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【日本山岳会】山中を行くむかしの道「日本の山岳古道120選」を公開

公益社団法人日本山岳会は創立120周年を迎えるにあたり、日本の山岳古道の中から、文化的、歴史的、地理的な価値から記録・保全すべき120の山岳古道を選びました。

 

 

日本山岳会の全国33の支部を中心に、地域の方々、古道研究者の方々、自治体などの協力を仰ぎながら数年にわたって調査を続けており、2024年8月11日以降、順次、サイト「日本の山岳古道120選」で紹介します。

山岳古道とは、山中を行くむかしの道

山岳古道とは、山の中を通るむかしの道のことです。熊野古道や箱根旧街道がよく知られています。古代や中世の道の多くは、山の尾根など高いところを通っていました。大雨などで崩れやすい川沿いの道や沼地が広がる平地の道ではなく、壊れにくく、日照時間が長くて見通しがきき、弓を持った敵や獣に対して有利な道が尾根沿いの道でした。やがて平穏な世が訪れ、土木技術が向上するとともに、道は人が住む山麓へ、平地へと移っていきました。宅地化が進んで新しい道が作られ、採石やダム建設、あるいは災害によって古い道は切断されました。道は舗装され、幹線道路として整備され、やがて古い道は人々の記憶からも消えていきました。
九州防衛のために東国から防人が歩いてきた道。
修験者が悟りを得るために歩んだ山中の道。
塩や魚を牛馬に載せて運んだ道。
城を攻め落とすために作られた道。
掘り出した金銀を運ぶための道。
江戸庶民が寺社参詣のために登った道。
さまざまな道がいまも山中に眠っています。

山歩きのスペシャリストが足跡を探し出す

地質が脆く雨が多い日本列島では、使われなくなった道はすぐ薮に覆われ崩落し、通行に適さなくなります。歴史、文化、景観などの地域資源を有したまま、山岳古道は自然の中に埋没しようとしています。地域で語られる道、古文書にあった道、地図から消されてしまった道が数多くあります。遠いむかし人々が利用していた道はどこにあったのか、偉人が通ったという伝説の道はどこにあったのか。人を訪ね、山中を歩き、薮を払い、川を渡渉し、手足を使って古道の本来の姿を確かめています。

 

 

失われつつある価値を伝え継ぐ

古道は文化遺産です。「日本の山岳古道120選」の公開により、新たな関心を呼び起こし、日本列島の魅力の再発見につながります。古道の持つ歴史的・文化的な価値を明らかにすることで、日本の歴史や文化への理解がいっそう深まるだけではなく、新たな文化の掘り起こしが可能になります。また古道を歩くという体験をとおして、歴史的空間を肌で感じることができ、その土地の深層に触れ、いにしえの人々の営みを豊かに想像することができます。さらに、地域において郷土愛を育み、地域活性化、観光振興に寄与します。

薮を刈り、石垣を積み直し、壊れた道を修復する。こうした古道の維持のために、全国でボランティア活動を続けていただいている方々がいます。

日本山岳会は古道の魅力を紹介し、多くの人に歩いていただきたいと考えています。人が利用することで、古道は維持され地域の活性化にもつながります。山岳古道を歩くことを山登りの新しい楽しみ方のひとつとして提案します。歴史や文化に思いを馳せながら山道を辿る楽しさを、山を愛する人々に広げたいと考えています。

 

朝日軍道 寒江山から大朝日岳方面への道(山形県)
若彦道大石峠(山梨県)
立山参拝道 一ノ越から雄山山頂への道(富山県)
箱根旧街道の石畳(神奈川県)
七面山表参道 敬慎院(山梨県)
秋葉街道小川路峠 13番観音(長野県)

 

■日本の山岳古道120選:https://kodo.jac1.or.jp/

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