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第25回日本山岳耐久レース(ハセツネCUP)レポート

フイナム ランニング クラブ♡による「ハセツネCUP」レポート!

トレイルランナー.JPをご覧のみなさま、はじめまして、こんにちは。「フイナム」というファッションを中心としたウェブマガジンの編集をしている山本と申します。ひょんなことからランニングにハマり、2014年に文化系ゆるふわランニングコミュニティ「フイナム ランニング クラブ♡」を発足。不定期でグループラン&ビール(という名の飲み会)を開催しています。

ハセツネは変態レースである。

さて、というわけで、ハセツネです。正しくは「日本山岳耐久レース長谷川恒男CUP」。奥多摩を舞台に距離は71.5kmで、エイドはたったの一箇所、しかも水かスポーツドリンクのみという、昨今のエイドが豊富なトレイルランニングとは趣向の異なる変態レースと言っていいでしょう。

昨年初出場を果たした際には、第二関門の月夜見駐車場で補給したスポーツドリンクが喉を通らないアクシデントに見舞われながらも、綾広の滝の水場の湧き水のおかげで胃の不快感が解消され、金比羅尾根を爆走! 16時間40分11秒で無事ゴールを果たしました。

その経験を踏まえ、今回はスポーツドリンクを持たず、水を約2.5Lに500mlコーラのペットボトルを1本、補給食として武蔵五日市駅近くのセブンイレブンで購入したパンとおにぎり、気晴らし用にスポーツキャンディを大量に携え、スタートに備えました。

装備がとにかく重い……。

いちおう当日の装備も振り返っておきましょう。前出の水はすべて500mlのソフトフラスクに入れて、ソフトシェルとレインパンツ(ともにサロモン)にミドルレイヤー(ホグロフス)、ヘッドランプを2つ(レッドレンザーとペツル)と予備の電池、ポイズンリムーバーやサバイバルブランケット、携帯トイレなどはジップロックにまとめ、ザックにはサロモンの「S/LAB PEAK 20」をチョイス。

容量20Lなので、荷物が多くなりやすいハセツネの装備を、難なくパックすることができます。ジェル類は味も食感も好みではないので一切持たず、トレイルバターを1つザックのサイドポケットに忍ばせておきました。

おかげで、ザックが重い…。ザックを背負うだけでカラダが前後左右に振られる。実際に走り出してみても、いつものスピードは出ないし、とにかく疲れる。この先、71.5kmの道のりをこれだけの荷物と共に歩むのかと考えるとホントに骨が折れる、でも、これぞハセツネ。なんて思っていたら最初のトレイルの入り口で恒例の渋滞に差しかかります。

過酷なレースを楽しくさせた、思わぬアクシデント。

ここまでは「フイナム ランニング クラブ♡」の女性メンバーであるクマちゃんとゆいちゃんと3人で走っていたので、渋滞に滅入ることもなく、のんきにおしゃべりを楽しみながらゆっくりと先に進むのを待ちます。渋滞が解消されてからは、登り基調のコースに辟易しながら、第一関門である浅間峠(22.66km地点)まで一歩一歩足を進めていきます。

渋滞の影響もあって約5時間かけて浅間峠に到着。と、ここでアクシデント発生。ここまでの道のりを共にしたゆいちゃんの水分が、あと僅かであることが判明。650ml弱の水分(水350ml、レッドブル300ml)で、約20km先にある水分補給のできる月夜見駐車場までたどり着くのは無理だと判断。断腸の思いでDNFを決断していました。

だが、しかし、レースはまだまだ序盤、制限時間は歩いてもゴールできるとされる24時間。「体力を温存しながら先を目指せばなんとかなる! 陽も暮れれば涼しくなるし!」とクマちゃんと2人で彼女を無理やり励まし、なんとか浅間峠を出発させます。すると今度は同じくフイナム ランニング クラブ♡のメンバーである鉄人・長谷川さん(女性)に遭遇。

この先のコースで転倒し、右足を強打。痛みに耐えかねてDNFを決断し、引き返してきたのだと涙ながらに口にする彼女。ここでもぼく、クマちゃん、ゆいちゃんの3人で泣きじゃくる鉄人を必死に説得し、一緒にゴールを目指すことを承諾。ここから元気満々なクマちゃんは1人で先を急ぎ、ぼくとゆいちゃん、長谷川さんという奇妙な3人による長旅が始まります。

左が鉄人こと長谷川さん。中央がぼく。右がゆいちゃん。三頭山の山頂にて。

スローペースを支えた3つの目標設定。

発汗を極力防ぐのに加え、長谷川さんの足の状態を考慮して、登りも下りも歩くと決めて進みだしたぼくら3人。レースの話、コースの話、山の話、恋の話、「フイナム ランニング クラブ♡」のメンバーの話……、厳かなハセツネの雰囲気にそぐわないと自覚しながらワイワイキャーキャーとお喋りしながら、着実にゴールに向かっていきます。

するとレース2日目となる10月9日(月)が長谷川さんの誕生日だと判明! ここで、
「月夜見で月を見ながら誕生日を迎えよう!」
というささやかな目標を打ち立てます。しかし、距離と時計をにらめっこすると、かなりギリギリ。ましてや下りも走らない超スローペース。それでもゆいちゃんの好リードで、23時50分ころに月夜見に到着。きっちりと水分を補給し、雨雲の隙間から除く月を眺めながら、無事誕生日を祝うことに成功します。

月夜見駐車場ではフイナム ランニング クラブ♡のメンバーである麦倉さん(左)に遭遇。

ここまで来ればゴールしたも同然。コースも下り基調になるし、湧き水のポイントもあるので、そこまで水分補給の心配もいりません。そう高を括っていたら、今度は岩場や鎖場といったテクニカルなコースが顔を出してきます。しかも、山中は常に細かい雨が降っていたため、ほとんどのシングルトラックがぬかるんでいる状態。常に歩いてはいたので、足の疲労はないものの、くたびれるコースがこれでもかと続きます。

朝の4時頃を回ると、ほのかに空が明るさを取り戻してきます。そこで新たな目標に掲げたのが、
「日の出山でご来光を眺めること!」
このペースで行くと、ドンピシャのタイミングで辿り着きそう。焦る心を抑えてあくまでもマイペースに進み、日の入り時間に日の出山の展望台にたどり着きます。ところがガスで眺望どころか、すぐ先さえも見えない。失意のなか足を進めると、その先に開けた場所で太陽と雲が重なりあう奇跡の瞬間に遭遇! 思わず、3人で記念撮影をし、ゴールに足を向けます。

日の出山の先で目にしたご来光。この美しい瞬間に立ち会えただけでも感激です。

まさかの覚醒!? ゴールは仲良く3人で!

と、ここで長谷川さんがまさかの覚醒! DNFを決意するほど痛かったはずの脚で、どういうわけか金比羅尾根を走っている! そこで当初のゴール想定時間20時間を大幅に短縮して
「18時間以内のゴール」
を目指し3人で黙々と走り続けます。

第三関門の御岳山長尾平からの13.5kmの道のりを2時間弱で走りきり、最後は仲良く3人で手を繋いでゴーーーール! 序盤でDNFを決意した2人が、まさかの完走! タイムだって17時間56分33秒と、決して悪くないし、思いつきで掲げた3つの目標もすべてクリア。

こうして約12時間に及ぶ3人の旅は無事に終了。いやはや、楽しい旅路でした。

ぼく自身も、予備知識も山力もなくポテンシャルだけで完走した昨年に続いて、プレスランナーという記録に残らない特殊な立ち位置での2回目の完走。しかも、レース中は常に女子に囲まれているハーレム状態♡ いやはや、こんなに楽しくてよかったのかな。いや、これもきっと、ハセツネの楽しみ方の1つですよね(きっと)。

最後に一つだけ。レポートを読むと、まるでぼくが彼女たちをゴールに導いたようになっていますが、そんなことはありません。むしろ、実質的なサポートが禁止されているハセツネで、彼女たちと共にしたことが結果として精神的に大きな支えになったのは言うまでもありません。この場を借りて、感謝申し上げます。長谷川さん、ゆいちゃん、ありがとう! そして大会に携わった関係者みなさま、お疲れ様でした! 楽しく走らせていただきました!

■日本山岳耐久レース(ハセツネCUP)
http://www.hasetsune.com/
■フイナム ランニング クラブ♡のブログ。
http://hrc.blog.houyhnhnm.jp/

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