アグレッシブなロッカーでテクニカルトレイル攻めるハイクッション・ハイグリップモデル
・セカンドレイヤーと一体化したニットのタンとカラー
・アグレッシブなアーリーライズロッカー
・形状や高さを緻密に変えたハイグリップなラグ
ARC’TERYX(アークテリクス)のトレイルランニングシューズと言えば「NORVAN(ノーバン)」シリーズが定番でしたが、2024年は新たなシューズ「SYLAN(シラン)」が加わりました。「SYLAN」は2021年に米国ポートランドに設立された「フットウェアデザインセンター」が、アスリートと共に導き出した「TRAVEL FAST & TRAVEL FAR(より速く、そして遠くへ)」というコンセプトで開発したテクニカルトレイル用のマウンテンランニングシューズです。
アッパーで目を引くのは目が荒く通気性が良さそうなメッシュと、タンと一体化したニットの履き口です。2レイヤーで構成されたアッパーの上層には。高強度ポリアミドとケブラーの複合繊維Matryx®を使用。
下層はタンと一体化されたブーティー構造になっています。トウボックスからサイド、そしてミッドフットのインサイドはTPUによる補強、ニットのUスロートはフォアフットまで拡張されていて屈曲性、通気性、快適性を高めています。ヒールカウンターは適度な強度で硬すぎない仕様となっています。
スタックハイトはフォアフット22.6mm、ヒール28.6mmでドロップは6mm。ミッドソールは軽量で反応性の高いEVAとポリオレフィンの合成物であるInFuseで、下層に硬めのフォーム、上層に柔らかめのフォームを採用しているため、高いエネルギーリターンと衝撃吸収力を発揮します。インソールは厚さ4.5mmの100%リサイクルEVAです。
アウトソールのコンパウンドはドライな路面でも、ウェットなコンディションでも抜群のグリップを発揮するVibram®︎のメガグリップを採用。ベース部分を薄くしたライトベース構造のため重量も抑えています。ラグは大小さまざまなひし形に近い四角形を複雑にちりばめてあり、高さは最大で6mm。センター付近はラグも小さく高さも抑えてあります。
シューズに足を入れてみると、履き口のニットが足首にぴたりとフィットします。アッパーの伸縮性は大きくありませんが、メッシュ素材がしなやかなのと一体化されたタンの伸縮性が良いので、フィット感は良好です。通気性は最高レベルで日本の夏には最適です。また、雨天時や渡渉の際の水抜けも良く重量増も最低限に抑えられます。
走りで最も印象的なのはやはりロッカー形状です。いわゆるロードの厚底スーパーシューズのロッカーをトレイルシューズに採用したようなイメージです。フロントのロッカーはアーリライズでミッドフット付近から立ち上がっています。このため、立っている時点で接地している部分が少なく、シューズはすぐに前に転がろうとします。
ロッカー形状による転がりを利用しながら走り出すと、どんどんスピードが上がっていきます。ミッドソールのリバウンドもありますが、ロッカーの形状を利用して重心を前に移動する流れを重視した走り方の方が「SYLAN」にはマッチしているようです。
足さばきは軽快で荒れた路面でもストレスはありません。その秘密はソールの形状にあります。ミッドソールはボトムに向かっていくに従って幅広になるフレア形状ですが、路面に触れる直前でテイパードしているため、接地幅が狭くなり足の荷重点とシューズの過重点の差異が少なく、リアルな足裏感覚になるためです。また、ソールのエッジが路面に引っかかりにくく、ねじれたトレイルでもスムーズに着地できました。条件の良いトレイルはもちろん、テクニカルトレイルでもコントローラブルでした。
ラグの大きさ、高さはエリアによって変えられていて、それがトータルで安定したグリップ力を発揮します。具体的には荷重が強くかかる母指球やヒール部分は大きくて高いラグががっちりと路面に噛みつき、土踏まず付近は小さくて浅いラグなので粘るように張り付いてくれます。
「SYLAN」は、テクニカルトレイルから林道までアベレージの高い走りを可能にするハイパフォーマンス・オールラウンドシューズですが、条件が厳しくなればなるほど真価を発揮します。チャレンジングなコースにこそ連れていきたいシューズです。
SYLAN(シラン)
・価格:34,100円(税込)
・サイズ:MEN 25.5-29.5cm / WOMEN 22.0-25.0cm
・カラー:MEN 3色 / WOMEN 2色
・重量(1/2ペア):292g
・スタックハイト:フォアフット22.6mm / ヒール 28.6mm
・ドロップ:6mm
◾️ARC’TERYX:https://arcteryx.jp/