クッション性と軽快感が高次元でバランス
スピードにもロングにも対応できる中厚モデル
2010年、第18回ハセツネCUPでいきなり優勝し、衝撃のデビューを飾ったHOKA ONE ONE(ホカ オネ オネ)。それは「厚底シューズ」という新しいカテゴリーの始まりでもありました。以来、着実にラインアップを拡充し、今では多くのトレイルランナーにチョイスされています。
今回紹介する「SPEED INSTINCT(スピード インスティンクト)」は、スタンドハイトはヒール23mm、フォアフット20mm(メンズ)。定番となっている「CHALLENGER ATR(チャレンジャー ATR)」と比べると、ヒールが6mm、フォアフットが4mm低く、いわば中厚モデルという位置づけでしょうか。HOKA ONE ONEの中ではスピードモデルと言えるでしょう。
アッパーには網の目のように補強が張り巡らされています。がっちりとしているというよりは張りがあるという印象です。トウボックスは「CHALLENGER ATR」よりは若干タイトです。
ミッドソールにはHOKA ONE ONEで初めて採用されたPRO 2 LITEを搭載。ヒールはクッション性を高めるために程よい弾力と厚さを持ち、トウは推進力を高めるためにある程度硬さを持たせています。
アウトソールはテクニカルトレイルにも対応できるしっかりとしたラグを持っています。そして、一番特徴的なのはラウンドしながらサイドまで回り込んでいる点です。
足入れしてまず感じたのは、どっしりとした安定感ではなく、左右にいつでも動き出せるようなバランスだということ。これはいつものHOKA ONE ONEのイメージとは違います。ソール接地面積を「CHALLENGER ATR」と比べれば明らかです。目指している方向性が違います。クッションは全体的にはしっかり目ですが、前述したPRO 2 LITEの機能通り、踵はしっかりとしたクッション、フォアフットは反発性重視というセッティングは感じ取れます。これにHOKA ONE ONEのローリング感が加わり、楽に前進してくれます。
「SPEED INSTINCT」真価を味わえたのは、やはりテクニカルトレイルでした。ラウンドしたアウトソールは想像以上の威力を発揮します。踵とサイドが引っ掛からないので、細かいステップで斜めに着地したり、まっすぐに着地したつもりでも路面がねじれているような場合でも、ストレスなくスムーズに前に進むことができます。そして、側面まで回り込んだアウトソールは、斜面を斜めに横切ったり、バンクに足を置く時などにサイドでのグリップを感じることができます。ヒール部はセンターにラグがないのが気になりましたが、グリップ不足はありませんでした。
重量があり、クッション性能が高いほど、俊敏性や軽快感は失われるものですが「SPEED INSTINCT」はそのバランスを高い次元で保っています。HOKA ONE ONEの中ではチャレンジングなシューズですが、一般的に見ると完成度の高いオールラウンドシューズと言えると思います。クッションと俊敏性の絶妙なバランスは、厚底に抵抗がある方もすんなりと履きこなせるはずです。また、はじめてトレイルランニングにチャレンジするランナーにもお勧めできるシューズです。
HOKA ONEONE(ホカ オネオネ)
SPEED INSTINCT(スピード インスティンクト)
■価格/17,000円+税
■サイズ/MEN:7–11 WOMEN:5–8
■カラー/MEN:2色 WOMEN:1色
■構造
MEN:オフセット:3mm ヒール:23mm フォアフット:20mm
WOMEN:オフセット:3mm ヒール:22mm フォアフット:19mm
■重量/MEN:235g WOMEN:210g
■テクノロジー/MIDSOLE VOLUME、META ROCKER GEOMETRY、ACTIVE FOOTFRAME、PRO2 LITE
■HOKA ONE ONE http://www.hokaoneone.jp/
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