一般ランナーでも優しさを感じられる、トレイル版レーシングフラット
世界で活躍するエリートアスリートと共にレーシングシューズを開発しているMerrell Test Lab.(メレル テスト ラボ)からリリースされた新作「MTL SKYFIRE 2(MTL スカイファイア 2)」は、ショートディスタンスレース向けのフラッグシップモデルです。一見してアスリート向けなのは確かですが、果たしてどこまでの戦闘力なのか? そしてどの程度の汎用性があるのでしょうか?
アッパーはエンジニアードメッシュのシングルレイヤーですが、伸縮性を抑えた極細の糸で作られているため内部が透けるほど薄い仕上がりです。TPUによる補強の他、サイド、トウは内側にも補強を施してあります。タンもアッパーと同素材なので抜群の通気性を発揮します。リサイクル素材100%のシューレースは伸縮性がほとんどなくホールド力を優先しているようです。余ったシューレースのバタつきを抑えるレースキーパーも付いています。
ヒールはハイバックになっていますが、足首周りのパッドは内部の少し低い位置についています。ヒールカウンターは内部の柔らかめの補強にプラスして、ソールに内蔵されたプレートが踵後部から立ち上がり、安定感を高める仕様となっています。
ソールのスタックハイトはフォアフット18mm、ヒール24mm。ドロップは6mmです。ミッドソールは軽量で反発弾性が長期間持続するフロートプロ™を2層構造で配置。その2層の間にBZM-8 (ガラス繊維強化ポリアミド) プレートをフルレングスでインサートしています。このプレートは路面からの突き上げを緩和するロックプレートとして機能するほか、走行時のエネルギリターンを増幅する役割も担っています。
アウトソールはハイスペックモデルで定番となっているVibram メガグリップ。シェブロン形状のラグは高さ5mm。ラグの数は少なく、大胆に肉抜きされた部分はミッドソールも凹ませてあります。
足を入れてみると、予想通りヒールは小さく横幅もタイト、フォアフットも先細なので足を選ぶシューズかもしれません。もしくは、通常よりもハーフサイズアップするのも一案だと思います。
アッパーの伸縮性はほとんどないので、しっかりとフィットするように念入りにシューレースのテンションを調整すると足との一体感が高くなります。通気性は驚愕レベル! これ以上を求めるなら通気性の良いソックスを履くしかないです(笑)。
まずはロードを走ってみました。約200g(27.0cm)という重量はやはり圧倒的な軽さを感じます。エネルギーリターンはしっかりと感じられますが、癖がなく素直な印象でした。ヒールにもフォアフットにも適度なロッカーを感じられるので、ソールの反発とロッカーによるローリングをうまく融合させると効率良く走れるように思います。
トレイルではソールのパワーと強力なグリップを感じながらアグレッシブに走ることができますが、レーシングシューズでありながら、クッションは意外に柔らかく、とくにヒールは後部で着地してもふんわりとショックを吸収してくれます。また、ソールの幅が狭いのでガレ場やピッチの狭い階段などでの細かいステップは踏みやすいです。
このレベルのシューズにしてはヒールカウンターがしっかりしているので下りで踵着地になってもしっかりとサポートしてくれます。
「MTL SKYFIRE 2」はトップアスリート向けのショートディスタンス用シューズで、バーティカルやスカイレース、ショートディスタンスのトレイルレースがターゲットだとは思いますが、汎用性も高く、一般ランナーもショートレースなら十分に使用できると思います。また、疎水性が高く、濡れても重量増を最小限に抑えられ、マッディな路面でもしっかりしたグリップを得られることから、雨のトレイルでも本領を発揮しれくれるでしょう。普段のツーリングならダイレクトな接地感を楽しみつつ足を鍛えながら走ってみるのも面白い使い方ではないかと思います。
MTL SKYFIRE 2
エムティーエル スカイファイア 2
・価格:¥18,700(税込)
・スタックハイト:フォアフット18mm、ヒール24mm
・ドロップ:6mm
■メンズ:25.0–30.0cm [約200g(27.0cm/片足)] カラー:オレンジ
■ウィメンズ:22.5–25.5cm [約170g(24.0cm/片足)] カラー:オレンジ
■MERRELL:https://merrell.jp/
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