ARC’TERYXフットウェアデザインセンターが送り出す新コンセプトシューズ
1989年の創業以来、ARC’TERYX(アークテリクス)は常にマウンテンアスリートに必要な機能性や耐久性を追求し商品開発を行っています。その一環として、より幅広いフィールドでの使用を想定したシューズの開発に注力すべく、2021年6月、パフォーマンス シューズの世界的中心地である米国ポートランドに「フットウェアデザインセンター」を設立。アスリートと開発を行ってきました。
山でのアクティビティはクライミング、ハイキング、ランニングなど、さまざまなカテゴリーが存在しますが、アスリートたちはこれらをクロスオーバーしています。ただ走りに行くだけではなく、ランニング、スクランブリング、そしてちょっとしたボルダリングを行うこともしばしば。その時に最も問題となる装備がシューズでした。一足で複数のアクティビティをこなせるカテゴリーの殻を破るシューズの開発こそが「フットウェアデザインセンター」の使命でした。
そして2024年、アスリートと共に導き出した「TRAVEL FAST & TRAVEL FAR(より速く、そして遠くへ)」というコンセプトのもと、さまざまな地形やシチュエーションに対応した3モデルのフットウェア発表しました。
第一弾は、デナリで新ルート開拓の経験をもつ山岳ガイド、マイク・ガードナーとの共同開発によって誕生したと「VERTEX ALPINE(バーテックス アルパイン)」。アルパイン環境におけるテクニカルな地形を効率的に、長時間移動することを可能にしたアプローチシューズです。
第二弾はARC’TERYXカナダ本社と契約しているアスリートで、世界トップレベルのクライマー白石阿島(しらいし・あしま)からのフィードバックをもとに、クライマーが短時間のアプローチやビレイを行う際に必要な快適性とサポート力に加え、クライミングや登山後の足の回復までを考慮してデザインした、新たなフットウェア「KRAGG(クラッグ)」。
そして、第三弾が今回紹介するテクニカル マウンテン ランニング シューズ「SYLAN(シラン)」です。「SYLAN」は、ARC’TERYXのアスリート、ヘンリエッテ・アルボンの意見をもとに開発。彼女が求めていたのは「レースの勝敗に大きく関わってくるダウンヒルでスピードに乗ることができて、常に安定したグリップ力を発揮できる軽量で快適なシューズ」でした。「SYLAN」とは彼女が毎日ランニングしているノルウェー、ロムスダールの山脈の名前です。
HENRIETTE ALBON(ヘンリエッテ・アルボン)
世界がパンデミックに襲われている中、都会での仕事を辞め、トレイルランニングとスキーマウンテニアリングのアスリートへ転向し、ノルウェー、ロムスダールへ移住。そこは人里離れた奥深い自然に囲まれた山の多い場所で、エクストリームなマウンテンランナーが多く住む、トレーニングには絶好の地。それから彼女はFKT(最速走破記録)をいくつも積み上げていく。これまでのノルウェー横断のランやノルウェーのハイルート スキーのFKTに挑んでいる。SKIMO(Ski Mountaineering、山岳スキー競技)では、ノルウェーのチャンピオンでもある。
実績
SKIMOノルウェーチャンピオン
SKIMO世界選手権でノルウェー代表(2022年)
サロモン ウルトラピリヌー トレイル [ 100km ] 4位(2021年)
UTMB OCC [ 55km ] 6位(2021年)
Fjallmaratonveckan Arefjallen [ 46km ] 4位(2021年)
FKT(最速走破記録)ノルウェー横断ラン [ 120km ](2020年)
FKT(最速走破記録)ノルウェー「ハイルート」スキー(2020年)
ムーンバレー ランフェスティバル [ 26km ] 2位(2020年)
Blefjells Beste ハーフマラソン [ 20km ] 2位(2020年)
ストランダ・フィヨルド・トレイル・レース 2位(2019年)
スカフェル スカイレース 優勝(2018年)
テクニカルな地形での高低差に対応可能なスピード重視のマウンテン ランニング シューズ
それでは「SYLAN」のディテールを紹介します。
ARC’TERYXのプロダクトは最高の素材を組み合わせ、美しくミニマルな方法で構築され、シームやステッチをなくしてスタイリッシュながら機能的なデザインを実現しています。しかし、ウェアに比べてシューズは使用環境が過酷なため、耐久性をさらに高めなければなりませんでした。
そこで、アッパーに採用されたのがmatryx®です。matryx®は高強度ポリアミドとケブラーの複合繊維で、軽量性、耐摩耗性、通気性、排水性、ドライ性能にも優れています。薄いアッパー素材で強度を保てるためフィット感が良いのも大きなポイントです。アッパーは2層で構成されていますが、どちらも目が荒く通気性抜群のメッシュ素材です。matryx®はアウターレイヤーに使用しています。インナーのメッシュはタンと一体化していてソックスのように足を包み込みます。履き口はニット素材のカラーを採用し異物の侵入を防ぎます。また、シューレースポケットも装備しています。
耐久防水性、防風性、透湿性を備えたGORE-TEXモデルは、アッパーに直接GORE-TEXファブリクスを接着するインビジブルフィットを採用。ブーティ構造と比べると18%の軽量化を実現しています。シワや折り目がないので足を圧迫する部分もなく、ノンゴアモデルと同様のサイズ感で履くことができます。また、アッパーゴアテックスファブリックの間に水が入り込む隙間がないため、雨天時の重量増を防ぐことができ、速乾性も向上、透湿性も最大限に発揮できます。
ミッドソールは軽量で応答性の高いEVAとポリオレフィンを配合したINFUSE™ OBC(インフューズ・オレフィンブロックコポリマー)を採用。高剛性セグメントと高エラストマーセグメントを交互にブロック化することで軽量で高い衝撃吸収性と反応性を発揮します。さらに、クッション性と安定性を高めるために二つの異なる密度のミッドソール合わせて使用しています。ロッカー形状はアグレッシブでランナーの重心移動を助け、大きな推進力を生み出します。
アウトソールは乾いた路面でも濡れたでも確実なグリップ力を発揮するハイパフォーマンスのラバーコンパウンド、Vibram®のメガグリップ。ベース部分の厚みを50%削減し、全体重量は30%カットしたしライトベース構造を採用しています。ラグの高さは6mmとハイグリップ仕様です。
素材にも作りにも妥協がなく、一分の隙も見当たらない「SYLAN」。プロトタイプはすでに何度も表彰台に上がっています。ただし、大会で勝てるパフォーマンスは備えていますが、大会で勝つためだけに作られたわけではありません。種目やカテゴリーにとらわれることなく、山を縦横無尽に素早く移動するアスリートのためのマルチパーパースパフォーマンスシューズなのです。
SYLAN(シラン)
・価格:34,100円(税込)
・サイズ:MEN 25.5-29.5cm / WOMEN 22.0-25.0cm
・カラー:MEN 3色 / WOMEN 2色
・重量(1/2ペア):292g
・スタックハイト:フォアフット22.6mm / ヒール 28.6mm
・ドロップ:6mm
SYLAN GORE-TEX(シラン ゴアテックス)
・価格:39,600円(税込)
・サイズ:MEN 25.5-29.5cm / WOMEN 22.0-25.0cm
・カラー:MEN 4色 / WOMEN 3色
・重量(1/2ペア):310g
・スタックハイト:フォアフット22.6mm / ヒール 28.6mm
・ドロップ:6mm
◼️レビュー記事はこちら↓
◾️ARC’TERYX:https://arcteryx.jp/