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逆境を吹き飛ばせ!〜TOGA天空トレイルの歩み -後編-

数字で表れない人気レースの必須要件
「年間を通じて様々なイベントを行ってきている中で、トレイルの大会ならではことがあります。それは村民がみんな楽しんでいることなんです。他のイベントでは会場まで足を運ばないと体験できないものが多く、一方、トレイルは各集落にエイドを配置したことで、選手が来てくれるわけです。人によってはエイドを手伝うことで、または家の前でランナーを応援することで、その空気を一緒に味わうことが出来ます。『来年も(大会が)あるなら、頑張って長生きしようと思う』と言ったお婆ちゃんのセリフを強く覚えています」(野原さん)
ランナーを各集落に降ろすことは、トレイル率を下げてしまうことにもなるが、村内にある点と点の集落をトレイルで結んだことで、一体感を生み出したのかもしれない。
実際、村の人口の半数以上が大会に何らかの関わりを持ったといい、距離のように数字で表される大会スペックではないこうした地元の盛り上がりはランナーにダイレクトに届くため、人気レースの必須要件と言える。

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地滑り土砂災害の副産物と地域活性のゴール
自然災害という逆境を乗り越える決断を下したことで、関係者の間で「誰のために大会を開催するのか?」という議論が起きたという。そして、今一度問い直すことで「地域住民総出で参加できることが元気の源になる」と意識の統一を再確認する副産物を生み出すことになった。
「平成29年春の村の小学校予定人数は12人です。中学校は10人で、高校はありません。義務教育を終えると若者は村を出ることになります。そして、そのまま帰村してくることが最近はありません。産業もなく雇用も少ない。若者が外へと求めて出て行くのは自然なのかもしれません」
そう話すのは利賀村出身の南砺市役所利賀行政センターの南田哲幸さん。しかし、私見だけどもと前置きをした上で新しい動きを感じ取っていた。
「村が新しい取り組みをして、それを発信し続けていることで、関心を示す村出身の若者がチラホラ見受けられるんです。究極の地域活性は子供の数を増やすことではないかと思っています。子供の存在は村を活気付かせる宝なんですよね。そのためには子育て世代の方に移り住んでもらう必要があり、そのハードルは決して低くありません。こうして様々な活動を積極的に行い、情報を発信していくことが、次世代に繋ぐ道を作ることであり、我々が今やるべきことなのだと思っています。何もしなければ人口は減る一方ですし」(南田さん)
「住民は山に対する考え方が変わったんじゃないかな。お荷物みたいに捉えられていた山を活用すると言う視点を得られたし、村の人たちが山に入るようになって、山は宝の山だって気がついた。これは大きいと思います」(野原さん)

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過疎化が進む小さな村で始まった村ぐるみのトレイルランニング大会は、小さな化学変化を見せていた。南砺市の地域資源発掘事業という3年の期限付き予算も終わり、今大会から自主運営となる。そこで起きた地滑り土砂災害。全部門がゴール直前に駆け下りる山肌が削られても、地域に根付かせるためにTOGAは前を向いていく。

スポーツ庁長官賞に際して、鈴木大地スポーツ庁長官はこうコメントを寄せていた。
「スポーツの持つチカラは『町おこし』『村おこし』の一翼を担う。今回は廃止されたスキー場や、廃道や古道などその地域にしかない資源を活用しスポーツを掛け合わせることで、地域を盛り上げた大変素晴らしい取組。今後も、このような地域にある資源をスポーツ目線で捉えて活用することで地域の活性化を図ることができると思います」 (スポーツ庁HPより抜粋)

(文/山田洋)

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第4回TOGA天空トレイルラン大会

開催日:2017年5月20日(土)
開催地:富山県(南砺市)
エントリー期間:2017年3月27日まで
・ロング40.9 km
・ミドル31.9 km
・ショート18.5 km
・トライアル12.9 km
大会公式サイト http://togatenkutrail.com/

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