THE NORTH FACE(ザ・ノース・フェイス)はトレイルランニングのショートからミドルレースをターゲットとした機能性を盛り込んだ「ハイスピードトレイルキット」(ウェア、ベストパック、シューズ)を発表しました。

従来、トレイルランニングカテゴリーの商品はサミットシリーズとして展開。100kmや100マイルといったウルトラトレイルをターゲットとした商品が主力でした。しかし、昨今のトレイルランニング新規参入者の増加や、ショートからミドルディスタンスにフォーカスするアスリートも増えてきている現状を踏まえ、「ハイスピードトレイルキット」が開発されました。バックパック、ウェア、シューズをキットとして着用したときに、それぞれが持つ機能性を最大限に生かせるようなラインナップの詳細を知るべく、ベストパック、ウェアの開発担当者にお話を伺いました。

超軽量でドライ、装備へのアクセスも抜群なレースベスト
HST Fume 6

ーーベストパックの新作「HST Fume 6(エイチエスティーヒューム6)」の特徴について(株)ゴールドウイン ザ・ノース・フェイス事業部の宮久地拓実さんにお伺いします。
宮久地 「HST Fume 6」は軽量性、通気性、収納力、身体の動かしやすさという四つのテーマをもって開発しました。重量は約155g(Mサイズ)と超軽量なのに加え、独自開発したモノメッシュが抜群の通気性を発揮するだけではなく、保水もしにくいため、汗をかいてもパックの重量増加を最小限に抑えることができます。

ーーモノメッシュは硬そうなイメージがありますが。実際に着用してみると身体によくフィットしますね。
宮久地 サイドにストレッチメッシュを採用しているので硬さは感じないと思います。また、実際に走ってみると揺れも少ないです。モノメッシュが身体に負担をかけないことも重要なので、フィラメントの太さや柔らかさ、リップストップの格子の入れ方などを研究し最適な構成を探し出しました。縫製にもかなり気を使っていて、バインダーと呼ばれる縁の部分も軽量性を保ちつつ二重にして肌当たりの良さも追求しています。
ーー収納性についても教えてください。
宮久地 背面はすべてストレッチファブリックでメインコンパートメントは6L(Mサイズ)です。THE NORTH FACEのバックパックの容量はファスナーポケットの合計の容量を表示していますので、メインコンパートメントのみで6Lということになります。ストレッチ性が高いので見た目以上に収納力があると感じていただけると思います。背面下部のサイドポケットは「走りながらアクセスするときは左右に分割した方が使いやすい」というアスリートからのフィードバックを反映しました。

フロントポケットは左右対称で、ボトルポケットを含めて3つずつあり、頻繁に使用するものはほぼフロントに収納できるようになっています。

ーーディテールのこだわりはどんなところがありますか?
宮久地 フロントのチェストストラップを留めるバックルには軽量性と着脱の容易さ、またグローブをしたままでも操作が可能なマグネット式を採用しました。
ーー近づけるだけで勝手に着いてくれますね。これは便利!

ーーポールホルダーも面白い位置にありますね。
宮久地 スピードを重視するならポールは前面に装着するのが最も良いという結論から、ポールホルダーは前面に斜め付ける新しい方法を開発しました。肋骨と干渉しにくい位置につけることで身体との干渉も防げるようになっています。
ーーありがとうございました。
HST Fume 6
(エイチエスティーヒューム6)
・価格:¥23,100(税込)
・サイズ:S、M、L
・容量:S/6L、M/6L、L/7L
・重量:S/約140g、M/約155g、L/約175g
・カラー:ティングレー
・商品ページ:こちら
ミニマルなのに快適性とサポートを最大限に追求したウェア
HST S/L Hypervent Crew
HST S/S Hypervent Crew
HST Aviator Tights

ーー次に、ウェアについて(株)ゴールドウイン ザ・ノース・フェイス事業部の槇尾太貴さんにお伺いします。「ハイスピードトレイルキット」のウェアの説明をお願いします。
槇尾 トップスは半袖の「HST S/L Hypervent Crew(エイチエスティースリーブレスハイパーベントクルー)」と「HST S/S Hypervent Crew(エイチエスティーショートスリーブハイパーベントクルー)」です。素材はこれまでも展開してきたハイパーベントですが、デザインをアップデートしています。

—— ハイパーベントについてあらためて説明していただけますか?
槇尾 ハイパーベントは通気性に特化した生地です。発汗量が多いところはメッシュの目を粗くして、冷えやすい部分は目を詰めて、通気を調整しているのが特徴です。一枚の生地ですが、二つの糸で表面と肌面を編みわけたダブルニット構造になっています。表の編み地と裏の編み地が重なる構造になっていて、表と裏で編み地の大きさも変えられます。表面と肌面のメッシュの大きさを変えることで通気性を最大限に上げながら、肌の透けは抑えることができます。素材はポリエステルですが、肌面はポリエステルの糸に撥水加工を施しています。このため汗をかいても肌面では吸わずに表面の糸が吸収してくれることで、肌面はドライに、表面でしっかり水分を拡散させて速乾性を上げています。


—— デザインはどのように変更したのですが?
槇尾 「HST S/L Hypervent Crew」に関しては、ベストパックが直接地肌に接触しないように背中のパターンを見直しました。ですから「ハイスピードトレイルキット」でトータルコーディネートしていただくと、より相乗効果が発揮できます。

HST S/L Hypervent Crew(写真左)
(エイチエスティースリーブレスハイパーベントクルー)
・価格:¥12,100(税込)
・サイズ:メンズ S-XL
・カラー:メンズ 3色
・商品ページ:メンズ
HST S/S Hypervent Crew(写真右)
(エイチエスティーショートスリーブハイパーベントクルー)
・価格:¥13,200(税込)
・サイズ:メンズ S-XL、ウィメンズ S-XL
・カラー:メンズ 3色、ウィメンズ3色
・商品ページ:メンズ、ウィメンズ

—— 次に「HST Aviator Tights」の説明をお願いします。
槇尾 2025年の春から新しく展開する製品です。ショートからミドルディスタンスではスピードを求めていくシーンが多くなるので、足さばきの邪魔にならないショートタイツを開発しました。少し厚みがあるニットをベースに採用し、伸縮性が高いのはもちろん、キックバック性も高いのが特徴です。これにTHE NORTH FACEの代表的なストレッチメッシュのウエスト6ポケットを組み合わせました。また、腰の下には切り替えで強い素材を配置して着圧を高めてしっかりとサポートしています。

—— ロードランニング用の6ポケットのタイツはすでに製品化していると思いますが、どんなところが違うのでしょうか?
槇尾 タイツには岩などとの擦れや磨耗性という点では少し弱さがあります。そこをカバーするために前ももとお尻の部分に、密度が高く防護性と防風性に優れた布帛(ふはく)という生地を追加しています。布帛は薄くて強いのが特徴ですで、一般的にはストレッチ性が出しにくいのですが、今回はストレッチする布帛を開発しましたので足の動きを邪魔しないようになっています。

—— 布帛の部分を触った感じは極薄でしなやかなのに強度が高いのですね。
槇尾 はい、すごい素材なんです。スナッグ(引っかかり)やピル(毛玉)が発生するかといった試験をしていて、しっかり確認しています。今回はトレイルランニングの環境に対応できる仕上がりになったので採用しました。

—— その他にこだわりのポイントはありますか?
槇尾 ウェストにはドローコードがついているのですが、オリジナルのシリコン製のストッパーをつけることで、縛る必要がなく、ワンタッチで調整できるようになっています。また、裾はステッチを入れるとストレスになるので、切りっぱなしにしたのですが、滑らかで綺麗に仕上げることができました。もちろんほつれることもありません。さらに、ずれ上がりを防止するために糸を肌面に出して滑り止めの効果を持たせています。シリコンなどを付ける方法もあると思いますが、長時間走っていると擦れてくる可能性があるので、このような方法を考えました。
——ユニークで実用的なアイディアが満載ですね。ありがとうございました。
HST Aviator Tights
(エイチエスティーアビエイタータイツ)
(ユニセックス)
・価格:¥16,500(税込)
・サイズ:WM、WL、S、M、L、XL
・カラー:アーバンネイビー、ブラック
・商品ページ:こちら
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