【Review】HOKA ONE ONE「TRACER 2（トレーサー2）」

HOKA ONE ONEらしさを残しつつ
スピードを追求したロードモデル

２００９年、トレイルランニング用のマックスクッションシューズからスタートしたＨＯＫＡＯＮＥＯＮＥ（ホカオネオネ）。現在、本国アメリカではトラック用のスパイクシューズも手がけるなど、ガチのスピードシューズも開発し、バリエーションを増やしています。

そして、日本展開モデルにおける最もスピードを追求できるロードシューズが「ＴＲＡＣＥＲ２（トレーサー２）」です。

「ＴＲＡＣＥＲ２」はＨＯＫＡＯＮＥＯＮＥのロードシューズラインナップの中で最も軽量で、最も薄底なモデルとなります。

大きくアップデートしたのはアッパーです。柔軟性、通気性共に優れた素材を採用。履き口のパッド、およびタンはかなり薄く、足との一体感はかなり高い仕上がりです。ラスト（足型）もＨＯＫＡＯＮＥＯＮＥの中では細身でトレイルモデルのＳＰＥＥＤＩＮＳＴＩＮＣＴ２（スピードインスティンクト２）に近いフィッティングです。

（左）エンジニアードメッシュにアップデートされたアッパー。
（中）トウの補強はなくなり、回り込んだアウトソールのみに。
（右）ヒール部もフォアフットと同素材にチェンジ。

ソールシステムは前作と同様です。ミッドソールは定番モデル「ＣＬＩＦＴＯＮ４」などに採用され、安定性を高める効果があるアクティブフットフレームに加えて、クッション性を高めたヒール部分と、推進力を高めたフォアフット部をもつプロ²ライトを採用。

ソールスペックは「ＣＬＩＦＴＯＮ４」がヒール２９ｍｍ、フォアフット２４ｍｍ（メンズ）に対して、「ＴＲＡＣＥＲ２」は、ヒール２２ｍｍ、フォアフット１８ｍｍとかなり低い数値になっています。また、ソールの幅も「ＴＲＡＣＥＲ２」の方が１ｃｍ程細くなっています。

オフセット４mmのローヒールドロップの設計なので、一般的なレーシングシューズと比較すると前足部分のクッション性が高く、足へのダメージを軽減できます。ウルトラマラソンの日本代表選手も着用して、その性能を実感しています。

走行フィーリングは、ある意味スペック以上に違うかもしれません。「ＣＬＩＦＴＯＮ４」はマシュマロのようなクッションと例えられるほど、ふわっとした柔らかさが特徴ですが、「ＴＲＡＣＥＲ２」は反発力が際立っています。一歩ごとにぐいぐいと押し出される感覚があるので、なるべく上に抜けずに、前への推進力になるような体の使い方ができれば、シューズの特性を生かせると思います。

（左）比較の黒いシューズは「CLIFTON 4」。
（中左）パッドもタンも極薄で足との一体感を高めている。
（中右）最小限のアウトソールはHOKA ONE ONE流。
（右）スピードシューズの割に硬いフレックス。

ここまではスタンダードなＨＯＫＡＯＮＥＯＮＥらしいフィーリングとは少し違いますが、いかにもＨＯＫＡＯＮＥＯＮＥらしい部分もあります。それは、強いフレックスとトーション、そしてロール感です。スピードを求めるシューズは足との一体感を得るためにソールがしなやかにフレックスし、ねじれも柔らかくなりがちですが、「ＴＲＡＣＥＲ２」は比較的硬めです。この点から、足の蹴りに重点を置くよりも、シューズの反発とロッカー形状によるローリングをうまく使うよう示唆しているように思えます。

つまり、「ＴＲＡＣＥＲ２」は、なるべく楽に、なるべく速く走るために、シューズが最大限のサポートをしてくれるシューズといっていいでしょう。

本格レーシングシューズでは少し不安と思うなら、ぜひ試していただきたいシューズです。また、厚底シューズからワンランクスピードを求めていきたい、ステップアップ志向のランナーにもぜひお勧めしたいです。

HOKA ONE ONE（ホカオネオネ）
TRACER 2（トレーサー2 ）
■価格／17,000円＋税
■構造
MEN：オフセット：4mm ヒール：22mm フォアフット：18mm
WOMEN：オフセット：4mm ヒール：21mm フォアフット：17mm
■重量／MEN：217g　WOMEN：190g
■サイズ／MEN：7–12　WOMEN：5–9
■カラー／MEN：2色　WOMEN：1色
■アッパー／テキスタイル
■ソール／ラバー
■テクノロジー／MIDSOLE VOLUME、META ROCKER GEOMETRY、PRO²LITETM

■HOKA ONE ONE　https://www.hoka.com/jp/