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【Report】「GOLDEN TRAIL SERIES 2022」グランドファイナル マデイラ・オーシャン トレイルス

世界のトップトレイルランナーが集いNo.1を競う「GOLDEN TRAIL SERIES(ゴールデントレイルシリーズ)」。そして2022年に日本で初開催となった「GOLDEN TRAIL SERIES NATIONAL SERIES(ゴールデン トレイル ナショナル シリーズ)」。
全5戦のポイントランキング上位男女3名が挑んだ、ポルトガル、マデイラ島でのグランドファイナルのレポートをお届けします。

 

 

 

吉野大和選手
GOLDEN TRAIL NATIONAL SERIES JAPAN 男子1位
GOLDEN TRAIL SERIES GRAND FINAL(オープンカテゴリー)男子24位

 

 

プロフィール
群馬県在住。JST北関東所属。中学、高校は陸上部に所属。その後トレイルランニングに出会い2022年Trail&Mountain Running日本代表に選出。ショートからロングとマルチランナーを目指し、仕事と競技の両立を図りながら世界に挑戦している。

「今年はこの大会で結果を残すことだけを考えていました。結果は5レース合計35位。世界との差を肌で痛感しました。ナショナルシリーズ5戦のうち4戦優勝し、自信がありました。初日は24位とまずまずの出だし。ここからさらに順位を上げようと思っていましたが、体調を崩してしまいました。2日目からは体調との戦い。順位を上げるどころか完走するのがやっとの状態でした。レース中何度も棄権しようと頭をよぎりましたが、招待して頂いている以上何としてでも走りきろうと決心しました」

 

 

「海外の選手と圧倒的な差を感じたのは下のスピードです。日本にはないテクニカルな路面かつ長く続く下り。そこをトップスピードで駆け下る選手に何十人と抜かれされてしまい、下りの技術がまだまだ足りないと感じました。
チーム対抗は5位で表彰台の3位にあと一歩でした。自分が貢献できたのは1日目のレースのみ。チームのみんなにも迷惑をかけてしまい申し訳ない気持ちでいっぱいです」

 

 

「今回万全な状態で走れなかったのは自分自身の責任です。リベンジできるのであればまた挑戦したいと思います。

5日間励まし合い、戦い抜いた代表メンバー、現地でのサポート、チームをまとめて下さった中村さん。本当にありがとうございました」

 

 

 

小笠原光研選手
GOLDEN TRAIL NATIONAL SERIES JAPAN 男子2位
GOLDEN TRAIL SERIES GRAND FINAL(オープンカテゴリー)男子5位

 

 

プロフィール
北海道在住。学生時代はサッカーに打ち込む。転職を機に大学時代に住んでいた札幌に移り、仕事と両立をしながらトレイルランニングでさらなる活躍を目指している。

「初めての海外戦でしたが、サロモンの中村さんを始め他のメンバーが行くこともあり、大会手続等の不安はありませんでした。また、海外を走るのもシリーズ戦も未知の世界で想像ができない分、怖いもの知らずで楽しみが大きかったです。ただ、シリーズ戦以外にも連戦の経験がなかったので、怪我せず脚が持ってくれるかが心配でした。結果としては、現状の自分の実力は出し切れたし、オープンカテゴリーで5位になり表彰のステージに上がれたのは良い経験になりました。ただ、トップの方とは最初からレベルが違い、勝負どころではなく実力が足りないことも痛感しました」

 

 

「レースはどのステージもそれぞれタフかつ楽しかったですが、僕が一番印象に残っているのは第4戦。このステージ戦の中では一番きついコースで、結果も感覚的にもこのステージで1番よくありませんでした。ただ差を感じることができたし、最終戦に向けて気が引き締まったレースでもありました。
4戦目当日の朝、前日の夕方にはタイムトライアルがあったため脚が重いと思いきや、2,3戦目のスタート時より脚の感覚が良い気がしました。アップ中も悪くない感じでした。しかし最初の5kmで1000m登る区間の序盤でただの勘違いだと気がつき、そこからは苦行。登りはダメダメで、下りで挽回しようと脚を使ってしまい、アップヒルのセグメント区間にもなっていた中盤の長めの登りで撃沈。一緒に走っていた選手には置いていかれ、後ろからも抜かれてしまう始末。それでも最後粘り、ゴール直前で1人かわし何とかギリギリ10位台の19位でゴール。このステージ戦で最も苦しい日でした。終始苦しいというのは初めての経験でしたが、その中でも走りきれたし最後に少し粘ることができたのは少し自信に繋がりました。ただすごく悔しかったし、もっと強くなりたいとも思いました」

 

 

「今回の経験を通して海外レースの面白さを知りました。日本には日本の良さがあるけれど、また違う良さがありました。また滞在中に瑠偉さんや大和さん、カロさんとお話をさせていただくことで勉強になったし、刺激を受けました。もっと実力をつけて海外の大会にもチャレンジしたいし、いろいろなところを走りたいと思いました。
最後に滞在中のマデイラ島は、標高が高いところは天候が優れませんでしたが、場所によってトレイルや景色が変わり、素敵な場所でした。特に第3戦のCanicalは、天気も良く素晴らしい景色のなか走ることができました。大会関係者の皆さま、素晴らしい大会をありがとうございました」

 

 

 

甲斐大貴選手
GOLDEN TRAIL NATIONAL SERIES JAPAN 男子3位
GOLDEN TRAIL SERIES GRAND FINAL(オープンカテゴリー)男子19位

 

 

プロフィール
東京都在住。ランニングコーチとして初心者から上級者まで、子供から大人まで指導をしつつ、アスリートとしてフルマラソンやトレイルランニング、スカイランニング(日本代表)にも取り組む。その傍ら、ランニング系YouTuber「くれいじーかろ」として走る楽しさを伝える活動も行っている。

 

 

「今回はポルトガルマデイラ諸島で行われたGTNSグランドファイナル(マデイラオーシャントレイル)に出場させていただきました。5日間連続であるステージレースで、各ステージ毎にチャンピオンが決まり、全ステージ終了後にトータルタイムで最終的なチャンピオンが決まるものです。また各ステージ毎に登り、平坦、下りの計測区間がありその区間でのチャンピオン及び、最終的なチャンピオンが決まります。僕が出場したオープンの部では、各ナショナルシリーズの上位に入った選手たちが、地域ごとにタイムを競う対抗戦も行われました。
1日目 24.5km 1540D+
2日目 26.6km 1425D+
3日目 6.6km 350D+
4日目 26.2km 1940D+
5日目 30.5km 1555D+
5日間合計 114.4km 6810D+」

 

 

「マデイラ諸島に滞在中は晴れていたと思ったら雨が降ったりと、毎日安定しない天候でした。レース中は1日目以外は天候に恵まれてとても気持ち良く走れました。コースは日本みたいな木々に囲まれた砂利のトレイル、日本にはないひらけたゴツゴツした岩場のコース、一気に1400m登るコースなど色々な経験をさせていただきました。
島自体は基本起伏しかなく、走るのに苦労しました。基本ホテルに宿泊していてそこで食事は取れたので、体調も崩さず5日間乗り越えられたのはよかったです。
今回のレースはゴールデントレイルのファイナルということで、かなりの賞金が準備されていましたし、速報サイトやカメラマンさんの共有の早さ、表彰式やSNSなどでの魅せ方などとても参考になりました。日本でもトレイルランニングがもっと盛り上がっていけるように。簡単でないことはわかっていますが、僕が出来ることを少しずつ取り組んでいければと思います」

 

 

 

尾藤朋美選手
GOLDEN TRAIL NATIONAL SERIES JAPAN 女子1位
GOLDEN TRAIL SERIES GRAND FINAL(オープンカテゴリー)女子21位

 

 

東京都在住。パーソナルトレーナー、ランニングコーチ、マラソントレーナー、ボディメイクアーティスト。保育士を経てトレーナーの道へ。マラソン、トレイルラン 、スパルタンレースなど数々のジャンルで現役アスリートとしても活動中。

「私は今回このGTNSシリーズ戦の中で本当にたくさんのことを学ばせていただき心の底から感謝しております。まず、今まで本当に運良くここまで来られたということもあり世界トップレベルの選手達の走りを身近で体感し自分の弱い所、欠点などを見つめ直す貴重な経験になりました。過去に私はサハラ砂漠でのステージレース250kmを経験していましたが距離が長いだけでなく気温、環境が過酷だったということもありスピードがそこまで無くても体力と気力で走りなんとか結果へと繋げる事ができていました」

 

 

「しかし、今回は毎日25km前後でスピードが重要となりレース以外の生活環境なども物凄く整っているという事で私の弱い部分を痛感することになりました。今回TEAM JAPAN🇯🇵として参戦させていただいていたのにずっと不調で思うように走れていませんでした。
男女上位2名の記録が反映されるチーム戦で私だけ1度も貢献出来ず4日目に関しては登りが全然走れなくなってしまい過去1酷いレースをしてしまいました。私は何のためにここに居るのだろうか。自分の不甲斐なさに悔しくて2日目ぐらいからレースを振り返る度に涙が止まりませんでした。いつも自分の事しか考えられてない私が少しでもみんなの力になりたい。こんなにもチームを意識して走れたのは初めてでした」

 

 

「調子が悪い私に対してチームみんなの優しさや応援してくれている人たちの温かいメッセージから沢山のパワーを頂き、レース5日目はギリギリ日本人女子1位で帰ってくることができました! 最終日にやっと6/6 になれて初めてチームに貢献出来ました。。。
こんなにも精神的にも体力的にも追い込んだトレイルのレースは初めてだったかもしれません。
結果、TEAM JAPAN🇯🇵4位🏅 このメンバーで良かったと心から思いました。もっともっと強くなってまたこのステージに立てる様にリベンジしたいと思います!! 本当にたくさんの人たちのサポートがありここまで来る事ができました。
心の底から感謝しています。本当にありがとうございました。引き続き応援していただけたら嬉しいです」

 

 

 

長野安那選手
GOLDEN TRAIL NATIONAL SERIES JAPAN 女子2位
GOLDEN TRAIL SERIES GRAND FINAL(オープンカテゴリー)女子18位

 

 

プロフィール
長野県在住。小学生から陸上競技・走り幅跳びを始め、高校では北信越大会出場 。社会人になりトレイルランニングを始め、ミドルレースを中心に活動。トレラン以外にも、ロードバイク、登山、ロングトレイルなどマルチに活動し、イベントなどを通じてその魅力を発信している。

「冬にクロスカントリースキーをしながら友人に聞いたと思います。『”GOLDEN TRAIL NATIOTAL SERIES”というのを日本でもやる』と。調べるうちに自分にもチャンスがあると、春からグランドファイナルを目指すようになりました。
もちろんいつも勝ちに拘ってはいたが、例年は自分が出たいレースを楽しみながら走っていたし、夏になればテント泊や縦走で見たい景色を求めて歩くことがわたしのスタイルだったので、大きな目標を持つことは初めてでした。毎月コンスタントに結果を出さなければいけないというのはストレスも大きかったけれど、国内戦はすべてトップ3と、ピークを合わせることが得意なわたしは強かったように思います」

 

 

「最終戦のミスで首位通過とはいきませんでしたが、予定通りポルトガルへの切符を掴み、初めての国際レースに意気込んでいました。そんなとき、出国の1ヶ月前にロードバイクで落車し1週間歩けないほどの大怪我を負いました。正直、スタートラインに立つことすらできないかもしれないと思っていましたが、周囲のサポートにより出国1週間前にやっと山を走れるように。そんな経緯もあり、今回のレースはわたしにとっては久しぶりのトレイルで、緊張と不安に加え、程よいワクワク感がありました。
スピードレース5連続というのは、自分の心身がどうなるのか未知で、コースプロフィール&スケジュールを見てもわかる通り過酷で、レースが終われば食事、風呂、洗濯、ケア、食事、睡眠…その繰り返しです。日本チームの仲間と衣食住を共にし、『おはよう』『お疲れ』『今日はどうだった?』『おやすみ』と声を掛け合い、みんなで毎日を乗り切っていました。不思議と『辞めたい』とは一度も思わず、それよりも辛い状況も何だか楽しく思えていた日々でした。
得意なサーフェスだったから、ということもあるかもしれません。はじめての海外のトレイルは、キツイだけではなく、日本と似ている植物や土質を見つけたり、はじめて見る景色や植物・動物に出会ったり…『集中して走りなさい!』と怒られそうですがその自然を見逃すことはできませんでした。わたしが暮らす長野県にはないマデイラ諸島の美しい海が一望出来たり、断崖絶壁コースを走ったりと、刺激の連続でした」

 

 

「また、多くは観光地でハイカーともたくさんすれ違いましたが、ビブを見て『Let’s go ANNA!!』などと大声で名前を呼んで応援してくれ、抜いたランナーも『Go ANNA!!』と後押ししてくれたり、みんなが尊重し合い、その場を共有している雰囲気がとても好きで心地良かったです。まさに『Share the Trail』という感じ! 海外レースならではだなと、とても素敵だと思いました。
結果は、順位の50%以上を目標にしていたのでOPEN Womenではちょうど半分くらいで、エリートを入れると話になりませんでしたが、このときできる自分の最大限の走りはしました。またチャンスがあるならもっと上を目指せると思うので、次は万全の状態で臨みたいです。『ああ、山を走るのはこんなに楽しかったっけ!』と改めて感じさせてくれた、そんな旅でした」

 

 

 

澤田由紀子選手

GOLDEN TRAIL NATIONAL SERIES JAPAN 女子3位
GOLDEN TRAIL SERIES GRAND FINAL(オープンカテゴリー)女子14位

 

 

プロフィール
長野県在住。自衛隊勤務後、結婚・子育てを経て長野県に移住。30代後半で始めたトレイルランニングはロングを中心に世界最高峰の大会を目指して活躍を続けている。

「今日は最終戦、第5ステージ滞在中のホテルでは毎食豊富なメニューが並ぶバイキング形式なのにこの日も自分の嗜好に偏り全粒粉の食パン、ビーツのサラダ、ブルーチーズ、ハム、メロン、パイナップルをプレートいっぱいに盛り付けた。泣いても笑ってもマデイラ島を走れるのは今日が最後だ。1秒を削り出す覚悟を決め集中力を高めていた」

 


「この日のスタート地点は『モンテ』と言うマデイラ島中腹にある集落。西洋風とアジア風の庭園で有名な『モンテ宮殿トロピカルガーデン』という人気のある観光地でもあり石畳の道の両側には寺院のような建物が並んでいた。スタート後はマデイラ島最高峰ピコ・ルイボ(1861m)の手前3キロ地点までひたすら登り続け13キロ地点で折り返しピストンしてフンシャルの海岸まで一気に下っていくという最終戦にふさわしいドラマティックなコースだった。と言うのも5日間も走っていればレース中は大体走力が似たような選手が前後にいるのだがこの日はピストンなのですべての選手とすれ違うのだ。何より感動的だったのはトップ選手の走りを間近に見れた事だった。男子トップのレミ(スイス)は桁外れのストライドとケイデンスで風を切って下っていった。女子トップのアリー(アメリカ)は私よりも小柄で細い選手だがダイナミックで躍動感溢れる動きで駆け抜けていった。正に全身で走っているという印象だった。あっという間の出来事だったが興奮はピークに達した。マデイラ島は大西洋を流れる海流の影響で天気が急変しやすくピーク付近では霧がかかったり急に風がひんやりしアームカバーを装着した。その後日本人で唯一エリート選手として参加し上位入賞を競っている上田瑠偉選手を始め、チームジャパンのメンバーとすれ違った。お互い声を掛け合い自分自身ももう一度ギアを入れ直した。各国選手一人ひとりの真剣な姿を見るたびに共に5日間戦ってきたことに対する誇りを感じ感謝の気持ちでいっぱいになった」

 

 

「各ステージは起承転結に似た意味がそれぞれにあって最終ステージは結として感動の嵐を起こしてくれた。さすが世界のサロモンの運営だとつくづく感心した。
チーム戦では4位と惜しくも入賞に届かなかった。表彰台上でチーム戦3位以内に入賞した選手がシャンパンファイトをしている輝かしい姿を見た時は祝福の気持ちと共にとてつもない悔しさがこみ上げてきた。
今回は今の自分ができる限りの事はやり遂げたと思う。だからこそ工夫と努力次第ではもっと成長できるんじゃないかと新たな可能性を感じている。
世界の選手はネジが5本ぐらい外れている凄さを感じることもあったが(笑)芯の強さと温かい人柄が滲み出ていて選手としても人間としてもリスクリスペクトを感じることが多かった。私もそういう存在を目指していきたいと心に誓いマデイラでのレースは幕を閉じた」

 

 

 

来る2023年もゴールデントレイルナショナルシリーズジャパンの開催を予定し、開催発表に向けて準備を行っています。世界トップレベルのトレイルランニングにチャレンジしてみませんか?

 

■GOLDEN TRAIL NATIONAL SERIES JAPAN
https://www.goldentrailseries.com/jp/series/gtns-japan.htm

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