【Review】TIGORA ATHLETICS「THERMOLITE®︎ HYBRID PADDED JACKET & PANTS」

保温と通気のメリハリで冬のアクティビティにフィットする化繊インサレーション

ハイスペック、ハイセンス、ハイコスパなウェアTIGORA（ティゴラ）。前回はTIGORA by BEAMS DESIGNのウェアを紹介しましたが、今回はTIGORA ATHLETICSというパフォーマンスラインの中からサーモライト®︎の中綿を採用した「サーモライト®︎ハイブリッドパデットジャケット」「サーモライト®︎ハイブリッドパデットロングパンツ」をピックアップしました。

保温性が高い中綿素材としてスタンダードなのはダウンですが、濡れてしまうとロフトが落ちて保温性も低下してしまうという弱点があります。そこで、雨や雪、汗等の水分にさらされることが多いアウトドアアクティビティでは、ダウンに近い保温性と圧縮性、復元性をもち、濡れても潰れることなく保温性を発揮できる化繊インサレーションが重宝されています。

（左）全面は身頃にサーモライト®︎を配置。（右）背面はフードと背中に防風性の高い表地を追加。

「サーモライト®︎ハイブリッドパデットジャケット」に採用された中綿はサーモライト®︎。繊維の中に空気を通す穴がある中空糸を採用しているため、軽く、高い断熱性を持っているのが特徴。通常のポリエステルに比べて約20%軽量で、保温性は約18%優れています。

このサーモライト®︎をランニング中に最も風を受ける身頃部分に配置。表地と裏地には撥水加工済みで防風性があるストレッチ素材を採用しています。その他の部分は裏がフリースのジャージー素材で、背中とフードにはさらに身頃と同じ防風ストレッチ素材を表地として追加しています。つまり、３パターンの組み合わせで保温性、防風性、通気性をコントロールしているわけです。

（左）身頃以外の部分の裏地はフリース素材。（右）袖には寒さをしのげるサムホール付き。

セットアップの「サーモライト®︎ハイブリッドパデットパンツ」も同様の3パターンの組み合わせです。前面の膝上にサーモライト®︎。それ以外は裏がフリースのジャージー素材で、背面の膝から上には表地に防風ストレッチ素材を追加。また、サーモライト®︎部分の裏地にメッシュを追加することで蒸れ対策をしています。

（左）膝の動きを妨げないように表地の下は縫っていない。（右）背面の膝より上には防風＆ストレッチの表地が付く。

ジャケットの収納は、両サイドにジッパー付きのシームポケット。大型の内ポケットも両サイドにあります。

ジャケットのポケットは、（左）ハンドウォーマーにもなるジップポケット。（右）幅広で深さもある内ポケットは左右に付く。

パンツは両サイドの他、ウェスト部にジッパー付きのバックポケットを配置しています。

着用して走ってみると、ルーズな部分がなく適度にフィットしていながらも、アクティブな動きを妨げません。とくにパンツは膝下がスリムなので走りに集中できます。

気になる各パネルの保温、防風、通気のバランスですが、前面は冷気を遮ってくれてしっかりと保温されて、背面からは熱気が抜けていくのを感じます。

今回のテストではサーモライト®︎が水浸しになるような状況にはならなかったので、あえて水につけてみたところ、ダウンのようにぺしゃんこになることはなく、ロフトは維持されていました。

「サーモライト®︎ハイブリッドパデットジャケット＆パンツ」は保温性がかなり高いので、低山でのトレイルランニングなら真冬でも十分にアウターとして使用できそうです。もちろん、さらなる寒冷地では上にシェルを着ればミッドレイヤーとしても使えます。また、アクティビティ中だけではなく、行き帰りやアップなど、活用できるシーンは多岐にわたります。

さらに、毎回驚くのは、やはりプライスタグです。桁が違うんじゃない？　と思ってしまうほどのお買い得価格なので、お試しのハードルはかなり低いです。

その他のモデルとしては、サーモライト®︎を全体に配置したタイプの「サーモライト®︎パデットジャケット」「サーモライト®︎パデットロングパンツ」もあります。こちらは、山への行き帰り、強度が低めのハイクやキャンプやデイリーユースに最適な、保温性と防風性が高いモデルです。寒い地方にお住まいならジョグ用にもいいかもしれません。

一口に冬と言ってもハーフパンツで走れるようなコンディションやロケーションもあるし、かなり着込まないといけない場合もあるため、ウェアの選択肢は多いほど安心です。しっかり備えて充実したウインターシーズンを送りたいですね。