マシュマロクッションとカーボンは相性良し。デイリーカーボンという新しい提案
HOKA ONE ONE(ホカ オネオネ)の「BONDI(ボンダイ)」と言えば、ブランドの特徴を最も明確に打ち出したアイコニックなロードシューズであり、ランニングシーンからカジュアルシーンまで多くのユーザーに親しまれています。その「BONDI」に「X」がついたということは……。そうです、カーボンプレートがインサートされたのです。
レーシングモデルではない厚底快適シューズの「BONDI」になぜカーボンプレートを入れたのか? 誰もがそう思うことでしょう。その答えを探る前に、まずはシューズ全体を見てみましょう。
アッパーはトウボックスがゆったりとしていて、多くの足を許容してくれそうです。「BONDI 7」と比べると若干薄めのメッシュで、さらに補強の違いもあり「BONDI X」の方が全体にしなやかに感じます。しかしながら、ソールと接続されたタンが薄いのでシューレースを締めたときにはダイレクトなフィット感を提供します。
注目のソールはフォアフット28mm、ヒール33mm(メンズ)。「BONDI 7」がフォアフット29mm、ヒール33mmですから、「BONDI X」の方がフォアフットが1mm低くなります。よってドロップは1mm高く5mm。基本的な厚みを数字で見ただけではあまり変わらないのですが、それ以外の部分で大きく異なるところがあります。
まずは2.5cm程後ろに張り出したスワローテール形状のヒール部です。もちろん、ロッカー形状となっているので真っ直ぐに立ったときの接地長は変わりませんが、足を前に出してヒールで接地する際にはスムーズさを引き出します。
もう一つの相違点はミッドソールのサイドの盛り上がりです。HOKA ONE ONEのキーテクノロジーであるアクティブフットフレームは、ミッドソールの縁がバスタブのように盛り上がった形状ですが、「BONDI X」はヒール部のサイドの盛り上がりが大きくなっているため、より安定感を得られるようになっています。
そして、真打ちはカーボンプレートです。フォアフット部が二股に分かれたプレートはレーシングシューズの「CARBON X2」と同じものを採用しています。
実際に走ってみると、沈み込みとエネルギーリターンのフィーリングが「BONDI 7」と違うのがはっきり判りました。
「フワッ」としたクッションながら、適度な張りも感じられる沈み込み。そして、少し長めのストロークで反発を返してくるタイミングは脚の動きマッチして違和感がありません。一般的なカーボンプレート入りのレーシングシューズのような「ドンッ!」と押し出される感じとは明らかに違います。硬いスーパーボールのような反発ではなく、ストロークがあるトランポリンのような反発といえばわかりやすいでしょうか?
このフィーリングを最も感じやすいのはミッドフットからヒール寄りでの接地です。シューズからのリターンと身体の反応がシンクロしてくると、心地良い一体感を感じられ、テンポ良く走ることができます。スピードを出すためのシューズという感じではないのですが、結果としていつもよりも少し速く走れてしまいます。
「BONDI X」はカーボンの反発力をマシュマロクッションがマイルドにしてくれるおかげで、新しいフィーリングを生み出しています。シューズに走らされるのではなく、シューズと身体のシンクロを楽しめるので、普段のジョグやリカバリー、ゆったりとしたツーリングなどで使用するのがお勧めです。カーボンプレート入りのシューズをデイリーユースに、と言う新しい提案をするシューズなのだと思いました。
BONDI X
(ボンダイ エックス)
・価格:¥30,800(税込)
・展開
Men’s(25.0–30.0cm・1色・300g/27cm) ソールスペック:オフセット5mm/ヒール33mm/フォアフット28mm
Women’s(22.0–25.0cm・1色・257g/24cm) ソールスペック:オフセット5mm/ヒール31mm/フォアフット26mm
・カラー:Men’s /White/Evening Primrose Women’s / White/Evening Primrose
・テクノロジー:Cushioned Midsole / Meta Rocker / Active Foot frame