TrailRunner

【Review】Garmin「Forerunner 970 (フォアランナー 970)」

最高峰の性能に最先端の機能を追加したランニング用フラッグシップGPSウォッチ

 

 

Summary

高彩度AMOLEDディスプレイ搭載(高精細で日中でも視認性が高い)

・オフライン対応フルカラーマップによる充実したナビゲーション機能
・スピーカー&マイクを搭載。音声アシスタント、音声コマンド、通話対応
・ 「ランニング耐久値」「ランニングエコノミー」「ステップスピードロス」の新指標を搭載

 

 

Garmin(ガーミン)のランナー向けフラッグシップモデル「Forerunner 970(フォアランナー 970)」が登場しました。シリーズ初の音声コマンド対応や心電図(ECG)機能、そして「ランニング耐久性」などの新指標を搭載したこの最先端マルチスポーツウォッチは、トレイルランナーにとってどのような進化をもたらすのでしょうか。

 

 

ボディは、前作の「Forerunner 965」と同じ1.4インチのディスプレイを搭載しながらも、若干小さくなっていて、重量は3gだけ増えています。誤差のレベルですが(笑)。ベルトはQuickFitウォッチバンド互換の22mmとなっています。

まず気づくのは、明るくなった1.4インチのAMOLEDディスプレイです。太陽光の下でも情報をはっきりと読み取れ、視認性は格段に向上しました。さらに、Forerunnerシリーズ初のサファイアレンズ搭載で画面の耐久性も向上しています。

LEDフラッシュライトもForerunnerシリーズとしては初めて装備されました。ライトはホワイトとレッドを選択でき、SOSを含めたさまざまな点滅パターンを設定することができます。便利だと思ったのは、日没になると自動で点滅を始める設定でした。

 

 

衛星の測位性能は、Garminの上位モデルにふさわしく、マルチバンドGNSS(GPS・GLONASS・Galileo・みちびき)に対応。山岳地帯や樹林帯といった厳しい環境でも、位置情報の取得精度は高く、ルートを正確に記録します。また、フルカラーのオフラインマップが内蔵されていて、現在位置の表示やルートナビゲーションが可能です。

もちろん、Garminの大きなアドバンテージと言えるSatIQ(衛星自動選択モード)技術も搭載。環境に応じて最適なGPSモードを自動的に選択するGPS技術は、安定した測位を行いながら、バッテリーの消費を抑えることができます。また、ルートナビゲーション中にコースの登り(下りも可)の詳細データを区間ごとに表示するClimbPro(クライムプロ)も搭載されているため、コースをより立体的に把握することができます。

 

ルートナビゲーション中の画面。

 

バッテリー性能はスマートウォッチモードとGPSモードでは前作よりも稼働時間が短くなっていますが、メインで使用するであろう衛星自動選択モードでは約23時間、マルチGNSSマルチバンドモードでは約21時間と前作よりも稼働時間が伸びています。

アウトドアでの機能も充実しています。高度計、気圧計、電子コンパスを内蔵。これにより、現在地の正確な標高把握はもちろん、気圧の変化から天候の急変を予測したり、現在向かっている方向を正確に把握したりすることが可能です。特に山間部のトレイルでは、これらのセンサーが提供するリアルタイムの情報が、安全な行動計画や判断に直結します。また、セーフティ&トラッキング機能として友人や家族とリアルタイムで実行中のアクティビティやレースを共有できるライブトラックや事故検出、援助要請の機能も充実しています。

 

(左)日の出、日の入り。(中)天気予報。(右)コンパス。

 

注目の新機能は、スピーカーとマイクを搭載したことで追加された音声アシスタントと音声コマンドです。音声アシストは、スマートフォンのSiri、Googleアシスタントなどの音声アシスタントをウォッチから使える機能です。スマートフォンの音声アシスタントを起動し、予定の確認や天気、リマインダー設定、メッセージ送信などが可能です。

 

音声コマンドの画面。音声認識の精度は高い。

 

一方、音声コマンドはウォッチ自体が音声を認識して操作が可能になる機能です。例えば、大会中にエイドの滞在時間を管理したい場合などに「15分計って」と言えばタイマーを設定してくれたり、ナビゲーション中に「ここをポイント登録する」と言えば現在地の位置情報を取得し、ポイント登録の確認画面を表示してくれたりと、ウォッチの操作を減らすことができます。

さらに、Garmin ECGアプリに対応し、Forerunnerシリーズとしては初めて心電図をスマートウォッチで記録できるようになりました。また、皮膚温センサーも搭載されており、日々のコンディションを数値で“見える化”できます。これにより、「今日はなんとなくだるい」という感覚を客観的なデータで判断できるようになり、過負荷の予防や故障回避に直結するでしょう。

また、従来のVO2maxやトレーニングステータスに加え、新たに3つの指標が追加されました。
一つ目は「ランニング耐久値」です。トレーニング中に身体がどれだけ衝撃に耐えられているかを数値化し、ロングトレイル中の“脚の持ち”を把握したり、トレーニングによる耐久性の成長を確認したりするのに役立ちます。

 

「ランニング耐久値」は身体にかかる衝撃負荷にどれだけ耐えられるかを示す新しい指標。

 

二つ目と三つ目はハートレートセンサー「HRM 600」とのペアリングが必要ですが、エネルギー効率の良し悪しを数値で表示する「ランニングエコノミー」と、疲労による歩幅・ピッチの変化を数値で分析し、ロングトレイルの終盤でピッチや歩幅が落ちていないかを確認したり、自分の疲労耐性を定量的に見たいときに活用できる「ステップスピードロス」です。

これらの新指標は、「ただ走る」から「走りを科学する」ランナーへとステップアップするための強力なツールとなるでしょう。レース後の分析だけでなく、日々の気づき、改善、成長のサイクルを回すために、日常的に活用してみたいです。

「Forerunner 970」は最高レベルの衛星測位性能とルートナビゲーション、そして進化したアウトドア機能というトレイルランニングに必要な要素を抑えた上で、身体・環境・フォームをすべてデータで“見える化”し、よりスマートで安全なトレーニング環境を提供してくれる最新鋭のウォッチです。

 

■Forerunner 970と965の機能比較表

Forerunner 970 Forerunner 965
重量 56g 53g
サイズ 47x47x12.9mm 47.2×47.2×13.2mm
ディスプレイ 1.4インチ AMOLED
レンズ素材 サファイアクリスタル Corning
ゴリガラス DX
ベゼル素材 チタン
防水等級 5ATM(50m防水)
スピーカー/マイク 内蔵
LEDフラッシュ
ライト
あり
心電図
(ECG)対応
あり
皮膚温
センサー
あり
新ランニング指標 ランニング耐久性
ランニングエコノミー
ステップスピードロス
地図機能 オフライン地図対応
衛星測位 GPS、GLONASS、Galileo、みちびき、マルチバンド対応
稼働時間

スマートウォッチ
モード
約15日間 約23日間
GPSモード 約26時間 約31時間
衛星自動選択モード 約23時間 約22時間
マルチGNSS
マルチバンドモード
約21時間 約19時間
音楽保存 Spotify、Amazon Music対応
Garmin Pay 対応
Suica対応 対応

 

 

 

 

■ガーミンジャパン株式会社:https://www.garmin.co.jp/

 

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