十二分な強度と強力なグリップを備えたオールラウンドな厚底シューズ
キリアン・ジョルネとカンペールが立ち上げたブランド、NNormalがついに日本に上陸。リリースしたトレイルランニングシューズは2モデル。一つはスピード系オールラウンドの「KJERAG(ジェーラグ)」。そして、もう一つが今回紹介する「TOMIR(トミール)」で、卓越した強度と多用途性が特徴の厚底モデルです。
「TOMIR」のアッパーはモノフィラメントポリエステルとTPEを独自にブレンドした素材。非常に強度が高く、摩擦や引っ掛かりに対して強い耐性があります。加えてしっかりしたオーバーレイの補強が随所に張り巡らされています。さらに、アッパーはミッドソールに縫い付けられており耐久性も高いレベルとなっています。トレイルランニングシューズとしては最高レベルの強度と言っていいと思います。
伸縮性はありませんが、人間工学の観点からシューレースを斜めに取り付けたアシンメトリーレーシングや、パッド付きのガセットタンなど、フィット感を高めるための工夫は多く見られます。
ソールのスタックハイトは、フォアフット23mm、ヒール31mm、ドロップは8mmですが、実はインソールに2mmのドロップがあるため、実質は10mmになるはずです(スタックハイトにインソールの厚さは含まれていない)。
肉厚のミッドソールは単層のEVAでロックプレートは挿入されていません。ヒール部分は軽いフレア形状で接地幅は「KJERAG」よりも少し広めですが、厚底シューズとしては広い部類ではありません。また、ヒールエンドは2cm近く伸ばされています。
アウトソールのコンパウンドはVIibram®のメガグリップ。厚底シューズにしては珍しくフルレングスで使用しています。また、ベース部分の厚さを半分に抑えたライトベース構造によりアウトソールの重量を30%軽量化しています。
極端に数が少ないラグの高さは5mmで、センターにスパイクのような六角形のラグ、サイドにはキャタピラタイプを採用しています。
「TOMIR」は「KJERAG」と同様にユニセックスサイズで、小さいサイズには細身の女性専用ラストを、中間のサイズにはトランジションラスト、大きなサイズには男性専用ラストを使用しています。また、サイズはハーフから1サイズ程度大きめです。
足を入れてみるとミッドフットからヒールがピッタリとフィットしてくれ、フォアフット部は指を動かせるくらいのゆとりがあります。斜めに配置されたシューレースはうまく圧力を分散してくれ、ナチュラルなフィット感でした。
走ってみると、アッパーがしっかりしているので足がブレることなく安定感と安心感があります。フォアフットにゆとりがあってもヒールホールドがしっかりしているので、足全体が不安定になることはありませんでした。最初は硬さを感じましたが、20kmほど走るとかなり馴染んで足との一体感が高まりました。レースなどで使用する場合、本番前の慣らしは必須です。
ソールが厚いのでクッション性は高いのですが、ふわふわした感じはなく、適度に反発を感じました。ソールのフレックスとトーションは硬めで、ロッカーはフロントにほんのり感じる程度。ロックプレートは入っていませんが、厚底のミッドソールとフルレングスのアウトソールのおかげで、トレイルからの突き上げで足が痛くなることはありませんでした。
印象的だったのはグリップ力です。高さ5mmのしっかりしたラグは角が鋭くて硬いだけでなく、ラグの数が少ないために圧が集中し路面に食い込みやすくなっているように感じました。もちろん、ラグの間隔が広いので泥はけも良好。また、メガグリップを採用しているため、濡れた岩などでも安定感があり、グリップで不満に感じるところはありませんでした。
「TOMIR」の特徴は汎用性の高さと強力なグリップ。そして、シューズ全体の強度、耐久性にあります。
とくに、耐久性については、環境への負荷を減らすというキリアン・ジョルネの考え方が反映されていることが理解できました。「TOMIR」は長く履くほど愛着が湧いてくるシューズなのだと思います。
TOMIR Unisex
(トミール)
・価格:¥27,500(税込)
・カラー:Beige / Grey / White
・サイズ:22.5-28.5cm
・重量:240g(26.5cm)
■NNormal:https://www.nnormal.com/ja_JP