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【Interview】THE NORTH FACEアスリート森本幸司選手が語る「KAI 70」の抱負と選手へのアドバイス

2023年「KAI 70」のスタート。

 

日本を代表するトレイルランニングレース「Mt. FUJI 100」。その花形種目と言えば「FUJI 100mi」(166.6km)ですが、2024年は「KAI 70」(69.4km)の人気も沸騰しました。そして、今回はスタート時刻の変更もあり、今までとは少し違った展開となりそうです。そこで、「KAI 70」に出場するTHE NORTH FACE アスリートの森本幸司選手に戦略と装備、そして一般ランナーへのアドバイスをお伺いしました。

 

「KAI 70」に出場する森本幸司選手。

 

ーー今回の「KAI 70」のエントリーにはどんな思いがあるのですか?

森本 トレイルランニングを始めて間もない頃、2015年の「STY(Shizuoka to Yamanashi・約80.5km)」に出場して以来、久しぶりに「KAI 70」に出場します。「STY」ではいい走りができて2位でゴールできました。そこからいろいろな大会を経験しながら、「UTMF」の100マイルも経験しました。ですが、自分が納得できるようなパフォーマンスをなかなか発揮することができませんでした。そこで、昨年は一旦原点に戻るような気持ちで、「KAI 70」にエントリーしたのですが、怪我をしてしまって出場できませんでした。現在はまだ怪我が長引いている状態で、思うようにトレーニングを積み重ねられていないのが正直なところなんですが、その中で納得できる走りをしたいと思っています。

ーーその納得ができる走りとは、具体的にどんなイメージなのでしょうか?

森本 ボロボロでゴールするような感じではなくて、最後までしっかり走り切りたいですね。最初から攻めて、後半は粘ってゴールするという感じよりは、落ち着いて走りながら順位を上げていくイメージですね。順位でいうとやっぱり入賞に絡めるくらいでは走りたいと思っています。

 

トレイル&マウンテンランニング世界選手権大会 2023(オーストリア)

 

ーーどのような戦略を考えているのですか?

森本 そうですね、前半は結構走れるのですが、そこであまり走りすぎてしまわないように抑えながら行こうと思います。そして、後半の山中湖からはコースが厳しくなるので、そのあたりからプッシュしていけるような余力を残しておくイメージでいます。

ーーシューズは何を履く予定ですか?

森本 「SUMMIT VECTIV PRO」一択のつもりでいたのですが、最近は「VECTIV Infinite II」の感触が良くなってきたので、当日のコンディションで決めようと思っています。

ーー選択する際のポイントを教えてください。

森本 「SUMMIT VECTIV PRO」の方が走れるのは間違いありません。自分の足で蹴ることを意識しなくても、足を置くだけで前に進んでくれるようなイメージです。ですが、怪我の影響もあって今は足の筋力が落ちているので「VECTIV Infinite II」の方が足捌きがよく、楽に走れる印象がありました。ですから戦略的にレースの前半を重視するなら「SUMMIT VECTIV PRO」。後半を重視するなら「VECTIV Infinite II」という感じです。

 

SUMMIT VECTIV PRO 🔗メンズ 🔗ウィメンズ

VECTIV Infinite II 🔗メンズ 🔗ウィメンズ

 

ーー一般の選手の方へのシューズのアドバイスもお願いします。

森本 先日、熊本でシューズの試し履きイベントを開催しました。「SUMMIT VECTIV PRO」の人気はもちろん高かったのですが、「VECTIV Enduris III」や「VECTIV Infinite II」の方が走りやすいという声も意外に多くありました。後半になっても押せるだけの足があれば間違いなく「SUMMIT VECTIV PRO」がいいと思いますが、選手の方にとって70kがチャレンジングな距離の場合は「VECTIV Enduris III」か「VECTIV Infinite II」がいいと思います。

 

VECTIV Enduris III 🔗メンズ 🔗ウィメンズ

 

ーーバックパックは何を使用する予定ですか?

森本 装備が全て収まれば「TR Zero」でいくかもしれませんが、おそらく「TR 6」にすると思います。装備はなるべくコンパクトに、そして入れる場所はいつも同じところに決めています。

 

(左)TR 6(S / 6ℓ、M / 7ℓ、L / 8ℓ) 🔗 ユニセックス
(右)TR Zero(M / 2.5ℓ、L / 3ℓ) 🔗 ユニセックス

 

ーーレインウェア選びのポイントはありますか?

森本 天候次第のところがあるので、予報を見て天気がよさそうなら「FUTURELIGHT Trail Peak Jacket」のような軽量なレインを、雨の予報ならやはりゴアテックスのしっかりしたレインウェアに変えます。一般にはレインを複数枚持っている人は少ないかもしれませんが、もし買い足したりする場合は違ったタイプのレインを揃えてみるのもおすすめです。

ーー保温着は何を用意しますか?

森本 行動中でも着続けることができ「Ventrix Jacket」がおすすめですね。必携品としてはフードなしのタイプでOKなんですが、僕はフード付きの方が首周りが暖かいので好きですね。それと、必携品ではないのですが「Trail Emergency Hoodie」は持っていくことが多いです。重量は約90g(Lサイズ)で、通常のウインドシェルと比べても、重量やコンパクトさは変わらないのにとても暖かいです。スタートしてから身体が温まるまでに着たり、ちょっと肌寒いけどレインウェアを出して着るほどではないときも重宝します。

 

(左)Ventrix Trail Jacket 🔗ユニセックス
(右)Trail Emergency Hoodie 🔗ユニセックス

 

ーーエイドワークではどんなことに気を付けていますか?

森本 エイドに入る5分前くらいから、やることを順番に復唱します。1 ゴミを捨てる、2 ボトルに水を入れる、3…… みたいな感じです。それでも結構飛んじゃったりするんですよね(笑)。最初にゴミを捨てようと思っていたけど、水飲んでしまって結局捨てそびれたみたいな(笑)。補給に関しては細かくは決めていません。エイドに出されているものもよくいただきます。

 

 

ーー最後に「KAI 70」に出場する選手の方へのアドバイスをお願いします。

森本 今回はスタートが夜中(0時00分)になりましたが、「KAI 70」の選手だとナイトランが初めての方や経験が少ない方も多いと思います。特に初めての方は事前にナイトランを経験しておいた方がいいですね。レース運びとしては昼間にスタートするよりも自然とペースも抑えられて、飛ばしたくても飛ばせないような状況になると思うので、そこで焦らず足を温存した方がいいと思います。自分もそうなんですけど、山中湖までは余裕を持っていった方がいいと思います。後半はきついところが多いですが、明るくなってきてビューポイントもあるので、残しておいた足を使ってペースを上げていければいいと思います。

ーーありがとうございました。

 

 

Profile
森本幸司(もりもと・こうじ)1980年、熊本県生まれ。
学生時代は陸上競技部に所属し、長距離選手として活躍。高校2年のときに、荷物を背負って約7kmの山岳コースを駆け上がる国体山岳競技に顧問の勧めで初出場。翌年の同大会「第53回かながわ・ゆめ国体」で優勝を果たすが、当時は陸上競技に専念。マラソンや駅伝を中心に活動し、2014年「福岡国際マラソン」で自己ベスト(2:23:41)を出す。トレイルランニングを始めてからは2015年の「STY」で準優勝、同年「霧島・えびの高原エクストリームトレイル」優勝、2017年には地元・熊本で開催された「Aso Round Trail」でも優勝を果たす。2019年にはポルトガルで開催された「IAUトレイル世界選手権」の日本代表に選出。2023年は「トレイル&マウンテンランニング世界選手権」の日本代表となる。

2015年:STY 準優勝、霧島・えびの高原エクストリームトレイル 優勝、IZU TRAIL journey 準優勝
2016年:SPA Trail 準優勝
2017年:Aso Round Trail 優勝、神流マウンテンラン 優勝、
2018年:九州脊梁山脈トレイルランニング 優勝
2019年:IAUトレイル世界選手権日本代表、千羽海崖トレイルランニング 優勝、
2021年:白馬国際トレイルラン 優勝
2022年:霧島・えびの高原エクストリームトレイル 優勝
2023年:トレイル&マウンテンランニング世界選手権 日本代表

※掲載した装備は2024年3月時点にアスリートが考えているもので、出走時には変更している可能性があります。

 

 

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