【Review】inov-8「X-TALON ULTRA 260（Xタロンウルトラ 260）」

ハイグリップ＋ハイクッション
万人が履ける足型のロングディスタンスモデル

ｉｎｏｖ-８（イノヴェイト）の顔とも言える超ロングセラー、Ｘ-ＴＡＬＯＮ（Ｘタロン）シリーズに新しいファミリー「Ｘ-ＴＡＬＯＮＵＬＴＲＡ２６０」が加わりました。

「Ｘ-ＴＡＬＯＮＵＬＴＲＡ２６０」は、シューズの系譜としては「Ｘ-ＣＬＡＷ２７５」の進化版といえます。

アッパーはＤＷＲ（耐久撥水加工）を施したバリスティックナイロン。厚めでしっかりしていて強度があり、通気性も確保しています。補強はボトム付近を手厚くしているのが特徴。「Ｘ-ＣＬＡＷ２７５」と比べるとサイドの補強を軽量化しているのが判ります。また、シューレースは平紐から伸縮性の高い丸紐に変更。ハト目もループに変更、数も一列減っていますが、締める部分の距離は変わっていません。タンはアッパーと連結されたガセットタン。小さな異物の侵入を防いでくれます。また、くるぶし下にはｉｎｏｖ-８のオルテラインゲイターを装着するフックポケットを搭載しています。

フィットはかなりゆとりがあります。Ｘ-ＴＡＬＯＮと聞くと細身のボディをイメージしますが、「Ｘ-ＴＡＬＯＮＵＬＴＲＡ２６０」はトウボックスもヒールカップもワイドです。これまでのＸ-ＴＡＬＯＮでは細すぎたという方も、ネーミングだけで判断ぜずに、ぜひ足を入れてみてください。

（左）ボトム周辺を手厚く補強しているのが特徴。
（中）ヒールカウンター(内蔵の補強プレート)はくアッパーの補強のみ。
（右）タンはアッパーとつながっていて異物の侵入を防ぐ。

ミッドソールの素材はエネルギーリターンと衝撃吸収に優れたパワーフローを採用。フォアフット部のメタフレックスはトーオフ時に足の自然な屈曲を促します。また、足底筋の動きを考慮したＤＦＢシャンクがスムーズなライドをサポートします。

アウトソールのラグ形状は「Ｘ-ＣＬＡＷ２７５」と同様、８ｍｍの三角形。フォアフット部は頂点が進行方向に、ヒール部は底辺が進行方向に向いています。ラバーの素材は定評のあるスティッキーグリップに変更。デュアルＣコンパウンドでグリップと耐久性を最大限にする２種類の硬さを使い分けています。

実際に走った感覚をまとめると、ワイド・ハイクッション・マイルドグリップです。
ワイドボディはフィット感だけではなく走行フィーリングにも影響を与えます。「Ｘ-ＴＡＬＯＮ２３０」とアウトソールの幅を比べると、ヒールはほぼ同じですがフォアフット部では５ｍｍ程広くなっています。これにより、安定感が高くなっているのは走り始めてすぐに判りました。アウトソールのラグがソールのエッジギリギリの所から立ち上がっているのも、安定感の向上に寄与しているようです。

（左）他のinov-8のシューズ同様、フレックスはいたってしなやか。
（中）強力なグリップと快適な接地感を併せ持った8mmのラグ。
（右）上から｢X-TALON ULTRA 260｣｢X-CLAW 275｣｢X-TALON 230｣

クッション性能はハイグリップなＸ-ＴＡＬＯＮシリーズの中では最高です。「Ｘ-ＴＡＬＯＮ２３０」よりもヒール部で３mm厚いのですが、アウトソールのラグ形状もクッション性に影響しているのか、実際には３mm以上の差を体感しました。長距離を走るとこの差がダメージの差となって現れてきます。

グリップ性能は、もちろん柔らかい路面では最高のトラクションを提供してくれます。それは当然なのですが、特筆すべきは硬めの路面、特に下りでのマイルドさです。「Ｘ-ＴＡＬＯＮ２３０」が接地した瞬間に路面に噛むのに対して、「Ｘ-ＴＡＬＯＮＵＬＴＲＡ２６０」の場合、接地時はソフトに、そして徐々にグリップ力が高まるフィーリングです。このおかげで下り斜面での足へのダメージがかなり軽減されました。

「Ｘ-ＴＡＬＯＮＵＬＴＲＡ２６０」は柔らかい路面が多いロングディスタンスコースで、最も実力を発揮するシューズと言えそうです。いままでのＸ-ＴＡＬＯＮではクッションが足りない、足幅が細すぎた、というような方に、ぜひトライしていただきたいと思います。

X-TALON ULTRA 260
■価格／￥15,500+税
■サイズ／MEN 25.0-30.0cm WOMEN 22.0-25.5cm
■重量／260g
■素材／アッパー：合成繊維/人工皮革/合成樹脂　ソール：ゴム底
■カラー／MEN 1色　WOMEN 1色