【Review】BROOKS「AURORA（オーロラ）」

ヒールストライカーでもウルトラスムーズ！マックス＆ソフトクッションな近未来ロードシューズ

どちらかというとコンサバなランニングシューズが多いイメージのBROOKS（ブルックス）から、かなりインパクトがあるロードランニングシューズが登場しました。BROOKSの次世代開発チーム「ブルーライン」が手がけた厚底シューズ「AURORA（オーロラ）」です。

アッパーからソールまで、とにかく奇抜な「AURORA」ですが、最も目を引くのは今にも弾けそうなミッドソールですね。まずはそこから見ていきます。

ミッドソールの素材はDNA LOFT V3。これはDNA LOFTに液化窒素ガスを混ぜ臨界発泡させて成型したフォーム材です。BROOKS史上最も柔らかく快適なDNA LOFT V3は、従来のDNA LOFTと比べて、28%軽量で、クッション性は16%、反発力は17%向上しています。

スタックハイトはフォアフット31mm、ヒール37mm、ドロップは6mmです。厚さだけではなく、幅もかなり広く設定されています。

さらに特徴的なのはミッドソールがミッドフット部分でデカップリング（分離）されていて、フォアフットとヒールが独立して動くこと。また、多くの厚底シューズが採用しているソールのロッカー形状（グライドロールテクノロジー）も採用しています。

（左）フォアフットとヒールが独立して動く。
（右）横にも後ろにも張り出した巨大なヒール。

アッパーも凝りに凝っています。ベースの素材はソフトモノメッシュのリップストップ。ソックスが透けるほど薄いのですが、強度はしっかりしています。タンは、もはやタン（舌）の形状はしていません。ソールに接続されて甲全体を取り囲んで、しっかりと足をホールドしてくれます。ヒール部は一体成形されたパーツが取り囲んでいますが、柔らかい素材で、ヒールカウンターも内蔵していません。

これだけ大袈裟なデザインと巨大なミッドソールを採用しても、重量はたったの240g（27.0cm）というのは正直驚きです。

ソフトモノメッシュのリップストップをベースにタンの役目もこなすキルティングのライナーを組み合わせたアッパー。

足入れしてみると、少しタイト目でしっかりとしたホールド感です。通常のシュータンと違い、オーバーラップする部分が足に当たらないので、より一体感がありました。

ゆっくりと走りだすと、やはりミッドソールの柔らかさが際立ちます。しかし、ただ柔らかいだけではなく、適度な反発があるため、弾むようなフィーリングが得られ、シューズがテンポアップを要求してくるような挙動でした。

大きな特徴は、ソールに張りを持たせるプレート、シャンク、シャーシと呼ばれるようなものの存在が感じられない点です。このため（ミッドソールのフォームの反発は感じられるが）ソール全体の張りが提供するガイドや反発がほとんどなく、逆に足の挙動に対して余計な力が加わらない、ナチュラルな印象がありました。

このナチュラルさを最大限に生かされているのが、ヒールからフォアフットまでの荷重移動の局面です。

着地する際、まずアッパーのヒール部分はしなやかに後方に反り、後ろに貼り出したミッドソールが路面からの衝撃をいち早く吸収。その後、巨大なヒール全体が最大化する荷重を受け止めます。そこからフォアフットに荷重が移っていくときにスムーズな荷重移動を実現するのがデカップリングされたミッドソールです。もちろん、ソール全体もロッカー形状となっているので、この二つの効果でウルトラスムーズな荷重移動となります。

このように、路面からの衝撃による疲労はかなり軽減されるため、より快適に長い距離を走ることができます。しかも、ヒールストライカーであるほど、スムーズな荷重移動を実感できるはずです。

「AURORA」はプロネーション対策が施されていないため、ニュートラルな走りの幅広いレベルのランナーにお勧めだと思います。レースであればウルトラマラソンなどのロングディスタンスではかなり楽に走れると思います。

見た目の奇抜さとは裏腹に、しっかりと走れる本格的な性能を持ちながら、新しい試みもしっかりと盛り込んだ、未来志向の厚底ランニングシューズです。

AURORA（オーロラ）
・品番：BRM3673
・サイズ：Men’s　25.0-29.0cm・Women’s　22.5-26.0cm
・カラー：Men’s　W/OR・Women’s　W/P
・価格：¥27,500円（税込）
・アッパー：モノメッシュ
・ソール：EVA＋ラバー
・重量：240g（Men’s 27 0cm 片足）、215g Women’s 25.0cm 片足）
・ドロップ：6mm

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