2021年からプロトレイルランナーとして始動した反中祐介選手。北海道を拠点に、選手活動と普及活動を開始しました。「トレイルランニングは遊びの要素が重要」と語るとおり、スポーツならなんでもこなしてしまうマルチな反中選手に、これからの抱負と「SUUNTO 9」の使いこなし術を伺いました。
トレイルランにネガティブな人にこそ、好きなってほしい
――選手活動での主戦場はどんな種目ですか?
反中 僕は根っからのダウンヒラーなんです。登りが大嫌い。だから、正直に言うと得意なレースがないんです(笑)。新潟で開催されていた「苗場ライジング」という雪上ダウンヒルレースは2回優勝しました。でも今、日本にはダウンヒルレースがないんです。ではダウンヒル以外で何を目指すか? ですが、距離を延ばして100マイルか? というと、僕はあまり執着がありません。一番の目標はやはり「ハセツネCUP(日本山岳耐久レース・71.5km)」ですね。2022年は出場する予定です。「ハセツネCUP」の30回記念大会に、30歳の僕が3回目の出場なんですよね(笑)。
――普及活動の方はどんなことを考えているのですか?
反中 僕自身、生涯トレイルランニングを楽しみたいし、そういう人を1人でも増やしていきたいです。コロナもあってトレイルランニング人口は増えています。それに伴ってマナーの問題でトレイルランナーが悪目立ちしてしまうシーンが見られます。ですから、ルールやマナーの啓蒙活動をしていきながら、トレイルランニングをして良かったと思う人を増やしたい。トレイルランニングが身近なスポーツになって、いいかたちで普及できる施策を試行錯誤しています。
――具体的に何か例はありますか?
反中 ロードランナーにトレイルランニングを広めるという思考は多いと思いますが、僕の場合は、そもそもランニングをやらない人や、そもそもトレイルランニングを知らない人、ランニングやトレイルランニングに対してネガティブな印象を持っている人。疲れやすいとか、怪我をしやすいとか、変態がやるスポーツだとかね(笑)。そういう人たちにトレイルランニングを教えたり、一緒に遊んだりしています。異文化交流みたいな感じですね。
――それは、ご自分もいろいろな遊びをしている部分と重なりますね。
反中 そうですね。僕自身も前職のSALOMONに入る前はマラソンのコーチでした。その前は陸上競技をやっていて、突き詰めすぎてしまい、バーンアウトしたことがあります。市民ランナーでも同様の方が多いです。そういうときはランニング以外の遊びの選択肢を増やせばいいと思うんです。ランニングをやりすぎて気持ちも身体も煮詰まったときは、例えば自転車とか、ゆっくり登山する等、違ったアクティビティを取り入れることで、気持ちと身体がリフレッシュしてランニングに取り組めると思います。ですから、逆に他のスポーツをしている方も煮詰まらないようにトレイルランニングでクロストレーニングしてもらえればいいですよね。
――ご自身はどんな遊びするのですか?
反中 サーフィン、スケートボード、クロスカントリースキー、オリンピック種目になったスキーマウンテニアリング、スノーボード、雪板(足を固定しないスノーボード)、インラインスケート、ロードバイクとマウンテンバイク、グラベルロード、沢登り……。
最近、面白いと思ったのはサバイバルゲームですね。意外ですが、トレイルランニングとの親和性が高いです。屋外戦は山でやることが多いんですよね。自陣と敵陣の間にちょうど山があって、まず山のてっぺんを取った人が有利なんです。撃ち下ろしができるので。「ヨーイ、スタート」で走るのですが、僕は圧倒的に速く頂上を取れるんですよね(笑)。
――なるほど。それは面白いですね。
欲しい情報を見極めて、表示はシンプル
――「Suunto 9 Peak」を使った感想はいかがですか?
反中 まずはフルスペックなのに軽くてコンパクト。トレイルランニングや沢登などで狭いところをギリギリに攻めると擦ってしまうことがあったのですが、薄型なので気にならなくなりましたね。ウォッチが身体の一部になったみたいです。また、小さいだけではなく、スタイリッシュなので、オンとオフでシームレスに使えます。
――SALOMONのショップにいたころ、ユーザーの質問や相談はどんな事が多かったですか?
反中 ソフトウェアのアップデートの仕方が分からない方が多くて、お店に持ち込んでもらって、アップデートしてあげたりしました。PCをお持ちでない方が多かったです。ところが「Suunto 9 Peak」はPCに繋がなくても自動でアップデートしてくれる。これは素晴らしい。また、以前のモデルではベルトの付け替えが大変だったので、その相談も多かったです。「Suunto 9」シリーズからは工具も必要なくワンタッチでストラップ交換ができるので便利ですね。ストラップチューンのハードルがぐっと下がります。シーンに応じてストラップを毎日取り替えても苦にならないし、簡単に外れるので掃除も楽で衛生的にもいいと思います。僕はサーフィンもするのですが、ウェットスーツの上からウォッチを着けるので、長いストラップに交換するのも簡単です。
――ユーザーの方に「こんな機能を使いこなして欲しい」と思っていることはありますか?
反中 ルートナビゲーション機能ですね。以前の難しいイメージを持っていらっしゃる方が多くて、面倒くさいと思われているようです。説明すると「なんだ、今はこんな簡単なんだ!」という方もかなりいらっしゃいました。
――ご自身でよく使う便利な機能はありますか?
反中 オートラップです。時間のラップと距離のラップのどちらでも設定できる点が優れています。時間の設定ができることを応用してオートラップを補給のタイミングのアラートに使っています。例えば、オートラップを30分に設定しておけばタイミングを逃すことがありません。感覚ではなく正確なルーティーンになるので、エネルギー切れのリスクを減らせます。
――スポーツモードは、何種類くらい使用していますか?
反中 すごい数を使っています。先ほどお話したスポーツ全部。あと卓球も大好きなんですが、卓球のスポーツモードもあるんですよ(笑)。ポイントは、経過時間は同じ場所に出すことですね。覚えられないので(笑)
――ランニング系ではいくつ使用していますか?
反中 ランニングが2つ、トレイルランニングが1つですね。プライベートのランでは極力、情報を少なくています。1つの画面に5つとか情報があると、僕の場合は疲れてしまうんです。少し前のアップデートで追加された【カルーセル】という表示が便利ですね。3項目表示できるのですが上が現在時刻、下が経過時間で固定されています。真ん中は5項目まで切り替えて表示することが可能です。僕は【距離】【心拍数】【高度】を表示しています。基本的に今何時で、どれくらいの時間行動したのかを常に把握していたいのでこの【カルーセル】がぴったりなんです。
――心拍数のグラフも見たいのですね。
反中 遊んでいるときは見ないのですが、インターバルの時などに「心拍数がどこまで上がるか、全力でやってみよう」というときだけ見ます。
一一もう一つのランニングのモードも教えてください。
反中 これはポイントトレーニングの時に使うスポーツモードですね。基本的にトラックなどの距離が分かるところで走ること前提にしているので、ラップの数とラップタイム、ラップ距離、あとは心拍数のグラフ。これだけです。
――トレイルランニングも見せて下さい。
反中 トレイルランニングも【カルーセル】を使用していて、距離と高度を切り替えられるようにしています。それと心拍数のグラフですね。大会でも一緒ですが大会のときは基本的にGPXデータを入れてルートナビゲーションをするので、そのディスプレイで高度も判ります。
――ラップ画面を入れないのですか?
反中 ラップ機能を使うときはオプションから設定します。オートラップは時間で30分に設定。アラームが鳴ったら、お腹が空いてなくても「はい、じゃぁ摂ります」という感じですね(笑)。
――ハイテクデバイスをシンプルに使いこなしている感じですね。
反中 いつでも1つのスポーツモードで対応しようとすると表示が複雑になってしまいます。スポーツモードをいくつか作ることでシンプルな使い方が可能になると思います。GPSウォッチもどんどん進化して機能を足し算している感じだと思うのですが、SUUNTOは逆にシンプルすることもできるので、使う人のニーズに合わせることができると思います。
――最後に、今後の目標ややりたいこと等を教えていただけますか?
反中 いろいろな取り組みを起こしている最中なのですが、独立して自由になった感じもありながらも、意外とプライベートがなくなっていることにも気が付きました。でも、最近は福沢諭吉の「本当の自由は不自由の中にある」という言葉に共感しています。自由すぎるのも逆に自由がないんだなと感じます。今、少しずつ地盤が固まってきている最中で、正直、今年は自分自身のポテンシャルを高めるようなトレーニングはできなかったですね。でも、来年は事業+選手活動に注力できそうなので、ひとまずは次の「ハセツネCUP」をターゲットにしようと思っています。でもやっぱり、遊びにも妥協はしたくないので、すごく遊びますよ(笑)。でも、ちゃんと結果を残します!
――ありがとうございました。
反中祐介(たんなかゆうすけ)
岐阜県高山市出身。幼少期は水泳、囲碁、剣道などに没頭し、中学生になってから陸上競技を始める。大 学在学中にはランニングチームのコーチとしてビギナーランナーからシリアスランナーまで幅広いレベル の指導を経験。その中でトレイルランニングと出会う。大学在学時には健康運動実践指導者を取得し、経 験に基づくリアルな指導に磨きをかける。ランニング以外にも、自然を楽しみつくすべく様々なアクティビティを提案。現在はプロトレイルランナーとして札幌を拠点 に北海道内外のトレイルシーンで活躍中。トレイルランニングの魅力・札幌の魅力を探求し発信している。
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