2025年11月にはブラジルで気候変動COP30が開催されますが、ここでは気候危機の解決と森林破壊の抑制が融合すると言われています。そこで、2025年のテーマにふさわしいパタゴニア環境助成金プロジェクトについて、スライド&トークイベントを開催。
カナダのブリティッシュコロンビア州(BC州)では毎年、東京の面積に匹敵する20万ヘクタールの原生林が皆伐により急速に失われ、絶滅危惧種の森林トナカイなど大型哺乳類から目に見えない小さな菌類まで多様な生物がすみかを失っています。また、高くそびえる樹木や土壌に蓄えられた膨大な炭素が放出されてしまい、多くが何百年も元に戻りません。ここで切られた木の一部が木質ペレットになり、日本に輸出されて、私たちの電気をつくるために燃やされています。このことから、バイオマス発電はカーボンニュートラルではないとされています。現在、日本全国では、輸入木材ペレットを燃料とする大型のバイオマス火力発電所が約100稼働しています。つまり、私たちは毎日、原生林を燃やした電気を使っています。
そして、カナダの原生林を切って作られた木質ペレットを燃料とするバイオマス発電が再生可能エネルギーとして推進され、電気代に上乗せされる「再エネ賦課金」は私たち消費者が負担しています。本プロジェクトでは、現状を変えるためのアクションを呼びかけています。
■パタゴニア環境助成団体、一般財団法人 地球・人間環境フォーラムのキャンペーン特設ページ
https://www.gef.or.jp/campaign2025_wood-biomass
世界的な森林生態学者で、20以上の言語に翻訳され100万部のベストセラー「マザーツリー:森に隠された「知性」をめぐる冒険」の著者、スザンヌ・シマード氏も本プロジェクトに協力しています。彼女は、原生林の皆伐による森林劣化と生物多様性の喪失、また、高くそびえる樹木や土壌に蓄えられた膨大な炭素が放出され、その多くが何百年も元に戻らないことにより、気候危機を加速させる問題について警鐘を鳴らしています。スザンヌ・シマード氏は、樹木が地下の菌類のネットワークを利用してどのように相互作用し、コミュニケーションを図っているかについての研究で世界的に知られています。
パタゴニア直営店5店舗で開催するイベントでは、現地を視察したパタゴニアの環境助成団体、先進的な林業家、自然写真家の皆さまをゲストに招き、美しい写真とともにこの問題について伝えていきます。また、スライド&トーク終了後にはディスカッションの時間を設け、私たちにできることを共に考えます。
■スライド&トークイベント「原生林を燃やす私たちの電気」
パタゴニア 仙台
・開催日:2/5(水)
・時間:19:00-20:30
・登壇者:速水、飯沼、鈴嶋
パタゴニア 東京・ゲートシティ大崎
・開催日:2/9(日)
・時間:19:30-21:00
・登壇者:速水、飯沼、鈴嶋
・パタゴニア 福岡
・開催日:2/14(金)
・時間:19:30-21:00
・登壇者:伊藤、飯沼、鈴嶋
パタゴニア 札幌北
・開催日:2/22(土)
・時間:18:45-20:15
・登壇者:伊藤、飯沼、鈴嶋
パタゴニア 大阪・梅田
・開催日:2/27(木)
・時間:19:30-21:00
・登壇者:伊藤、飯沼、鈴嶋
※開始、終了時間が前後する場合があります。
・参加費:無料(事前予約制)
・スピーカー
速水亨(はやみ・とおる)
速水林業代表、株式会社森林再生システム代表取締役、FSCジャパン副代表。慶応義塾大学卒業。東京大学農学部研究室を経て家業の林業に携わる。2000年日本初のFSC認証取得。2018年農林水産祭天皇杯受賞。農林水産省林政審議会委員、環境省中央環境審議会専門委員、国土交通省国土審議会計画部会専門委員、内閣府行政刷新会議事業仕分け・仕分け人、東京大学大学院農学生命科学研究科・農学部運営諮問会議委員等歴任。
著書:日経出版「日本林業を立て直す」、築地書館「森林未来会議」編者・共著等。
伊藤健次(いとう・けんじ)
北方の野生生物と環境を見つめ、人との関わりを伝える写真家。北海道在住。カナダBC州ではバンクーバー島の原木からアイヌの海洋船イタオマチㇷ゚を復元し、現地の先住民と航海する旅に参加。パタゴニアスピーカーとして紹介。近著に「伊藤健次の北の生き物セレクション」(北海道新聞社)、ロシアの森と狩人の写真絵本「川は道 森は家」(たくさんのふしぎ傑作集・福音館書店)、「アイヌプリの原野へ」(朝日新聞出版)など。
飯沼佐代子(いいぬま・さよこ)
信州大学農学部で森林科学を学ぶ。大阪の環境コンサルタントで環境アセスメント(植生)に関わった後、タイ北部に移住、メコン川流域の小規模漁民による資源管理プロジェクトを立ち上げる。帰国後、アジア太平洋資料センターを経て2008年より地球・人間環境フォーラム。日本の木材やパーム油の責任ある調達について活動し、違法伐採対策法の制定に関わる。現在はバイオマス発電問題の政策提言を中心に活動。趣味は犬の散歩と生き物観察。
鈴嶋克太(すずしま・かつひろ)
熊本県出身。アメリカ・ケンタッキー州の大学に留学中、「環境レイシズム」の問題を知り、ナオミ・クライン著『これがすべてを変える 資本主義 VS. 気候変動』に出会う。また、コロナ禍の混乱で帰国し、同年の地元の豪雨災害を目の当たりにしたことが、「環境」を仕事にするきっかけとなる。緑の中で暮らしたいとの思いで、さいたま市郊外の畑作地域に居住。農作業の手伝いが息抜き。1996年生まれの、いわゆる「Z世代」一年目。
■予約フォーム:https://info.patagonia.jp/category-events/activism/
■全直営店のコミュニティースペース展示
・展示ストア:全ストア
・展示期間:2025年1月14日(火)~ 未定