【Review】Topo Athletic® 「SPECTER（スペクター）」

アップテンポからディスタンスまで対応する厚底･軽量パフォーマンス・ロードシューズ

ゆったりとしたトウボックスと低ドロップで、ナチュラルランニングの実現をコンセプトとしたシューズを送り出しているTopo Athletic®（トポアスレティック）より、ブランド史上最もスタックが高く、最もクッション性が高く、それでいて超軽量という注目のモデル「SPECTER（スペクター）」が登場しました。Topo Athletic®としては、かなり攻めているスペックだと思いますが、ブランドのコンセプトであるナチュラルランニングとは、どんな整合性があるのかも気になるところです。

軽快感があるアッパーはリサイクル素材を採用したエンジニアードメッシュのシングルレイヤー。オーバーレイの補強はほとんどありませんが、サイドは内側から補強されています。履き口周りにはシルクのようなスムーズなファブリックが貼ってあり、パッドの量は少なめです。ヒールにはオーバーレイの補強がついていますが、指で簡単に潰せるくらいしなやかです。

タンは短めでマチも付いていませんが、独自のデュアルループのおかげでしっかりと固定され、ずれる心配はありません。

足先は自由度が高く、ヒールはしっかりとホールドするTopo Athletic®独自のフォルム。

ソールのスタックハイトはフォアフット30mm、ヒール35mm。ドロップは5mmです。ミッドソールは硬めのEVAフレームに包まれたPebax Powered®コアを採用。軽量でエネルギッシュなPebax Powered®は、近年のスーパーリバウンドシューズのベースとなることが多いのですが、「SPECTER」はプレートをインサートせずにEVAを組み合わせることで安定感を追求しているようです。

アウトソールの厚さは2mm。フォアフット部分はほぼ全面に、ミッドフットからヒールにかけては必要な部分に貼られています。ラグはなくほぼフラットです。

足を入れてみると、アッパーの軽さと通気性の良さが感じられました。ヒールからミッドフットまでは柔軟なエンジニアードメッシュのおかげで足にぴったりとフィット。フォアフット部分はアナトミックな形状で十分なスペースがあり、足がしっかりと広がりつま先や足指を使いやすいです。

ゆっくりと走り出すと、沈み込み過ぎないしっかりとしたミッドソールによって高い安定性を発揮します。「ふんわり」というよりは「しっかり」としたフィーリング。フラットなアウトソールは舗装路をしっかりグリップします。プロントのロッカーはかなり大きく反り上がっていますが、低速ではそれを使わずにフラットな接地感で走ることになると思います。

少しペースを上げてみると、クッションとリバウンドのバランスが取れて絶妙な走りを味わえます。テンポの速い走りに対応するのに十分な応答性と、より長い距離を走るためのサポートを提供してくれます。

さらに、フォアフット主体の接地になってくると、プロントのロッカーが生きてきて、走りをアシストしてくれます。

プレートは入っていないので、飛び出すような加速感はありませんが、逆に狭いスイートスポットがあるわけでもないので自分の走りにすぐにフィットしてくれます。

心配していたアウトソールの耐久性ですが、80km程走った時点で目立った擦り減りが見られなかったのは驚きです。想像以上に摩擦に強い素材だと思います。

「SPECTER」は極端な反発はないものの、ランナーの自然なストライドをうまく補完してくれるという意味で、ナチュラルランニングと厚底というマッチングが難しいテーマをうまく融合した意欲作だと思います。アップテンポのペース走からロングランディスタンスのトレーニング、レースで使用するならハーフマラソンからウルトラマラソンまで対応できる用途の広さも魅力です。

SPECTER（スペクター）
・価格 : ￥25,300（税込）
・サイズ：W22.5-25cm　 M25.5-28.5cm
・カラー：MEN’S　Black / Blue（ブラック/ブルー）、Orange / Seafoam（オレンジ/シーフォーム）、WOMEN’S　Espresso / Peach（エスプレッソ/ピーチ）、Orange / Seafoam（オレンジ/シーフォーム）
・重量：252g（27.0cm）、201g（23.5cm）
・スタックハイト：フォアフット30mm、ヒール35mm
・ドロップ：5mm

■Topo Athleticの記事一覧はこちら▼