どんなに詰め込んでも、快適なフィット感
バックパックの基本性能への忠実さに脱帽
トレイルランニング用のバックパックでは、軽さの追求は避けて通れませんが、オスプレーの「バイパー10」は、純粋な軽量化だけを追い求めるのではなく、基本性能を高い次元で維持していることがポイントとなります。
まず注目したいのは、付属のリザーバー「ハイドラフォームレザヴォア」(以下、レザヴォア)です。オスプレーとナルゲンによる共同開発で2010年にデビューしました。一番の特徴はしっかりしたフレーム構造になっているということ。正面にはハンドルと80mmの大口径のキャップ、背面には背中の湾曲にあわせたプラスチックのプレートが入っています。ハンドルは水を入れたり取り回したりするのに便利なだけではなく、パッキングした状態のバックパックにレザヴォアを簡単に挿入することができます。レザヴォアはパック内で自立しますので、吊り下げる必要もありません。これだけでも、かなり使い勝手が優れているわけですが、背負ってみると、さらなる感動が待っています。
レザヴォアは背面のプレートのおかげで満タンにした状態でも背中側は初期のアーチを維持し、いびつに膨れることがなく、きれいに背中にフィットしてくれます。さらに「バイパー10」本体は、かなりしっかりした作りになっているのが特徴です。トレイルランニング用のバックパックではフレームが入っている商品は稀ですが、「バイパー10」にはレザヴォアを含めると3枚のプラスチックプレートが入っているため、型崩れがなく、どんなに荷物を入れてもフィット感は変わりません。レザヴォアを内蔵することを前提に設計していて、メインコンパートメントとのしきり部分にレザヴォアの形に合ったプレートが挿入されています(写真右)。これにより、背中のカーブに関してはどんなに荷物や水を入れても完全に形を維持することができるのです。結果、背中のフィット感に違和感を覚えることなく、走りに集中することができるのです。また、このプレートのおかげでレザヴォアには適度な圧力がかかっていて、強く吸い込まなくても水を飲むことができます。この圧力は水が半分以下になるまで感じることができました。ちなみに、飲み口のバルブはまっすぐに伸ばすとロックがかかり、左右取りらか垂直にひねる水を出せる仕組みになっています。
余談ですが、ここ一番というレースでの裏技としては、このプレートをはずして使うのも手かもしれません。100g強軽くなります。もちろん、全体のしっかり感は落ちますが、実用には十分に耐えられます。
ショルダーハーネスは上部から徐々に薄くなり、肩のカーブにしっかりフィットするように作られています。ヒップベルトは取り外し可能で比較的細めになっているので、全体のフィット感はショルダー部分を中心に上部のほうで強くホールドしている感じがしました。
外側からアクセスできるポケットは前面に2つ、ショルダーハーネスに一つ。メインコンパートメントの中には3つのポケットとキーリングがあります。ヒップベルトにはポケットがありませんので、走りながら使用できるポケットはショルダーハーネスの1つのみとなります。この部分はオスプレーの純正オプションや他のポーチをヒップベルトに付け加えてカスタマイズしたいところです。
総合的な印象としては、やはり、背負ったときの快適さを重視しているバックパックということができると思います。軽さだけにこだわらずに、持つ喜びを味わえる質感、そして、使い心地の良さは、さすがオスプレー。これは、ショップで空の状態で試したのでは判りません。荷物と水をふんだんに入れて初めて自覚できます。登山用の大きめのバックパックを使っている人なら、その辺の感覚がよく判るのではないかと思います。
レザヴォアはハンドルがついているので取り回しが楽にできる。このハンドルはフレームの役割も果たしていて、パッキングした状態のバックパックに楽に挿入することができる。 | |
ハンドルの下部は取り外しが可能なので、チューブのメンテナンスも問題なし。 | |
Viper 10
バイパー10
■価格/¥9,450
■サイズ/1サイズ
■対応背面長/48.3cm以上
■容量/10リットル
■重量/530g(レザヴォア含まず)
■外寸/縦44×横20×奥13cm
■生地/210Dダブルリップストップ ナイロン、600Dポリエステル
■カラー/サンダークラウド(TH) エレクトリックスカイ(EL) スーパーノバ(SU)
■装備/ハイドラフォーム レザヴォア(3L)・リフレクティブグラフィック・ブリンカーライトアタッチメント・リッドロック・ツールオーガナイゼーション・リバースラップヒップベルト・行動食ポケット・正面のストレッチポケット・ブリンカーライトアタッチメント
■ロストアロー http://www.lostarrow.co.jp