アウトドライが、ウェットコンディションでの
新次元の快適さを提供
いわゆる防水機能は、撥水と耐水に分類されます。撥水とは表面で水をはじく機能、耐水とは水を内部に進入させない機能のことです。そして、この耐水性を維持しながら内部の水蒸気を外に放出させて、快適さを保つのが「ゴアテックス」などの耐水透湿素材です。
従来のものは、シューズ本体と耐水透湿素材が別のパーツになってしまったため、その隙間に水がたまってしまいました。この問題を解決したのが、2011年秋にモントレイルが発表した「アウトドライ」という耐水透湿素材です。「アウトドライ」のメンブレンは伸縮率200%、シューズのアッパーの3D形状に沿って加熱と圧力による工程で完全に密着することができるため、本体の形状にぴったりとフィットして、一体化できるのです。
今回テストしたのは「マウンテンマゾヒスト」。右足が「アウトドライ」、左足が「ゴアテックス」仕様のテスト用モデルです。「アウトドライ」モデルはデザイン的にトウとヒールにリフレクターが追加されてはいますが、それ以外、外観を見ても違いはありません。まず、深さ15センチほどの水の中へ両足を漬け込んでみました。撥水がしっかりと効いているため、最初のうちはどちらのシューズも違いなく、しっかりと水の進入を防いでくれました。5分ほど経過すると、アッパーの表面には水が染込んできました。しかし、どちらも足はドライなままです。さらに数分すると、左足の「ゴアテックス」の方のアッパーがむくんできたような感覚になりました。水を含んだスポンジが足とシューズの間にあるような感じです。右足の「アウトドライ」のほうは変化ありません。「アウトドライ」は水につけても重量増加を10%以内に抑えることができるそうです。左足の「ゴアテックス」仕様を持ち上げてみると、明らかに重くなっているのが判ります。足自体は濡れていないのですが、やはり、どこかに水が溜まっています。走ってみると、フィット感の差は歴然。ドライコンディションと遜色のない「アウトドライ」に対して「ゴアテックス」はアッパーがプヨプヨしていました。シューズ内部に水がたまると、耐水性は保たれても、透湿性が損なわれてしまいます。また、寒くなってくるとシューズ内部にたまった水のおかげで足の熱が奪われてしまうのも心配なところです。
今回、左右別の仕様のシューズをはく機会があったため、その性能差を歴然と感じることができました。足が濡れないという点では両者とも申し分ないのですが、シューズとしての使い勝手には大きな差が出る結果となりました。いままでの耐水透湿シューズに特に疑問を感じなかったとしても、「アウトドライ」モデルを使用すれば、その快適性は判っていただけると思います。さて、この「アウトドライ」、2011年秋モデルには「マウンテンマゾヒスト」「フェアヘイヴン」「バッドロック」に採用モデルが設定されています。
大雨や水溜り、川などに入るシチュエーションでは内部の水がよく抜ける通常モデルを好むランナーが多いと思いますが、小雨の日や湿った落ち葉のトレイル、朝露が降りた草原などを走るのには最適だと思います。ゲイターをつければ雪上でも使えるでしょう。ウェットコンディション、コールド・コンディションが待ち遠しくなるシューズです。
左が「アウトドライ」、右が「ゴアテックス」。「ゴアテックス」のほうがアッパーに水を溜め込んでいるのが判る。 | |
水の中に浸けたあと、重量を計ってみた。1/2足の重量で左の「アウトドライ」が435gなのに対し左の「ゴアテックス」は約580gと、なんと約145gもの差があった。 | |
montrail MOUNTAIN MASOCHIST OUTDRY
モントレイル マウンテンマゾヒスト アウトドライ
■価格/¥16,275(税込)
■カラー/メンズ:010 Black,Blue Chip
ウィメンズ:010 Black,Reef
■ミッドソール/Single-density molded EVA
■硬度/Medial Post 65 Asker C / 55 Asker C (+/-3 degrees)
■ライドハイト/20mm heel, 10mm forefoot
■アウトソール/Gryptonite
■重量/メンズ:374g ウィメンズ:301g
■プロテクション/Full length Trail Shield
■トゥカウンター/Synthetic overlay
■サイズ/メンズ:25.0-29.0,30.0cm(US7-11,12)
ウィメンズ:22.5-26.0cm(US5.5-9)
■コロンビアスポーツウェアジャパン(モントレイル) http://www.montrail.jp