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suunto トレイルランニング

【Report】IZU Trail Journey(伊豆トレイルジャーニー)2019

昨年に引き続き「ジャーニー」してきました。台風15、19号の影響により、軒並みトレイル大会が中止になっている中、このIZU Trail Journey(以下、ITJ)はコース変更をした上で決行。そのため、距離は若干短くなり、コース前半の多くがロードになるため、トレイル率も例年に比べて下がった。昨年、制限時間10分前にゴールしたギリギリ・ランナーな私にとってはチャンスか!?

【大会前日】
受付をするために、仲間同士で車に乗り合わせて現地入り。コースはワンウェイなので、ゴールエリアの駐車場に車を停めて、そこからシャトルバス(¥1,500)に乗ってスタート地点へ移動。

今回、大会では4つの取り組みをしているという。
①プラスティックレス ②ペーパーレス ③キャッシュレス ④ボーダーレス
例えば…シャトルバス代金は、その場でスタッフに支払う形式なのだけれど、スタッフは電子マネー読み取り用ハンディ端末を携帯しているので、Suicaでも支払いが出来てしまう! 画期的や。
受付では「Quick Ticket」というシステムが導入されていて、装備品チェックが終わるとスマホの画面に“完了”の押印がされるのだ! 近代的や。
受付を済ませ、ブリーフィングに参加。聴覚障害者の方のために、手話通訳も入れているという。ボーダーレスや。
多くのトレイル大会でもそうであるように、マイカップは必携品。また、必携ではないけれど、カトラリー類(お椀・箸)は携帯推奨品になっている。1人づつ、出来ることからコツコツと。プラスチックレスへの取り組みや。

会場を後にして、近くのスーパーで買い物を済ませたら、シャトルバスで20分程の宿へ。翌日の準備を整えて、夕食前にお風呂を済ませる。夕食は、魚の煮つけ、お刺身、サザエのつぼ焼き、アサリのお吸い物……。伊豆ならではのボリューム満点メニューだ。
今回、女子仲間3人で同部屋。布団を3組敷いたら、隙間なくぎっしりw それは良いんだけど、この手の旅館に泊まる際は、部屋のコンセントの数が足りない場合がままある。スマホ・時計(SUUNTO)など、自分で持って行ったバッテリーも駆使しながら、順番に充電していく。さて…この時点でまだ19:30。早いな。しかし、明日は3:30起きなので、20:00には消灯。おやすみなさいzzz。

【大会当日】
朝、用意されていた朝食のおにぎり(王道の鮭・梅・昆布)をかじる。宿から徒歩2分のバス停から4:40発のシャトルバスに乗り込んで、スタート地点へと向かった。
この大会に出場した人は口を揃えて「べらぼーに寒い」と言う。前日のブリーフィングでも言っていたけれど、2012年からスタートして、7回目の開催となる今年は、風もなく[風速2m/s]、晴天[降水確率0%]で、いつになく暖かい[最高気温15℃/最低気温3℃]。過去最高の天候だという。確かに、前回は少しでも風を遮る場所を探して、スタートまでの時間を耐え忍んだ。今年は、そこまでの寒さではない。でも「暖かい」という単語を使うのは誤解を招きそう(!?)。

今回のウェアは以下の通り;
・ノースリーブ・スキンメッシュ(ファイントラック)
・腹巻(モンベル)
・裏起毛/ハイネック長袖シャツ(アンダーアーマー)
・Tシャツ(レイドライト)
・ウィンドシェル(サロモン)
・レインウェア(ゴアテックス)
・タイツ(CW-X)
・スカート(ザ・ノース・フェイス)
・靴下(ファイテン)
・ニット帽(サロモン)
・グローブ(ザ・ノース・フェイス)

これに薄手のダウンを着た状態でスタートラインに並び、スタート直前に脱いでザックにしまった。この大会に出るにあたって、台風の影響もあり、山にはほとんど練習に行っていない。かつ、直前に風邪を引いてしまい、体調も万全ではないという状況。万が一(リタイアした場合)に備えて、カイロもザックに詰めてある。友人たちからも「山を舐めるな」「周りの人にも迷惑が掛かる」「(自分の体調/走行可否)ちゃんと見極めて」と言われて来ている。重々承知。無茶はしませぬ。

◆スタート~第1関門:A1白川[13.5km]
5:30 手荷物を預けて、整列
6:00 松崎新港スタート!
大会当日、日の出時刻は6:39。辺りはまだ暗い。ヘッデンを装着して走り出す。ロードの上りだ。あっという間に身体が温まってくる。この後、トレイルの入り口で渋滞になる。想定通り、ピタリと動かなくなったので、ヘッデンを外し、レインウェア脱いでザックにしまった。日が昇り、ウェアを脱いだのは良いけれど、この後も渋滞は5km地点までダラダラと続き、歩きばかりだったので少々肌寒く感じた。
トレイルはシングルトラックなので、前の人に従って進んでいく。例年だと8.4km地点にある宝蔵院を通過し、上りに突入するところなんだけど、コース変更のため北西に迂回することに。林道を下って川沿いのロードに出た。この川沿いのロードは、折り返しコースになっているので、速いランナーたちとすれ違う。知り合いランナーにも会い、声を掛け合うことが出来たのは良かったな。ふぁいとー。小さな橋を渡り、突き当たったところに人だかりが……。エイドだ。
8:10 A1白川[13.5km/第1関門9:00]着
まず、トイレかな。この大会は女子専用トイレが用意されているので、そちらに並ぶ。列が長い。特に行きたい訳ではないのだけれど、次のエイドまで26.7kmもある。エイド間がとても長いので、行っておいた方が良いのか…時間が気になりつつも、列に加わった。エイドのスタッフが気を効かせて、列に並んでいる人々に、ポテトチップスと水を配って回っている。ありがたい。ソフトフラスクに水を入れてもらう。補充完了。
結局、トイレに20分並んだ。結果論だけど、これは必要なかったなぁ。なぜなら、途中、エイドはなかったけれど、仮設トイレだけはあったから。ずばり、エイドのトイレではなく、途中のトイレに寄ると効率的でしょう!?(個人的見解)
最後に、このエイド名物の「松崎の桜葉餅」は忘れずにいただく。塩漬けの桜の葉に巻かれたピンクの餅。アンコとのコラボレーションで甘じょっぱさが絶妙。8:35エイドを後にした。

◆第1関門:A1白川[13.5km]~C1万野の森入口[22.9km]~C2滝見林道出口[35.4km]~第2関門:A2仁科峠[40.2km]
ジッとしていたので、すっかり身体が冷えてしまった。先程のエイドでのロスタイムを取り戻すかのように、下り基調のロードをすたこら走っていく。近くにいた女性ランナーと話をしたりしながら。トレイルの大会はこういう出会いがあるのも、また良し。
川からは湯気が上がっている。温泉…ではない。いわゆる「けあらし」っていうやつか。とても幻想的な光景だ。今日は本当に天候が良い。山側には小さな滝がいくつかあって、その水しぶきが虹を描き出していた。紅葉もチラホラ。朝日を浴びた葉が黄金色に輝いていて、そのあまりの美しさに心が満たされていくようだった。ほぅ
しかし今回のコース、前半40kmくらいまでロードの多いこと…気分は峠走。山の景色に心を奪われ、坂道には体力を奪われていく。。股関節に違和感が出てきて、それが次第に痛みに変わっていった。自分の脚じゃないような、今までになかった感覚。コース上で遭遇するラン仲間たちに「疲れちゃった」と弱音を吐いた。
まだ前半、これからトレイルでアップダウンがあるのに、もうこんな状態になっちゃって、この先行けるのだろうか…私は山を舐めている?人に迷惑を掛けることになる? 自問自答しながら進んでいく。時間はある。まず土肥駐車場までは行こう。日が暮れる前に、判断すれば良い。
この辺りで「リタイア」という言葉が頭の片隅に浮かんでいた。と同時に「絶対ゴールする」という気持ち、そして「山を舐めるな」の言葉も常にあったので、そのせめぎ合い(笑)
同じくらいのペースのランナーとは、レース中は抜きつ抜かれつ。その中でも、私を追い越す瞬間に、毎回、屁をこくランナーが。最初の時に、ブっ! 2回目に、ブブっ! その次に、ブ…ブブゥっ! トレイルあるある。よもや何かのサイン? 5回出したら「ア・イ・シ・テ……」ドリカムかっ!?
閑話休題。途中、チェックポイントを2つパスして、エイドに辿り着いた。
12:40 A2仁科峠[40.2km/第2関門14:30]着
このエイド名物は「西伊豆しおかつおうどん」。5~6人並んでいたけれど、さほど待つことなく、うどんGET! その辺に座ってゆっくり味わう。温かいのも塩味も嬉しい。鰹節が浮かんだスープにうどんが入っているシンプルなものだけど、食べやすいし、出汁が効いていて、そりゃもぅ美味しい。
うどんを食べ終わったら、マイカップを出して、熱々のレモンティをいただく。あら、私、こんなにレモンティ好きだったかしら?と思うくらい美味しさに感動。内側から温まっていく。おかわり&ほっこり
ニューハレの無料相談&テーピング・サービスのテントがあった。とても気になったけれど、慣れないことをするのはどうだろう、と思ったのと、時間を節約したかったのでスルー。ココのトイレは並んでいなかったので、念のため、立ち寄ってみた。
スタッフの方がエイドに到着したばかりのランナーに
「まだまだ大丈夫だよ! 前回、14:00に着いたランナーがギリギリでゴール出来ていたんだから」
時計を見ると13:00だった。少し安心しながらも、気を引き締めてエイドを出発した。

◆第2関門:A2仁科峠[40.2km]~第3関門:A3土肥駐車場[51.2km]
ん? なんか脚が楽になってる。休憩って意味あるなぁ、と実感。「何だかイケそうな気がするぅ~!?」と、思った瞬間だった。さらに、このエイドを出てからはITJの通常ルートで、トレイルになる。しかも走れるところも多いやつ。休憩+トレイルで、俄然よみがえった脚と心。らっきー。
走れるうちに走っておこう。前に前に進んでいく。気持良く走っていたところ、エイドの手前でロードに出た。ここでまた、上りだよ…ロードの上りは嫌なんだよねぇ。左手に駿河湾が姿を現した。だいぶ下の方に見えるな。それだけ上ってきたということか。ロードを3kmほど行くと最後のエイドに辿り着いた。
15:35 A3土肥駐車場[51.2km/第3関門17:00]着
前回は、ちょうど夕日が沈んでいくところで、風が吹きすさび、凍える思いだった。ところが、今年は前回に比べて到着が早いのでまだ明るいし、ウィンドシェルを着ていなくても耐えられる気温。
このエイドで提供されるのは「伊豆産しし汁」。おかわりOKらしい。お肉は臭みもなく、野菜もゴロっと入っていて、温かいスープが身体に沁み渡った。
空いているスペースには、小さなダンボールが点々と置いてあった。「(アスファルトに直接座ると)冷えるから…」とスタッフの方が用意してくれたものだ。ランナー目線でのおもてなしに感謝。
その一つに座らせてもらう。しし汁の後は、ホットミルクティ。あれ、私、ミルクティもめちゃくちゃ好きだわ! と思うくらい、とても幸せな気分になった。実際「しあわせ~」と口に出して言ったものです。もちろん、おかわり。
先程(A2仁科峠のエイド)の休憩で回復できたことに味を占め、ココのエイドでものんびり。食べて、飲んで、補充して、トイレ行って。そぅそぅ、ココのトイレがめちゃめちゃ立派で綺麗だった。高さのあるキャンピングカーみたいな外観で、階段5段くらい上って個室に入る仕様。片面に共用×2個、反対側に女性用×2個。
あと、30分もしたら日が落ちる。標高が上がった分、気温は下がってきている。ウィンドシェルとレインウェアを着込み、ヘッデンを装着してエイドを後にした。ゴールまで、あと17.1km。

◆第3関門:A3土肥駐車場[51.2km]~C3戸田峠[56.1km]~第4関門:C4だるま山高原レストハウス[58.1km]
この先はつるんとした稜線を進んでいく。風がなく、見晴らしが良いので爽快。空に上っていくような道が続く。この辺りの景色が、このITJのコース最大の見せ場と言える。左手にはバーン! と駿河湾が広がっている。さらに、正面には富士山がドーン!
そして、だんだんと傾き始めた太陽が西の空を燃えるようなオレンジ色に染め上げていく。疲れが吹き飛ぶような夕焼け。思わず、ため息のような感嘆の声が漏れる。わぁ。。。正面の富士山に向かって下っていく。うわぁ。。。
いっぺんに視界に収まり切らない広大な景色。周りのランナーも立ち止まって写真撮影。みんながみんな、笑顔になってしまう。目が合ったランナー全員に
「最高ですねっ!!!」「綺麗ですねぇ!!!」
と思わず声を掛けてしまう。ずっとココに留まっていたい気持ちをグッと抑えて、先に進む。じきに暗くなる。

ブリーフィングでも大会プロデューサーの鏑木氏が言っていたように、(明るいうちゴールする)速いランナーは損ですな。夕焼けと富士山を目に焼き付ける。日が落ちる最後の1秒まで美しかった。暗くなると、街に明かりが灯り始めた。ガラッと変わった景色。眼下の夜景を眺め、輝く月に照らされながら、ガレた道を下っていく。これぞITJだ。
17:46 C4だるま山高原レストハウス[58.1km/第4関門18:30]着
ココはもトイレは設置されていたけれど、そのまま通過。あと10kmか。この辺りから、残りの距離のカウントダウン。

◆第4関門:C4だるま山高原レストハウス[58.1km]~フィニッシュ:修善寺総合会館[68.3km
この先は、ゴールまでずっと下り基調。休憩で復活したとは故、股関節はあいかわらず痺れていて、脚を着く度に腸脛靭帯に響く。痛む膝を騙しだまし走る。ココまで着たら、あとは怪我無くゴールしたい。転ばないように。
残り7km強、一旦ロードに出る。歩いているランナーを何人か追い越しながら、淡々と走っていく。暗いので先が見えないけれど、実は上り坂。歩くより、軽く走った方が楽な気がする。これがホントに最後の上り。あとは、林道と舗装された道路をひたすら走っていく。ほんの一部、とてもフカフカのトレイルもあって、ゴールに向かってテンションも上がってくる。暗闇にキロ表示の看板がぼんやり浮かび上がった。ヘッデンで照らす。「65km」…残り3km。キテマス。
そして、温泉街に突入。コース誘導のスタッフがたくさん。他のランナーを追い越す時「お疲れ様です! もう少しですね!」とお互いに笑顔で挨拶を交わす。楽しい。
ほどなくして、ひときわ明るいポイントが前方に見えてきた。だんだん、近づいてくる。その光の中に走り込んでいく…ゴぉぉぉーーール!!
こうして、68.3kmのジャーニーが幕を閉じたのでした。大会運営・エイド・ボラ・応援・景色…また来たい。そう思える素敵な大会でした。

7th IZU Trail Journey 2019
■距離/68.3km
■累積標高/(+)3,320m、(-)3,240m
■トレイル率/58%
http://izutrailjourney.com/

Report/MIho KANAYA

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