TrailRunner

【Review】Notace 「Yama T1(ヤマ ティーワン)」

保護しすぎず、過度に敏感でもない。自分の足と対話できるトレイルシューズ

 

Summary
・フットシェイプのトウボックスが安定性と力強い蹴り出しをサポート
・ゼロドロップ設計で自然な姿勢と効率的な重心移動を実現
・次世代eTPUミッドソールが軽量性・クッション性・反発性を高次元でバランス
・クッションに頼りすぎず、過度に敏感でもない、絶妙なバランスの足裏感覚

 

 

米国発の新フットウェアブランド、Notace(ノータス)。ファウンダーのセドリック・スコットは、バイオメカニクスを学び、フットウェアのグローバルブランドを統括した経験を持ちます。彼が目指したのは、クッションに頼りすぎず、過度に薄すぎず、足本来の機能を妨げない、どんなアクティビティにも応えてくれるシューズ。そのファーストモデルとしてリリースされたのが、多用途トレイルシューズ「Yama T1(ヤマ  ティーワン)」です。

 

 

人間の足は、26個の骨と33の関節、さらに100以上の筋肉や腱、靭帯で構成される非常に精巧な仕組みです。その役割は「衝撃吸収」「安定性」「推進力」であり、この3つの機能が効率的な歩行やランニングを可能にします。Notaceは、現代のシューズの多くが制限してしまう足本来の働きを重視し、「ゼロドロップ」「フットシェイプ」「柔軟性」、そして「感覚入力」の4つの要素に焦点を当てています。

 

人間本来の足型に近い形状のフットシェイプトウボックス。

 

通気性と強度を両立した2レイヤーのアッパーは、インナーに極薄で足当たりの良い素材を採用。履き口とヒールのライナーにはシンセティックスエードを採用し、確実なフィット感を提供します。足型は、つま先部分に余裕を持たせたフットシェイプデザイン。足指がしっかりと広がることで、踵から母趾球、母趾にかけて一直線に整い、足に備わっている3つのアーチが本来の機能を発揮し、安定性と推進力が高まります。

 

薄いタンにはインサイドがアッパーと接続されている。
シンセティックレザーを採用し、質感が高い履き口。

 

ソールのスタックハイトは15.5mm、フォアフットとヒールに高低差がないゼロドロップ設計です。これにより、スムーズな重心移動と衝撃吸収力を最大限に引き出し、自然な姿勢や効率的なランニングフォームをサポートします。ミッドソールを省いたベアフットシューズも多い中、「Yama T1」は次世代eTPUのミッドソールを採用。ソフトで軽量でありながら、優れたリバウンド性能も備えています。

 

ミッドソールのサイドが迫り上がっているため傾斜があるように見えるが実際はゼロドロップ。

 

TPU製のインソールには、足裏を刺激するテクスチャーが刻まれており、足裏の感覚入力を高めてフィードバックを強化します。よりダイレクトな感覚を求める場合は、インソールを取り外して履くことも可能です。

 

足裏感覚を高めるインソールは取り外して履くことも可能。

 

アウトソールには、3方向に配置された高さ3mmのラグを採用。登りではグリップ、下りでは制動力、フラットな路面では安定性と、あらゆるトレイルシーンで優れたパフォーマンスを発揮します。また、アナトミカルグルーヴと呼ばれる溝を刻むことで、自然な足の動きを妨げない柔軟性も確保されています。

 

トレイルをマイルドにグリップする高さ3mmの多方向傾斜ラグ。

 

実際に足を入れてみると、一般的なランニングシューズのような強いサポートやガイドは感じません。ミッドフットからヒールは適度にフィットしつつ、フォアフットにはゆとりがあり足指が自由に動きます。重量は215g(27.0cm)と軽量で、軽快に動き回ることができます。

 

ミッドソールにも切れ目を入れたアナトミカルグルーブ。

 

「Yama T1」は、テクニカルトレイルを攻めるようなシューズではないので、踏み固められたトレイルをゆったりと走ってみます。

クッションが効いた一般的なトレイルランニングシューズとも、ダイレクト感が高い極薄のベアフットシューズとも異なり、足裏で路面状況を感じつつ、ほどよく衝撃を吸収してくれます。ソールはロッカー形状ではなくフラットでしなやかなので、自分の足の機能で足裏を転がす動きも強調されます。

グリップはマイルドなため、足がびっくりするような急激な挙動がなく、スムーズに進むことができました。

ゼロドロップのため、登りではアキレス腱やふくらはぎがしっかりとストレッチされます。クッションがあるとはいえ、下りでは雑に走らずに軽い接地を心がけると、トレイルの地形が足の反応を引き出してくれるのを感じます。特に、足指を握ったり、アーチを高くしたりするような、足裏の屈曲動作にソールが反応してくれるのが新鮮でした。

 

あらゆる方向に柔軟なソールが足の複雑な動きに追随。

 

ベアフットシューズは足本来の力を解き放ち、あるべき機能を取り戻すことができる一方、急に薄すぎるシューズを履くことによる怪我のリスクも懸念されます。「Yama T1」は、ベアフットの感覚を維持しながら最小限の保護を追加することで、より安全に足本来の機能を呼び覚ますことができるシューズです。

 

 

Yama T1
(ヤマ ティーワン)
・価格:25,300円(税込)
・サイズ:メンズ 25.6~30.7cm、ウィメンズ 22.9~25.8cm
・カラー:IVORY, TRIPLE BLACK, BLACK/WHITE
・重量:215g(メンズUS9)
・スタックハイト:15.5mm
・ドロップ:0mm

 

・Notace:https://notace.jp/

 

 

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