2017年5/20(土)~21(日)「第2回トレニックワールド 100mile & 100km in 彩の国」の100kmコースを走る“スーパージィ”(以下、ジィ)ことMさんのペーサーをしてきました。100kmと言いつつ実質は106km。2016年110kmの完走率23.26%。なかなか厳しい大会だ。8の字になっているコースの上半分(North Stage)を走ってきて、スタート地点(ニューサンピア埼玉おごせ)に戻る。そのスタート地点でペーサーが待ち構えていて、合流したところで、8の字の下半分(South Stage)を一緒に走ってゴールをする。
“スーパージィ”と呼ばれる所以は、50代にしてフルマラソンPB3:05:43(2016年別府大分毎日)、最長200K(2017年小江戸大江戸)等々の素晴らしい戦歴があり、それだけの距離を走っていながらにして、未だかつて故障をしたことがないからだ。私はフルマラソンでは、あと数分というところでサブ4が達成できていない。本来ペーサーとは、レース中盤に疲れてきた選手を引っ張ってゴールへと導く、というのが役目だ。それがなぜ、ジィより走力の劣る私が指名されたか? それは、昨年の信越五岳においてもジィのペーサーをして一緒にゴール出来ていることと、来月のウルトラマラソン100㎞の練習を兼ねて走っておいたら良いんじゃない? という意図があってのこと。何より、ある程度の信頼関係が築けていて、気を使わない間柄であるのが一番の理由だと思っている。
100kmスタートは5/26(土)AM9:00。事前打ち合わせでは「5/26 PM10:00位に戻って来られるかなぁ」という話をしていた。しかし! 実際にジィがスタート地点に戻って来たのは18:00pm前! 予定より4時間も早い。身支度を整えて、いざ出発! ペーサーとは名ばかりで、ひたすらジィに着いて行く。山に入って早々に日が暮れた。
PM7:00過ぎ、ジィがボソッと呟く「眠い」。高山不動尊(66.5km)を目指す。応援に駆けつけくれた友人たちが、温かくて濃いめのコーヒー淹れて待っている。暗闇に浮かび上がる灯りと響く人の声。エイドだ。見覚えのある友人たちの顔が♪エイドで充分な休憩を取り、カフェインも投入したにも関わらず、ジィの眠気は一向に収まらない。足取りがフラついている。
「眠いの? 次のエイドまでもつ? チョット休んだ方が良いよ」。ジィは「切り株が、切り株が」と言っている。程なくして見つけた切り株に腰を下ろす。座りたかったらしい。下を向いて目を閉じるジィ。私も近くに腰を下ろして待機。止まるとヘッデンの光に蛾が群がってくるので消す。真っ暗な山の中で体育座り。時折、登ってくるランナーに「お疲れ様です」と声を掛ける。
「どの位寝た?」ゆっくり顔を上げてジィが聞いた。「5分位だよ」。次のエイドで仮眠をしたら良い。竹寺(76.6km)を目指す。
竹寺AM1:30頃着。エイドにはスポーツドリンク・水・コーラ・オレンジジュース・グレープジュース・サイダー・午後の紅茶…と飲み物の種類が豊富。特に午後の紅茶が気に入った♪ 気が付いたら仮設テントの傍らでジィは仮眠に入っていた。
トイレ行こうかな。向かうと男女共用。灯りがついているので、いろんな虫がパタパタ、カサカサ、ブンブン、ウヨウヨ…ギョエ~~!! なんってハードルの高いトイレなんだっっ!? 小一時間は寝たジィは、声のトーンもいつもの感じに近づいていた。AM3:00前に竹寺エイドを出る。
AM4:00頃、鳥のさえずりが聞こえ始めた。へぇ。明るくなる前に鳥は鳴き始めるんだ。早起きだね。明るくなるとホッとする。大高山(83km)を通過し、さらに登りは続く。時々「ウ”ォ」と声を発するジィ。金曜の終電近くの電車に乗ると、こういう声を出している人がいる。出すのか? 少し距離を置いてみたりして。。。それにしても、80km以上も走ってきた人に、よくこの勾配を登らせるよね……。ひどいもんだ。私にとってはまだ30km地点、だけど疲れてきた。
天覚山(85km) AM5:35、頂上に到着!! 最後の方は手をついてよじ登った。「どっこいしょ」登り切ったランナーたちはベンチに座り込み、疲れ切った顔をして首を垂らす。そんな中、ジィはいち早く立上った。「さ、勇気を出して、下ってみよう」
登りも登りなら、下りも下り。砂地な上に、小石がコロコロしているので足を取られる。なんたってこんなコースがあるのかね? ハイキングする人が居るとも思えないし。それでも30分程で下り切りロードに出る。エイドは目と鼻の先だけど、東吾野駅前の自販機で、冷たぁ~いコーラを買うジィ。それを一口もらうミィ(私)。美味しいったら! 五臓六腑に染みわたるってなもんで。
吾那神社(87.3km) AM6:37到着。すっかり日は登っている。気温も上がってきた。今までお世話になったヘッデン一式と防寒具・雨具を追っ掛け応援の友人たちへ預ける。ザックがだいぶ軽くなった♪今回、リザーバーを持とうか悩んだけれど、ほぼ夜間走になるので、ソフトフラスク500mlのみ携帯。「水分、次のエイドまで保つように気を付けないと」
ユガテAM7:20 小休止。のどかだ。。。けれど、日が出て大分暑くなってきた。
「これは、熱中症にも気を付けないとね」
「全部飲んじゃった」
…このジジィ!? さっき水分補給の配分気を付けようって言ったのに…と言いたいのを抑えて
「私の半分あげるよ」
なぜならペーサーだから。出来るのはこれくらいだけど。
1本杉峠(94km)AM8:50着。水分もほとんどなくなった。1km毎に一口飲もう。大事に。口の中に水分を行きわたらせてから喉へ落としていく。なんとなくクラっとなる。眠くはないけれど寝ていない故の症状か、はたまた熱中症の初期症状か。
ペースを落とすこともなく、どんどん先を行くスーパージィ。水分を切らしてしまった今、走ってより早く次のエイドまで行ったら良いのか、暑くならないようにゆっくり歩きながら行った方が良いのか考えながら、クラっとしないか確認しながら先に進む。
15時間、汗を掻き続けた事がありますか?汗が絶え間なく流れ続ける。もはや、そういう生き物になった気分。カバとか。犬の鼻とか。肌が常に湿っている生き物。水分を摂っている割には、トイレにそんなに行っていない。全部汗で出てるみたい。
「ローソンのマチカフェのアイスティーが飲みたい!」エイドで飲んだ午後の紅茶で味をしめた、全身犬の鼻と化した私は、ついうっかりそんなことを考えてしまう。振り返るジィ。いけない。疲れたジィを待たせてしまう。でも速くはいけないぃぃ
桂木観音(97.8km)AM10:00着。折れるかと思った…心。ジィに、エイドまだ? とか聞きたい気持ちになった。あぶないところだった。
虚空蔵尊 AM10:40。足元をすり抜けていくものがいた。「ぎゃ~~!?? 黄色くて縦に黒いシマシマがあって、そこそこ大きいヘビぃ~~~~!!!!」とっさで驚いた割には、我ながら、なかなかの観察力。的確に特徴を捉えた上でひと叫び。当のヘビはウネウネ茂みに逃げて行った。
最後に一山登る。登り切ったところでベンチに腰を下ろす。「葉っぱが小人に見えたり、人に見えたりする」……きてるねぇ、ジィ。幻覚が見え始めたんだね。道を踏み外さないように、気を付けて行こうか!
ロードに出る。「(トレイルは)おしまい!」と言ってハイタッチ。ゴールまであと3km程 この灼熱のロードをペースを上げて走りだすジィ。暑い。暑い。暑いんだよぉーーー!!! 鼻血が噴き出してくるんじゃないかと思いながら、突き進むジィを必死に追いかけてPM12:20…ゴール! ジィはよく完走しました。ホントに感心です。私は55km。残念ながら走り切っても、ペーサーには完走証も何もありません。でも、この体験はプライスレス!
Report/Miho KANAYA |