TrailRunner

【Review】adidas TERREX 「AGRAVIC SPEED ULTRA 2」「AGRAVIC TT」「AGRAVIC SPEED 2」

距離と地形で選ぶ、最先端レーシングトレイルシューズ

 

Summary
・距離と路面特性に応じて最適化されたトレイルシリーズ
・高速ウルトラで推進力を最大化する「AGRAVIC SPEED ULTRA 2」
・テクニカルなロングレースで安定感を発揮する「AGRAVIC TT」
・軽快さと反応性を重視したショート〜ミドル向け「AGRAVIC SPEED 2」

 

adidas(アディダス)のアウトドア専門ライン TERREX(テレックス)が展開する「AGRAVIC」シリーズは、トレイルランニングにおける“速さ”を明確な軸に据えたレーシングシリーズです。ロードランニングで培われたADIZEROシリーズの走行効率や推進力の考え方をベースに、トレイル特有の路面変化や安定性を加味しながら、距離やコース特性に応じた最適解を提示しています。今回紹介する「AGRAVIC SPEED ULTRA 2」「AGRAVIC TT」「AGRAVIC SPEED 2」は、その思想を共有しつつ、用途ごとに明確な役割を与えられた3モデルです。

 

(左より)「AGRAVIC SPEED ULTRA 2」 「AGRAVIC TT」 「AGRAVIC SPEED 2」

 

まず、アッパーの基本構成は3モデルとも共通です。メインにはポリアミドで補強した軽量リップストップモノメッシュのシングルレイヤーを採用。軽さと通気性を確保しながら、TPUオーバーレイとアンダーレイを組み合わせた補強構造により、走行中のブレを抑えつつ耐久性も確保しています。

 

リップストップモノメッシュのアッパー。赤く見えるのは中が透けているためで、足を入れるとソックスが透けて見える。

 

タンは極薄で中央部にのみ薄いパッドを配置し、メッシュ素材のままソールと接続される構造です。これにより、足とシューズの一体感が高められています。ヒールカウンターは比較的柔らかめで、踵をしっかりと包み込んでくれます。

 

薄いタンはセンター部にのみパッドを配置。また、メッシュ素材でソールと接続されている。

 

ソールユニットには、高反発でエネルギーリターンに優れるLightstrike Proミッドソールを核とし、ダイナミックロッカー形状によって前方への推進力を高める設計を採用しています。「AGRAVIC SPEED ULTRA 2」と「AGRAVIC TT」には人間の中足骨構造をヒントに設計されたエナジーロッド(棒状のパーツ)を内蔵していますが、味付けが異なります。「AGRAVIC SPEED ULTRA 2」は推進力を高めているのに対して、「AGRAVIC TT」は足を保護し、安定感を高める方向性となっています。

 

(左より)「AGRAVIC SPEED ULTRA 2」 「AGRAVIC TT」 「AGRAVIC SPEED 2」

 

アウトソールには、ドライ・ウェットを問わず高い信頼性を発揮するContinental™ラバーを使用し、スピードを維持するための走行効率と安心感を両立しています。ラグの高さや形状はモデルごとに異なっています。

 

それでは各モデルを見ていきましょう。

ロングディスタンス向けに位置づけられる「AGRAVIC SPEED ULTRA 2」と「AGRAVIC TT」は、いずれも十分なスタックハイトを備え、長時間のレースでも走行効率を落としにくい構成となっています。

 

「AGRAVIC SPEED ULTRA 2」

 

「AGRAVIC SPEED ULTRA 2」は、世界最高峰のトレイルランナーがウルトラディスタンスレース本番で実戦投入してきたフラッグシップモデルです。接地幅が最も広いポイントがやや後方に配置されているため、ミッドフットで着地した際に高い安定感を発揮します。ヒールがスリムな設計のため、軽快なステップを刻みやすい点も特徴です。

 

幅広のフォアフット、そして極端に絞られたミッドフットとスリムなヒール。

 

自然にスピードが上がるアグレッシブなロッカーは進行方向だけではなく左右方向にも自然にローリングするため、スムーズな荷重移動をアシストしてくれます。

ミッドソールに内蔵された複合樹脂のエナジーロッドは推進力を高め、不整地でも足の動きに追従しやすくなっています。ラグ高さを3mmと4mmで使い分けたアウトソールはグリップのバランスも良く、滑らかなトレイルで快適なだけでなく、濡れた岩場でも不安はありませんでした。

「AGRAVIC SPEED ULTRA 2」は、クッション性は十分に備えていますが、楽に走れる厚底シューズというよりは、ある程度のスピードを前提とした走りにマッチする印象です。とはいえ、挙動が過度に強調されることはなく、「走らされている」と感じるほどではない、絶妙なチューニングだと感じました。

 

一方の「AGRAVIC TT」は、よりテクニカルな路面への対応力を重視したロング向けモデルです。スタックハイトは「AGRAVIC SPEED ULTRA 2」より4mm低く設定されていますが、十分な厚みがあります。接地幅は特に中足部が広くなっていますが、いわゆる厚底シューズと違い、ヒール部はスリムです。

 

「AGRAVIC TT」

 

「AGRAVIC TT」のエナジーロッドは足を保護することに主眼を置いた味付けのため、推進力は控えめですが、テクニカルな路面でも足元が暴れにくく、コントロール性に優れています。

推進力や転がり感は「AGRAVIC SPEED ULTRA 2」ほど強調されていませんが、プラットフォームが幅広いため、高い安定感が得られます。また、ミッドソール側面(コバ)に見えるプレート部分がくり抜かれていることで、横方向への荷重移動もスムーズに行えます。

 

 

高さ4.5mmのラグはマッディな路面でもしっかりとグリップしてくれるほか、岩場やガレたトレイルでも安心して踏み込むことができます。パフォーマンス志向の「AGRAVIC SPEED ULTRA 2」に対し、「AGRAVIC TT」は地形への対応力と安定感を重視したモデルと言えるでしょう。

 

最後に「AGRAVIC SPEED 2」です。このシューズはテクニカルなトレイルでスピードを追求するための、明確なキャラクターを持ったレーシングモデルです。

 

「AGRAVIC SPEED 2」

 

重量は215gと非常に軽く、フィット感はややタイト。スピードを出しても足とシューズの一体感を維持しやすく、俊敏な走りを支えてくれます。接地感はよりダイレクトで、反発の立ち上がりも速く、テンポの良い走りがしやすい印象です。厚底モデルのように支えられる感覚は控えめですが、その分、スピードに乗った際の反応性と足さばきの良さはシリーズ随一。

 

スタックハイトは低めで、いかにもレーシングシューズといったフォルム。

 

軽量性、高反発、安定感のバランスは、ショート〜ミドルディスタンスのレースでこそ最大限に活きます。「AGRAVIC」シリーズの中でも、「速さ」に振り切った一足として、攻めの走りを後押ししてくれる存在です。ショート〜ミドルレースはもちろん、スピード系トレーニングとの相性も高く、軽快さとキレのある走りを求めるランナーにとって魅力的なモデルに仕上がっています。

 

ロングディスタンスで走れるコースを主体に、ある程度のスピードを維持したい場合は「AGRAVIC SPEED ULTRA 2」、テクニカルなロングコースで安定感を重視するなら「AGRAVIC TT」、ショート〜ミドルディスタンスで軽快なスピード感を楽しみたい場合は「AGRAVIC SPEED 2」を選ぶことで、それぞれのモデルが持つ性能を最大限に引き出せるでしょう。

 

AGRAVIC
SPEED ULTRA 2
AGRAVIC
TT
AGRAVIC
SPEED 2
重量(27.0cm) 265g 270g 215g
スタックハイト 43mm/35mm 39mm/31mm 35mm/27mm
ドロップ 8mm 8mm 8mm
ミッドソール Lightstrike Pro Lightstrike Pro
Lightstrike
Lightstrike Pro
Lightstrike
エナジーロッド あり (推進力) あり (安定性) なし
アウトソール Continental™ Continental™ Continental™
ラグの高さ 3mm & 4mm 4.5mm 3mm

 

 

AGRAVIC SPEED ULTRA 2
(アグラヴィック スピード ウルトラ 2)
・品番:JS3534
・価格:29,700円(税込)
・サイズ:25.0–30.0cm
・カラー:フットウェアホワイト/コアブラック/セミインパクトオレンジ

 

 

AGRAVIC TT
(アグラヴィック TT)
・品番:HP7011
・価格:24,200円(税込)
・サイズ:25.0–30.0cm
・カラー:フットウェアホワイト/コアブラック/セミインパクトオレンジ

 

 

AGRAVIC SPEED 2
(アグラヴィック スピード 2)
・品番:JS3536
・価格:22,000円(税込)
・サイズ:25.0–30.0cm
・カラー:フットウェアホワイト/コアブラック/セミインパクトオレンジ

 

■adidas TERREX:https://www.adidas.co.jp/terrex

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