足が意志を持ったように自由に動く
トレイル専用ハイグリップモデル
「FELLRAISER」は「S-LAB FELLCROSS」をベースに開発されたモデルです。そもそも「S-LAB FELLCROSS」は「SPEEDCROSS」がベースなので、「SPEEDCROSS」ファミリーということになります。細身でハイグリップな血統に加えて、ミッドソールハイトは12mm/6mmでドロップ(踵とつま先の高低差)は6mm。これはナチュラルランニングを提唱しているモデル「SENSE MANTRA」と同じ数値で、さらに全体に4mm低くなっています。カタログには記述はありませんが、スペックを見るとナチュラルランニングに適したモデルということができます。
足入れしてみると、やはり踵が低く地面が近い感じがします。とはいってもドロップ6mmはナチュラルランニングの入門用の値。踵が高めのシューズに慣れている方が履いても、それほど違和感を感じることはないでしょう。アッパーのメッシュは伸縮性が高く柔らかめ。補強はしてあるものの、ガッチリと足をホールドするというよりは、足の動きを妨げずに自由に開放してくれるという印象です。ヒールは浅めで、見た目で不安に感じる方もいるかもしれませんが、踵後部のラウンドした部分がシューズのヒールカップとしっかりとフィットしていれば、高さは必要ありません。どんなシューズでもそうですが、履くときは、まず踵をしっかりとフィットさせてからシューレースを締めてください。つま先を合わせて履くのは間違いです。
アッパーと同様、ソールもしなやかです。屈曲性、ねじれ共に「SPEEDCROSS 3」より柔らかく、足底の立体的な動きが路面に伝わるような、より素足に近いフィーリングでした。アウトソールはラグが高く、トレイルでのグリップ重視型。登りもいいですが、特に下りでのグリップ性能は抜群です。ロードとの兼用は考えないほうがいいでしょう。特徴はアウトソールの端から外に張り出すようにラグが配置されている点。このため、接地面積が広く、体重は分散され安定感が増しています。ただし、安定感と俊敏性は相反するものでもあります。「FELLRAISER」は既に説明した全体のしなやかさで俊敏性はかなり補えているので、全体にバランスを保っていると言えます。
「FELLRAISER」は価格が安めだからといって、入門モデルと勘違いしないでください。むしろ、「SPEEDCROSS 3」より挑戦的な仕上がりだと思います。フォアフットからミッドフットでテクニカルトレイルを攻めるための、サロモンの新しい選択肢といえるでしょう。