第19回ハセツネカップにスウェーデンから参加したエリック・オーランド選手からレポートが届きました。
第19 回ハセツネ CUP レースを振り返って
ランナーとしての充実
私は 20 年にわたって世界各国で開催されるレースに参加してきました。その経験から、自分の得意分野で成績を上げることだけがランニングを楽しむ方法ではないと確信しています。ランナーであれば、新しいものに挑戦することで多様性を享受でき、それが新しいトレーニング方法や未体験のレースなら、必ずそこから学び取ることのできるものがあるでしょう。
私はそこに個人の成長の 2 つの側面を見出しています。1 つ目の側面は、ある 1 つの訓練に集中し、その訓練による自分の成長を実感するというものです。たとえば、3,000 m ハードル競技で最高の成績まで高めるという場合です。ここでは、他の競技者と比較した成績を重視します。
個人の成長のもう 1 つの側面は、ランニングの見方を広げ、新しい形式のランニングを試すことでスキルを伸ばすというものです。たとえば、普段ハーフ マラソンを走っているランナーなら、山岳ランニングやオフトレール ランニングを試してみるというものです。この 2 つ目の側面は達成感の充足に貢献します。
私は、ランニングを十分に楽しむには、この両方の側面を充実させる必要があると思っています。また、どのようなランナーでも学ぶべきことや探求できるものは多くあり、その中でも後者の探求が重要であると考えています。
今年私は、ハセツネ CUP に参加してみました。これは新しいことを試してみる 1 つの方法であり、私はこれをチャレンジと考えていました。初めて走るハセツネ CUP は驚くべきものでした。レースが始まってみると、想像を絶する困難が待っていました。20 年間いろいろなクロス カントリー レースを走破し、年間 600 時間におよぶランニング トレーニングを重ねてきた私でも、ハセツネ CUP の前では、未熟なランナーになったかのようでした。ただ、このことは、成長しようとするあらゆるランナーにとってよい兆候であるといえるのです。
ハセツネ CUP レースの展開
私の目標は上位のランナーから離されないように努めることと、この壮大なレースを上位で完走できる根性があることを示すことでした。レースが始まると先頭ランナーのわずか数メートル後ろに付きました。最初の 1 km まではすばらしい地形の中をレースしているのだと感じました。雲の下から出発した後、山を登り、雲を通り抜けていきました。湿った森の中、鋭く切り立った尾根に沿った小道を走っていきました。私は驚嘆していました。7 – 8 km 走ったころ、レースの 1 割しか終えていないのに登りが多いと考え始めました。しかし、先頭ランナーに付いていけば、問題はないだろうと考えたのです。2 時間走ったころ、登りが終わらないことに気づき始めました。このとき、20 km 地点を通過したところでレースは 53 km 残っており、これは過酷な事実でした。持参の 1.5 リットルの水はとうになくなっており、次の水場までは 22 km の道のりがありました。このときになって、レースを完走するにはペースを落とす必要があると悟りました。ペースを落とし、さらにこのペースで 2 時間走りましたが、登りの頂上には到達せず、水場までの距離も相当ありました。水も体力もすっかり消耗していたため、私は帰還する必要があると感じ、戻る手だてを考えながら歩き出しました。1 時間後、車で収容してもらえるステーションにようやくたどり着いたのです。
レースに備える方法
ハセツネ CUP は私に多大な影響とランナーとしての貴重な体験を与えてくれました。この結果、私の自己意識は高まりました。この経験を活用して、次回このチャレンジに勝利できるように適切に準備することができます。次回のレースに備える私の計画は次のとおりです。時間とペースの両面でトレーニングを多様化する必要があります。速いペースでの短時間のトレーニングと、遅いペースでの長時間のトレーニングを行う必要があります。長時間のトレーニングは 4 – 5 時間、ハイキングのペースくらいのペースで行います。短時間の高速トレーニングは 30 – 40 分間、身体が耐えられる限界まで森の小道で行います。これらを組み合わせることにより、さまざまなスキルが培われるだけでなく、行って楽しいトレーニングも生み出されます。
私の結論は、決して探究を止めるべきではなく、個人の創造性が自分の成長になるというものです。
Erik Öhlund 2011年 11 月 7 日
PROFILE
Erik Ohlund(エリック・オーランド)
1980年スウェーデン生まれの31歳。
Icebug ランニングシューズの開発に携わっている。オリエンテーリングとランニングに情熱を持ち、年600時間のランニングと50回のレースをこなし、ここ10年間ランナーとして国際的なレベルを維持している。
主な戦歴は下記をご覧ください。
http://runners.worldofo.com/erikohlund.html
■エリック・オーランド選手が使用したシューズ
icebug「メンズアニマ」の情報はこちら