TrailRunner

【THE NORTH FACE】冬のレイヤリングの主役、アクティブインサレーション・ベストチョイス

秋から冬のトレイルランニングにおいて、快適性とパフォーマンスを左右するのがミッドレイヤー選び。麓から山頂への気温差、登りでの発汗、停滞時の冷え込み——これらすべてに対応するためには、保温性と通気性のバランス、そして着脱のしやすさが求められます。THE NORTH FACE(ザ・ノース・フェイス)が展開する最新のミッドレイヤーラインナップから、レイヤリングの主役となるアイテムを「THE NORTH FACE Sphere(ザ・ノース・フェイス スフィア)」の林店長にお伺いしました。

 

東京・原宿の直営店「THE NORTH FACE Sphere」の林 秀太店長。100マイルレースを走るガチなトレイルランナーでもある。

 

 トレイルランニングはご承知の通り山で行うアクティビティです。麓から山頂に向かって走行し、移動、下降、登攀を繰り返します。麓と山頂では気温が著しく変化する上に、登りでは汗をかきやすいのでなるべくヒートアップしないように、そして停滞すると急激に冷えてきますので、汗冷え対策も重要になってきます。この多様な条件をクリアするためにレイヤリングを考えます。もちろん、着脱がしやすく、軽量でコンパクトに収納できることも大切です。

 

ーー 今回ご紹介いただくのはミッドレイヤーですが、それに合わせるレイヤリングの紹介を簡単にお願いします。

 まず、汗冷え対策として一番下に着るのがメッシュの疎水性のアンダーです。トレイルランニングは発汗量が多いため、いかに汗を迅速に処理するかが極めて重要となります。汗が肌に近接した状態で風に晒されたり、気温が低い場所へ移動したりすると汗冷えを引き起こします。これを防ぐため、肌から水分を極力遠ざける、疎水性のアンダーをベースレイヤーの下に着用します。THE NORTH FACEではポリエステルの「100 ドライ WR タンク」と、ウールとポリプロピレンの混紡の「100 ドライウールタンク」があります。タンクトップの他にショートスリーブとロングスリーブも展開しています。

 

(左)「100 ドライ WR タンク」[ M’S🔗W’S🔗 ]。(右)「100 ドライウールタンク」[ Unisex🔗 ]。

 

ーー その上に着るTシャツなどのベースレイヤーは速乾性ということですね。

 はい。速乾性の高いカットソーをベースレイヤーとして使用します。撥水アンダーがTシャツ側へ汗を押し上げてくれるため、それを素早く乾かす速乾性の高いものを選びます。

 

ーー THE NORTH FACEではどのような製品でしょうか。

 THE NORTH FACEではランニングのカテゴリーに数種類あります。一つは「ショートスリーブドライドットライトクルー」。こちらは肌面に撥水糸を使用したドライ層をもち、表面は汗を素早く吸い上げて乾かす吸水層をもったダブルフェイス構造の生地を採用しているのでアンダーなしでも肌面のドライ感をキープしてくれます。もう一つは「ショートスリーブエンデューロクルー」です。生地の肌面にドライ感を持続するはっ水糸を配置し、肌離れがいい凹凸のあるニット構造との相乗効果で、肌へのまとわりつきを軽減します。こちらは中肉厚なので夏以外の3シーズンにおすすめです。ロングスリーブも展開しています。

 

(左)「ショートスリーブドライドットライトクルー」[ M’S🔗W’S🔗 ]。(右)「ショートスリーブエンデューロクルー」[ M’S🔗W’S🔗 ]

冬のレイヤリングのキーポイントはミッドレイヤー

 

ーー それでは、今回の主題であるミッドレイヤーの選択肢についてお伺いします。どのように選定し、着回すべきか。まず種類の解説と、具体的なアドバイスをお願いします。

 走るエリアによって変わってきますが、例えば、冬でも1000m前後の山であれば、行動中は撥水アンダーとベースレイヤーの上にウインドシェルを着用すれば、走っている間は問題ないと思います。しかし、山頂などで少し停滞する際は体温が奪われます。その場合は、少し中綿が入っていてコンパクトに収納できるジャケットがおすすめです。THE NORTH FACEではVentrix(ベントリックス)という中綿を採用したジャケットをおすすめします。Ventrixは保温性を保ちつつ通気性も良いため、オーバーヒートせずにそのまま行動を続けられる点が利点です。

 

ーー 林さんは実際にどんな組み合わせで着用していますか?

 Tシャツで走っていて寒さを感じたらまずウインドシェルを着ます。それでも寒ければウインドシェルを脱いでVentrixを着用します。それでも寒ければ、その上にウインドシェルを着ています。ウインドシェルの代わりに薄く滑らかな質感のレインウェアを着用する時もあります。

ーー 気温や運動量によって細かく調整するのがポイントですね。Ventrixを使用したジャケットはいくつかあると思いますが、そもそもVentrixとはどんなものかを説明していただけますか?

 

 

 端的に言うと通気性のある化繊の中綿です。板状の綿であるため板綿と表現しています。この板綿にスリット(切れ目)を入れているのがポイントです。静止時はスリット部分が閉じていますが、アクティブに動くことで板綿がストレッチされると、スリット部分が広がり、通気性がさらに高まります。つまり、静止時は保温性を維持し、運動時はより通気性を高めてくれるわけです。

 

ーー それでは、商品の説明をお願いします。まずは「Ventrix Trail Jacket(ベントリックストレイルジャケット)」からお願いします。

 

「Ventrix Trail Jacket」。※「 THE NORTH FACE Sphere 」「 THE NORTH FACE FLIGHT TOKYO 」など一部直営店で発売中。オンラインの「THE NORTH FACE 公式ストア」では10月下旬より展開予定。

 

 

 Ventrixシリーズでは最軽量で、トレイルランニングに最も向いているジャケットです。

ーー 約135g(Lサイズ)はかなり軽いですね。

 

 メインファブリックは非常に薄いリップストップナイロン。中綿には厚さの異なる板綿が使用されています。前面は、前から風が当たることを考慮し、比較的厚さのある板綿を、背面にはより薄いものを採用しています。脇腹から脇にかけては、ストレッチ性のあるナイロンで板綿を入れていません。スタッフサックに入れると、ホットドッグくらいの大きさなので邪魔になりません。

ーー 「S/S Ventrix Run Crew(ショートスリーブベントリックスランクルー)」は半袖でユニークですね。

 

「S/S Ventrix Run Crew」[ Unisex🔗 ]。

 

 はい、こちらはベストの延長として考えていただければいいと思います。プルオーバーなので、トレイルランニングはもちろん、ロードランニングやデイリートレーニングにも使える汎用性の高さがポイントです。カットソーの上に着ても良いですが、首元のレイヤリングを考えると、ウインドシェルの上に重ねて着るのもデザインとしてはありだと思います。こちらも脇には板綿が入っていないので動きの邪魔にならない仕様となっています。身頃は「Ventrix Trail Jacket」よりも保温性があります。

 

ーー Ventrixを採用したパンツもありますね。

 「Ventrix Trail Pant(ベントリックストレイルパンツ)」です。体の中心部のみに綿を配置し、股下・膝下・ふくらはぎ裏は中綿を配置せず、軽量性と運動性を高めています。

 

「Ventrix Trail Pant」 ※「 THE NORTH FACE Sphere 」「 THE NORTH FACE FLIGHT TOKYO 」など一部直営店で発売中。オンラインの「THE NORTH FACE 公式ストア」では10月下旬より展開予定。

 

 

ーー サイドのファスナーが長くて良いですね。

 アスリートの意見を取り入れてシューズの着脱がしやすい長いファスナーを採用しました。ヒートアップした時に一気に冷やすこともできます。

 

ーー Ventrixシリーズ以外にもミッドレイヤーがありますよね?

 はい。一つは「Free Run Thermal Flow Crew(フリーランサーマルフロークルー)」です。

 

「Free Run Thermal Flow Crew」[ Unisex🔗 ]。

 

ーー 今注目の軽量フリース、Octa(オクタ)を採用したミッドレイヤーですね。

 はい。昨年まで直営店の別注アイテムとして展開されていましたが、非常に好評だったため、今年から通常のインラインに組み込まれることとなりました。繊維が細く、汗の吸い(吸汗性)に優れながら保温性も備える、Octaのフリースを用いたプルオーバータイプの製品です。通気性(抜け)が非常に良いため、運動中はもちろんのこと、私自身が最も優れていると感じるのは、ランニング後に入浴などを済ませた後に手軽に着用できる点です。通気性がありながら寒さを感じさせず、デザインもスポーティーすぎないため、非常に汎用性の高いアイテムかと思います。

 

ーー シルエットも、トレイルランニングウェアとしてはややゆったりとした印象ですね。

 はい。競技性の高いランニングウェアのようなストイックなシルエットではありません。

 

ーー 通気性(抜け)という点では、Ventrixよりも良いですか?

 そうですね。走行中に着用できる時間が長くなると思います。

 

ーー それでは最後に、いわゆるグリッドフリースの「Thermal Versa Grid Light Jacket」(サーマルバーサグリッドライトジャケット)についても説明をお願いします。

 

「Thermal Versa Grid Light Jacket」。 ※直営店別注モデル「 THE NORTH FACE Sphere 」「 THE NORTH FACE FLIGHT TOKYO 」で発売中。 電話注文による代引き発送も可能。

 

 

 はい。内側がグリッド状になっている中厚手フリースで、通気性と保温力のバランスを追求しています。汗の処理が良く、行動中でも熱がこもりにくいのが特徴です。その他、ウォッチウィンドウや、手の甲まで覆える長めの袖丈でサムホールが付いているなど、細かな機能も充実しています。予算的にもお求めやすく、幅広いアウトドアシーンで活用できるので、一枚持っていると重宝すると思います。

ーー ありがとうございました。自分の行くシチュエーションや使い方をしっかりと見極めて選びたいですね。

 

 

THE NORTH FACE Sphere
・住所:東京都渋谷区神宮前6-10-11
・TEL:03-6773-5500
・Instagram:https://www.instagram.com/tnf_sphere/

 

 

■THE NORTH FACEの記事一覧はこちら▼

THE NORTH FACE SPECIAL INDEX

■THE NORTH FACE RUN
https://www.goldwin.co.jp/tnf/run/