アンドラ・ウルトラトレイル・ヴァルノード/Andorra Ultra Trail Vallnord(以下AUTV)2017年大会が7月4日~9日に開催された。42カ国・3000人以上のエントリーがあった昨年の2016年大会では、40名以上の日本人トレイルランナーが出場し、メインレースのロンダ・デル・シムで山本健一選手が2位に入賞するなど、日本人ランナーの活躍が目立った。今年も様々なドラマが生まれたAUTVを、5つのレースカテゴリー別にレースリザルトとともにレビューする。
「AUTV2017開幕」動画 ⇒ https://vimeo.com/224665981/ffbfd0fbd4
■ユーフォリア・デル・シム/Eufòria dels cims
233Km/20,000mD+ 制限時間110時間
2人1チームでコースマーキングのないルートをGPSと地図を頼りに進む山岳耐久レース。今年が初開催のカテゴリーで、Nauel Passerat選手とJulian Morcillo選手のフランス&スペイン人ペアーが68時間49分43秒で優勝を飾った。最後まで手を取り合う姿が感動を与えたPavel Paloncy選手とFilip Silar選手のチェコ人ペアが72時間40分46秒で2位でフィニッシュ。Josep Pera選手 とSergi Bañeras選手のスペイン人ペアは、パトーナーを失ったSalvador Vilata選手と同3位でゴールした。
■ロンダ・デル・シム/Ronda dels Cims 170km/13,500mD+ 制限時間62時間
スタート・フィニッシュ地点となるオルディノ / Ordinoの町をスタートして反時計回りにアンドラ公国をぐるりと一周するロンダ・デル・シムは、世界で最もハードな100マイル・トレイルレースのひとつ。
男子カテゴリーで、このAUTVのメインレースの新たなキングに輝いたのは、フランス人トレイルランナーAntoine Guillom選手だ。レースでは、終始一定のペースをキープするトップクラスの我慢強さを見せつけた。Pep Ballester選手(スペイン)とYannnick Gourdon選手(フランス)は、2位争いで最後まで素晴らしい接戦を演じ、オルディノで待つ観衆に大歓声で迎えられた。
女子カテゴリーでは、フランスのシャモニーで開催される世界最高峰のトレイルレースのひとつウルトラトレイル・デュ・モンブラン(以下UTMB)の2016年大会で8位入賞、日本有数の女子トレイルランナー、丹羽薫選手(※写真)が2位に輝く偉業を達成!!
「丹波選手ゴールシーン」動画 ⇒ https://vimeo.com/225098893/996ace6ad2
■ミティック/Mitic 112km/9,700mD+ 制限時間46時間
ロンダ・デル・シムに比べれば距離こそ短いが、112kmでUTMBに匹敵する累積獲得標高9,700mD+のレース。アンドラ公国をぐるりとほぼ一周するコース。ミティックはコースの過酷さで有名だが、今年は世界的に見ても「最も過酷」なレースコンディションとなった。112km/9,700mD+のコース、さらに雨と風という悪条件が、勇気ある挑戦者たちに襲いかかった。
男子カテゴリーは、Sebas Sanchez選手、Vicente Parra選手, Sergio Luis Tejero選手の3人のスペイン人ランナーが44km地点まで白熱の戦いみせた。その後、Sanchezが自力の差を見せつけそのまま1位でフィニッシュ。Parra 選手とTejro選手の両ランナーは激戦の末、同着2位となった。
女子カテゴリーでは、日本の宮崎喜美乃選手が8位入賞と健闘した。
■セレストレイル/Celestrail 83Km/5,000mD+ 制限時間24時間
50マイルの典型的レースとして知られるセレストレイルは、美しい満月の夜に始まった。男子は、Armando Teixeira選手(スペイン)が10時間55分35秒で見事1位輝いた。女子は、Marta Escudero選手(スペイン)が13時間29分01秒でレースを制した。
■マラト・デル・シム/Marato dels Cims 42.5Km/3,000mD+ 制限時間14時間
強風と豪雨によりレース開始後にコース変更のイレギュラーがあった今年のマラト・デル・シム。男子は、Roberto García選手(スペイン)が2位と僅か1分差の接戦を制し、優勝を手にした。女子は、Queralt Riba選手(アンドラ)が爆発的なスピードをキープしたまま勝利。「調子が良すぎた」と、謙遜したコメントを残した。
■日本人ランナー神武秀徳選手(※写真、ビデオリンクあり)の感動ゴールシーン
本大会で最も印象的なシーンのひとつに、神武秀徳選手のゴールシーンがあげられる。世界で最もハードな100マイル・トレイルレースのひとつロンダ・デ・シムで、最後にゴールラインを切ったのは日本人トレイルランナーだった。AUTV各レースの最終ランナーは、いつも特別なゴールを迎える。大会主催者、オルディノの住人たちがランナーについて「一緒に」走るのが恒例となっている。AUTV大会最終日の7月10日日曜日現地時間22時28分、63時間28分にも及ぶトレイルランを終えて、体力の限界に達し体を傾けながらも、笑顔でゴールする同選手の姿が印象的であった。
日本人の活躍が目立った2017AUTVは、5つのレースで合計63人もの日本人ランナーが参加した。これにより、日本は、スペイン、アンドラ、フランス、ポルトガルに次いで、5番目に参加者数が多い国となった。