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【技術連載】ゼロベースランニング #2 人間本来の走り方

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#2 人間本来の走り方 

僕は、ランニングコーチとして、そして鍼灸マッサージ師として、多くのランナーや故障を抱えた方と向き合っています。そんな現場で気づくのが、ランナーが抱いている「走ること」の常識には、大きな誤解があるということです。
たとえば、アキレス腱の痛みを訴えて来院された方は、「アキレス腱が痛いから、アキレス腱を治療してほしい」とおっしゃいますが、これが大きな誤解のひとつです。
そもそも、なぜアキレス腱を痛めたのか? その原因をハッキリさせる必要があるのです。その原因が実は「姿勢」にあることに、気づいているでしょうか?

a60a3389◆胴体を丸めたまま走っていませんか?
半年以上治療院に通い続けても、走るのをやめても、いざ走りだすと出てくるアキレス腱の痛みの原因が、姿勢にあるといわれても半信半疑でしょう。
アキレス腱の痛みにはアキレス腱を治療し、ヒザの痛みにはヒザを治療する。これがほとんどのランナーが受ける一般的なアプローチです。しかし、既存の治療で改善しましたか? もし改善したのであれば、それはものすごくラッキーです。
多くのランナーは、患部のみの治療では改善せず、相変わらず痛みを我慢しながら走り続けているのです。
答えは簡単です。痛みが出るような走り方をしているから。
もっとも肝心な胴体を丸め、そして固めて走っていることが、アキレス腱の痛みの原因なのです。本書で「胴体」と呼ぶ体の幹の部分を再開発することで、患部を全く治療せずとも故障が改善するのは、特に驚くべきことではありません。
なぜなら、痛みが出る原因になっている姿勢を直すことがもっとも大切だからです。痛みが出る走り方から、痛みが出ない走り方に変わったのです。

◆人間本来の自然な走りを知るために
僕は中学から大学まで陸上競技に励んでいました。しかし、故障が多く、肝心な時に走ることができない選手でした。
だからこの仕事を選んだのです。なぜランナーは故障するのか? なぜ、故障を繰り返すのか? 現役の頃からずっと疑問を持っていました。鍼灸マッサージ師の資格を取ってからは、ランナーを診る機会が多くなりましたが、この疑問はますます深まるばかり。
そこで、故障をしない走りとはどういうものなのかを、自分の体で検証することにしたのです。そして、人間本来の自然な走りを知るために、まずはシューズを脱いで、裸足で走ってみることにしました。
しかし、ここで大きな壁に直面することになります。ふくらはぎの肉離れを起こしたのです。しかも、左右3往復も。治っては反対側が肉離れ、治ってはまた反対側が肉離れ。さすがに3回も繰り返した時は、ほとほと参りました。ただし、おかげであることに気づいたのです。
それは、胴体の動きを改善すること。これにより、肉離れとは無縁になりました。
元々、僕は中距離を得意とするランナーだったので、胴体を固めて足首のキックで走る癖がついていたのでしょう。それを、ふくらはぎの肉離れという「ケガ=先生」が教えてくれたのです。
それからというもの、ランナーの故障を治療する時は、患部にはほとんど触らず、その根本の原因となっている姿勢を改善することに注力していますし、それで効果を上げることができています。

◆重力を有効活用する
僕たち人間は、二足歩行する動物です。ですから、体には二足歩行をするための構造と機能が備わっています。そして、僕たちが生きている地球には重力があります。地球に住むすべての人が同じように享受している重力を、すべての人が活用できているかといえば、そうではありません。
重力という恩恵があるにもかかわらず、あえて自分の筋力を優先的に使って、重力と真っ向から対立するような、いわば重力を敵に回しているランナーが多いのです。
たとえば、マラソンを走るのであればカカトから着地しないといけないと考えていませんか? これは僕が現場でいつも遭遇する誤解のひとつです。カカト着地は長年、正攻法とされ、常識のように錯覚されてきましたが、実はものすごくリスクをはらんだ、難しい着地だということをご存知でしょうか?
また、走るという前進運動は、つま先で地面を蹴ることが必要不可欠だという誤解も、ものすごく多いです。心当たりがありませんか?
重力という自然の力をランニングに生かせないと、僕たちは必要以上に頑張らなければなりせん。使わなくてもいいエネルギーを使って、余計な疲労を抱えなければいけなくなるのです。

(『走りの常識を変える!フォームをリセットする! ゼロベースランニング』はじめにより)

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#1  たどり着いたのはナチュラルランニング
 #2   人間本来の走り方
 #3   走りをゼロから考え直す
#4   胴体の動きは四肢の動きに先行するSPACE_10PX
#5   「バネ」のメカニズムを発動せよ
#6   カカトを押しつける
 #7   振り子のステップ
#8   腕は振るのではなく振られる
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   ■関連記事
   【REPORT】走りの本質が見えた! 高岡尚司のナチュラルランニングワークショップ
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走りの常識を変える!フォームをリセットする! ゼロベースランニング
発行元:実業之日本社
判型:四六判、192ページ
定価:本体1300円+税
ISBN: 978-4-408-45615-7
発売日: 2016年12月2日
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トレーニングの動画はこちら


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■著者 高岡尚司:1978年生まれ。福岡県大牟田高校から帝京大学へ進学。関東学生陸上競技対抗選手権大会 などで活躍。ケガを経験し選手の道をあきらめ、トレーナー、鍼灸・あん摩マッサージ指圧師として活動していく中で行き着いたのが「ゼロベースランニング」。裸足感覚のシューズをつくれないかという想いから足袋メーカー・きねや足袋と「MUTEKI」を共同開発。2014年からベアフット(裸足)感覚を追求した「ALTRA」シューズのアンバサダーに就任。現在は、自身が提唱する「ゼロベースランニング」の普及と、オリンピックで活躍するランナーを育てるプロジェクトに参画し、コーチとしても活動している。2012湘南国際マラソン 2時間45分39秒(裸足フルマラソン日本最高)。http://www.takaokashoji.com/

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