伝説のランナー、スコット・ジュレク選手が、ついに2回目の来日を果たしました。トレイルランナー.JPでは、単独インタビューと動画によるワンポイントレッスンを収録。数回に分けてご紹介したいと思います。まずはインタビューから。
トレイルでもロードでも活躍されていますが、好きなのはどちらが好きですか?
「やはりトレイルのほうが断然好きです。森や山の中を走って、自然と一体になるフィーリングは、ロードレースでは体験できませんから」
来日は今回で2度目と言うことですが、前回はハセツネCUPを走ったのですよね。日本のハセツネCUPはかなりの難コースだと思いますが『Born to Run』の舞台となったメキシコのカッパーキャニオンもかなり厳しいコースだと書かれていました。実際、どちらのコースが難しかったですか?
「ハセツネCUPの方がきつかったですね。トレイルがテクニカルで狭かったです。それに、エイドステーションが1ヶ所しかなかった。気温はカッパーキャニオンのほうが暑いですが、僕は暑いところに強いので」
今迄で一番つらかったのは?
南コロラド州のハードロック100マイルです。標高差が10500mありました。
最近気になっているレースはなんですか?
「南アフリカで行われる世界一大きなウルトラマラソン、「コムラッズ」という大会があります。コンペテティブな大会ではないのですが、一度出てみたいですね。ウルトラトレイル・マウント・フジ(UTMF)も出場できるよう調整中です。非常に楽しみにしています」
現在の走りが完成するまでに試行錯誤した点は?
「科学的に効率的な走りというものを学び、研究しました。その一方で実践としてはノルディックスキーの選手だった頃から自分の走りのビデオをよく見ていました。理論を実践し、それを客観的に見て修正するというのがステップアップにつながったと思います。さらに経験を積み重ねれば、身体が自然に効率的な動きをするようになります」
自分の最大の武器はなんですか?
「ここまで培ってきた経験、気温が高いところに強いこと。そして長距離になればなるほど大切になる集中力の持続には自身があります」
『Born to Run』ではカッパーキャニオンに暮らす韋駄天民族、タラウマラ族と、あなたが同じ走り方をしていると書いてありましたが、彼らの走法を取り入れたりしていますか?
「意識して何かを変えたということはなかったですね。同じ人間がより効率的に走ろうとすれば、おのずとそのシルエットは似通ってくるのではないかと思います」
日本でもはやり始めているベアフットランニングについてどのように考えていますか?
「ランナーがテクニカルな部分について学ぶということは非常に良いことだと思います。ランニング技術についての意識の高まりについては歓迎すべきことでしょう。しかし、私も練習の後にトラックを裸足で走ったりしてトレーニングに取り入れてはいますが、実際にトレイルを走るときにはプロテクションが必要なので、裸足で走ることはないです」
ご自分の走りはヒールストライク・ミッドフット・フォアフットのどれですか?
「ミッドフットです。ウルトラマラソンではミッドフットで走ることが速く走る秘訣だと思います。ヒールストライクは衝撃が強すぎるし、フォアフットだとアキレス腱に負担がかかりすぎます。ウルトラマラソンの選手のほとんどはミッドフットですよ。フォアフットで走るストロングランナーもたまにいますけど・・・・・」
ありがとうございました。
■スコット・ジュレク(Scott Jurek)のワンポイントアドバイス1(ムービー)
協力:RUNX http://www.runx-sports.com
関連リンク
■『BORN TO RUN 走るために生まれた』(巻末解説/鏑木毅)2/26発売
■日本山岳耐久レース(ハセツネCUP) http://www.hasetsune.com
■Hardrock Hundred Mile Endurance Run http://hardrock100.com
■Comrades Marathon http://www.comrades.com/
■ULTRA-TRAIL Mt. FUJI http://www.ultratrailmf.com/
■SCOTT JUREK http://www.scottjurek.com