
ーー 次に「Summit VECTIV Sky 2」ですが、こちらは見た目からしてだいぶ変わりましたね。
吉村 ターゲットは前作と同様で、ショートからミドルディスタンスを得意とする アスリート向けのシューズです。軽量性を追求していて、前作よりも30g軽量化して約240g(27.0cm)に仕上がりました。
ーー アッパーが独特な素材に見えますが……。
吉村 TPUをブレンドした素材を採用しました。このおかげで強度を維持しながら通気性もしっかり確保することができました
ーー ソールの変更点を教えてください。
吉村 ミッドソールをEVAからDREAMフォーム(超臨界発泡)に変更し、スタックハイトも6mm高くなって、フォアフット21mm、ヒール27mmとしたことで、クッション性と反発が大幅に向上しました。また、サーフェスコントロールを使用したアウトソールラバーのラグの高さは5mmで、前作よりも1.5mm増やしたので、「VECTIV 3.0」の中では最もハイグリップなモデルとなりました。
ーー プレートはどんな形状ですか?
吉村 カーボン3Dプレートは、前作の3フォーク形状を引き継いでますが、かかと部分が立ち上がったウイング形状を廃止したため、重量も軽くなっています。
ーー 走行フィーリングはどんなイメージですか?
吉村 軽量化とグリップ性の向上により、操作性が格段に高まりました。ショートからミドルディスタンスなど、スピードを出すシーンで活躍してくれるシューズだと思います。また、厚底シューズをあまり好まない方には、「Summit VECTIV Sky 2」をメインで履いてもらうのがいいかもしれません。ランナーの走力によっては、ウルトラディスタンスでも使えると思います。もちろん、トレーニング時に履いていただくのもお勧めです。
Summit VECTIV Sky 2
(サミット ベクティブ スカイ 2)
・品番:NF02502
・価格:29,700円(税込)
・サイズ:5〜11
・カラー:ホワイトアッシュ×サルファースプリンググリーン(WS)
・平均重量:約240g(9インチ)
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初心者からウルトラトレイルまで
VECTIV Enduris 4
ーー 最後に「VECTIV Enduris 4」の説明をお願いします。
吉村 スタックハイトが4mm増してよりクッションと反発が高まった分、安定性を得るためにプレートの形状を変更しました。前作はフォーク形状でしたが「VECTIV Enduris 4」ではフォーク形状にプラスしてウイング形状を追加しています。
ーー プレートはカーボンではないですね。
吉村 はい、TPUのプレートになりますので他のモデルより柔らかいです。さらにかかとの中心部分をくり抜くことでミッドソールをダイレクトに踏むような柔らかさを感じていただけます。全体としてはかなり扱いやすいシューズになっていると思います。
ーー その他の特徴も教えてください。
吉村 ミッドソールは他のモデルと同様にDREAMフォームに変更しています。サーフェスコントロールのアウトソールはラグの高さを4mmに設定していますので、前作から比べると0.5mm高くなっています。
ーー 「VECTIV Enduris 4」はエントリーレベルでも履けるシューズですね?
吉村 ウルトラトレイルレースに出場するレベルの選手でも満足するパフォーマンスは発揮しますが、初心者の方から履ける優しいシューズです。トレイルランニングを始めたばかりの方は、グリップ力が高い方が安心するというご意見をいただいているため、ラグの高さを0.5mmアップして4mmに設定しました。接地面積も広くなっていますので安定性も向上しています。
ーー デザインも「Summit VECTIV Pro 3」に寄せている感じでカッコいいですね。
吉村 そうですね。フラッグシップモデルの「Summit VECTIV Pro 3」が気になるものの、レベル的に使いこなすのが難しいと感じる場合は、「VECTIV Enduris 4」を選んでいただくと良いと思います。
ーー ありがとうございました。
VECTIV Enduris 4/W VECTIV Enduris 4
(ベクティブ エンデュリス 4)
・品番:NF02503/NFW02503
・価格:24,200円(税込)
・サイズ:7〜11/5.5〜8
・カラー:ハイライズグレー×サルファースプリンググリーン(GS)、ヒーローブルー×サンフォグ(HS)、TNFブラック×アントラシートグレー(KA)/ライラックピーク×スモークドパール(LS)、ブライトフォーム×ミッドナイトペトロ―ル(BM)
・平均重量:約285g(9インチ)/ 約250g(8インチ)
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■スペック比較
モデル | Summit VECTIV Pro 3 |
Summit VECTIV Sky 2 |
VECTIV Enduris 4 |
プレート | TPU&リサイクル カーボン + カーボン |
カーボン | TPU |
重量 (27.0cm) |
295g | 240g | 285g |
スタックハイト (前作比較) |
33 – 39mm (+7mm) |
21 – 27mm (+6mm) |
29 – 35mm (+4mm) |
ドロップ | 6mm | 6mm | 6mm |
ラグ高さ | 3.5mm | 5.0mm | 4.0mm |
■VECTIV 3.0:https://vectiv.goldwin.co.jp/
「VECTIV 3.0」ポップアップストア
・店舗名:THE NORTH FACE RAYARD MIYASHITA PARK POPUP STORE
・場所:東京都渋谷区神宮前6-20-10 RAYARD MIYASHITA PARK North1F N109区画
・期間:2025年3月14日(金)~5月6日(火)
・営業時間:11:00~21:00
・ 面積:84.53㎡(25.57坪)
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https://www.goldwin.co.jp/tnf/run/ | |||||
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■VECTIV 3.0:https://vectiv.goldwin.co.jp/
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