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【SUUNTO】GPSウォッチ開発責任者が明かす「賢く使う裏ワザ」

距離や標高差など様々なデータを測定し、走ったログを記録できるGPSウォッチ。トレイルランをより深く楽しむために欠かせない存在です。数あるブランドのなかでもフィンランド生まれのSUUNTO(スント)は、トップ選手から一般ランナーまで幅広い層から支持を得ています。なぜSUUNTOはトレイルランナーを魅了してやまないのでしょうか? そしてより賢く使いこなすためのポイントとは? 本国フィンランドでプロダクトマネージャーを務めるマーカス・ケメッターさんに話をうかがいました。

—まずはマーカスさんがこれまで手がけた製品について教えてもらえますか。

私は初代「アンビット」から最新の「スント9」まで、SUUNTOのGPSウォッチの開発を担当してきました。

初代「アンビット」が登場したのは2012年。それまでもフィールドでの利用を想定したアウトドアウォッチや、ランニングやワークアウト向けのスポーツウォッチはありましたが、ひとつで両方のシーンに対応するものはありませんでした。アウトドアでもスポーツでも使える「アンビット」は世界中のアスリートから高い評価を得て、大成功を収めました。

左より、 Ambit、Ambit 2、Ambit 3、Spartan Ultra、Spartan Trainer Wrist HR

後継機の「アンビット2」ではスイミング、サイクリング、トライアスロンといった様々な競技に対応し、「アンビット3」ではBluetoothを搭載することでスマートフォンとのワイヤレス接続が可能に。そして「スパルタン」では初めてタッチスクリーンのカラー液晶を採用し、最新の「スント5」「スント9」はバッテリーの持ちやGPSの精度といった性能面が大幅に向上しています。そのように、2012年からの7年間で、SUUNTOのGPSウォッチは飛躍的な進化を遂げてきました。

最新モデル、左よりSuunto 9、Suunto 5

—他社の製品にはないSUUNTOならではの強みはどういったところにあると考えていますか?

ユーザビリティ、耐久性、計測の正確性。これらはどこよりも優れている自負しています。そして近年はバッテリー寿命の向上に力を入れてきました。また、どこから見ても美しいデザイン性やプレミアム感、そしてフィンランド製であることも、私たちのアイデンティティです。

近年、様々な機能を搭載した、いわゆるスマートウォッチが話題ですが、SUUNTOの製品はスマートウォッチではなく、あくまでもスポーツウォッチです。その軸は今後もブレることはありませんし、ターゲットのコンシューマーを変えるつもりもありません。

—SUUNTOのGPSウォッチをトレイルランで使いこなすうえで、意外と知られていない活用法や裏ワザなどがあれば教えてもらえますか。

はい。いくつかお教えしましょう。

■アプリと頻繁に同期することで、GPSを最適化する
GPSのログが正確でないと感じられるようになったときは、SUUNTOのアプリ「SuuntoApp」と頻繁に同期してみてください。そうすることで、時計内のGPS捕捉精度が最適化され、より速い信号取得と正確なログの記録が可能になります。

■ナビゲーション設定を変更して、位置情報の正確さをアップ
ソフトウェアのアップデートによって、ロシアの衛星「GLONASS」、EUの衛星「Galileo」に対応しました。設定の「ナビゲーション」で「GPS+GLONASS」または「GPS+Galileo」を選ぶことで、高いビルの合間のようなGPS信号が届きにくい場所でも、より正確な位置情報を取得することができます。

ただし、「GPS+GLONASS」「GPS+Galileo」を利用すると、通常よりも10〜20%ほど多くのバッテリーを消費します。その点は注意が必要です。

なお、それらを利用するには最新のソフトウェアが必要です。まだアップデートしてない方は、ぜひアップデートしてください。

■バーティカルスピード(垂直速度)を意識する
SUUNTOのGPSウォッチは様々なデータを測定可能ですが、あのキリアン・ジョルネ選手が特に重視しているふたつの要素があります。

ひとつが「アセント(累積標高)」。これはみなさんもよくご存知ですよね。登った高さの合計を示した数値です。

キリアンが重要視しているのは、アセント(累積標高)とバーティカルスピード(垂直速度)

もうひとつが「バーティカルスピード(垂直速度)」。これは時間あたりどれくらい登ったかを示した数値です。こちらは意外とおろそかにしている人が多いのではないでしょうか? キリアンに限らず、ヨーロッパの選手はこの数値を意識している人がとても多いです。アプリ上でもウォッチ上でも見ることができますので、トレーニングの際はぜひチェックしてみてください。

SuuntoAppで表示されるバーティカルスピード(垂直速度)

■POI(ポイントオブインタレスト)を使いこなす
特定の場所を保存して、後でナビゲートするために使用する「POI」という機能。これはランニング以外でも活用することができます。

たとえば、駐車場にクルマを停めたときに使えば、そこからお出かけして自分のクルマに戻るときに迷わずに済みます。旅行など見知らぬ土地を訪れたときにも重宝します。

—最後に、SUUNTOの今後のビジョンをお聞かせいただけますか。

SUUNTOはより良い製品を世に送り出し続けるため、常にユーザーの声に耳を傾け、機能や性能の改善に取り組んでいます。今後の展開にもぜひ期待していてください。

FinisherPix®

マーカス・ケメッター
フィンランド生まれ。2001年、SUUNTOに入社。ソフトウェア開発、コンセプト開発、システム設計など様々な部署を経て、現在はプロダクトマネージャーとして新製品の開発を統括。自身もスポーツをこよなく愛し、アイアンマン完走歴22回を誇るトライアスリートでもある。

■取材・文/榎本一生

■SUUNTO https://www.suunto.com/ja-jp/

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