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【HOKA Special Interview】小川壮太 × SPEEDGOAT 5「100マイルへの想い」

ターニングポイント。スカイレースやミドルディスタンスを主戦場として活躍してきた、プロトレイルランナーの小川壮太選手。2022年からは100マイルに的を絞って活動するという。熱い走りと論理的な思考が交錯する小川選手の自信と不安、そして相棒となるシューズHOKA「SPEEDOGOAT 5」を履きこなすためのテクニックにも迫ります。

人体実験の末に内臓問題解決の糸口が見えた

――コロナ禍での約2年間は海外のレースに自由に行けず、日本国内のレースでも少なかったわけですが、その振り返りと、今後の展望について教えてください。

小川壮太(以下、小川) 実戦経験の不足でレース慣れしていない状況でした。出場したレースも思い描いていた展開ができませんでした。今までレースを通して試合勘や経験値をアップグレードしていたのだと改めて感じました。日本のレースシーンも若手が台頭してきて、上位の顔ぶれも変わってきました。自分も年齢が上がってきたので、ショート、ミドルレンジのレースにはそろそろ区切りをつけてロングレースに的を絞ることにしました。

――ロングディスタンスでの課題はどんなところですか?

小川 今までロングレースは失敗続きでした。怪我や痛みで走れないという経験はありませんが、内臓のトラブルが一番のネックでした。「自分はロングレースに向いてないのかな?」なんて思ったりもしました。でも、自分の身体でいろいろ実験をしていくうちに、長距離でも走れる目途が立ってきました。今まで悩んできた吐き気などのトラブルが、やりようによってはだいぶ改善できることが判ってきたのです。あとはモチベーションですが、やはりトレイルランニングをやる上で、ロングレースは憧れのカテゴリーなので、100マイルを本格的に走りたいという気持ちは根底にあったので、思い切って長い距離に舵を切ってやっていこうと決めたのです。

――内臓の問題はどんな原因で、どんな対策をして克服したのですか?

小川 いろいろ調べたけど、これ! という確実な原因は見つかりませんでした。でも複合的な要因がいくつかでてきたんです。その中で一番大きかったのは電解質と水分の摂り方です。今までは、オーバーペースによる発汗によって電解質不足になることが多かったです。僕のような陸上競技出身の選手は補給量が圧倒的に少ない人が多くて、食べたり飲んだりしなくても50キロ位ならそのまま押し切れちゃう。思い返すと今までもそういうレース展開を繰り返していました。だから、ミドルレンジはわりと得意でした。でも、結局それは補給を失敗しても走りきれてしまっただけだったんです。いろいろな方に相談して、気温、発汗量、体重減少と水分、電解質の摂取量の関係を、1年かけて最適化しました。そのおかげで、ふらふらしたり、吐き気がしたりすることが減ってきました。

――その他にはどんな原因があったのですか?

小川 食べ続け、飲み続けながら走るのが苦手でした。エナージージェルがダメだったんです。でも、固形物をたくさん背負って走るのは効率が良くありません。だから、僕はロングレースには向いていないと勝手に思い込んでいました。でも、吐き気をもよおさないような水分の取り方に気を付けていたら、食べ物も身体が受け付けるようになりました。ジェルは吐いてしまうというつらい記憶や苦手意識が強かったのですが、最近は10時間、20時間を動き続ける練習も、補給はジェルだけで済んでいます。そういう解決の糸口が見えてきたことで自信を持てるようになりました。

――電解質の問題を解決することで複数の課題がクリアになってきたということですね。

小川 もう一つ、大きかったことは、心拍数をしっかりコントロールできるようになったことです。僕は前半から強く入ってどこまで我慢できるかというレーススタイルだったんです。でも、やはりそれは70~80キロ位くらいまで。コンデションが良ければ押し切れたんですけど、100マイルはそういう世界じゃない。タイムチャートを自分で作って計画的に走らなくてはならない。最終的にレース後半から順位を上げて上位に入っていくというルーティーンがないと、ロングレースでは通用しないです。それを自分が納得していなかった。そこで、前半は遅く入っても後半に巻き返すような走り方を繰り返し練習しました。

――心拍数のところを具体的に教えてください。

小川 最大心拍数の5〜6割くらい。僕だったら心拍数135~140位の負荷だったら、20〜30時間は動けるということが検証できました。つまり、今までの僕のプレースタイルはダメに決まっている(笑)、と納得できたんです。僕は感覚派で、勝負所でアドレナリンが出て、とにかく走ってねじ伏せるみたいなことが性分なのですが、もう少し大人になります(笑)。

――前半は飛ばしたくて歯がゆいのを我慢する展開ですね。

小川 そうですね。今までの僕の走り方は、低速とか中速というのがなかったんです。速いか、歩くか、しかできなかった。歩きと走りの中間みたいな、もぞもぞした動きというのをひたすら練習をして、自分のものにしていきたいです。そうすることで年齢を重ねてもまだまだやれると思えてきました。僕は今年45歳なんですけど、50歳くらいまで確立したいですね。今年何かやってやろうというよりは、少し長めのスパンで身体を長距離向きに変えていく、今年はその最初の1年目です。

――その最初の大会がUTMF(ウルトラトレイル・マウントフジ)ということですね。

小川 はい。100マイルの実績というかベースを作りたい。トップを狙うというよりは、まずはしっかり走りきる1本にしたいです。今回のUTMFは参加者を見るとほんと全日本選手権というようなメンバーなんです。僕はプロだし成績を出さないといけないとか、前半からトップグループにいないとかっこ悪いとを考えがちなのですが、結局それでオーバーペースになったり、練習でやってないことをしてしまうという失敗につながる。そこをぐっと押さえて、豪華メンバーの中でも、まずは淡々と走って、ゴールをするという位置づけの1本として、UTMFを走ります。そして、今シーズンは9月の信越五岳トレイルランニングレースの100マイルをメインターゲットにしたいと思っています。

――UTMFと信越五岳の具体的な目標は?

小川 UTMFは順位で言ったら20番以内、タイムでいうと24~25時間くらいが目標です。レース前半は100番くらいにいて、後半で20番以内まで上げられるようなプランになると思います。残り60キロあたりから上げていきたいです。本命の信越五岳は、10番以内を目標にします。コースは走れるレイアウトになので。UTMFのリザルトをベースに、さらに試走などを通して、実際どれくらいの完走タイムを目指すのかをこれから計算しようと思っています。

疲れていてもオートマチックに走れる「SPEEDGOAT 5」

――今年挑戦するロングレースにはどのシューズを履く予定ですか?

小川 UTMFはHOKA(ホカ)の「SPEEDGOAT 5(スピードゴート 5)」を履く予定です。

――「SPEEDGOAT 5」の印象を教えてください。

小川 アッパーはしなやかなエンジニアードメッシュ。アップデートして包み込みむようなフィット感。ホールド力も上がっています。厚底シューズはカーブを走ると外側に足が動きやすのですが、アッパーがしっかりと足をホールドしてくれるのでシューズの中で横にずれる感覚が少なくなりました。踵は前モデルのような綺麗な丸型ではなく少し後ろに尖ったような形になり、パッドが薄くても踵がしっかり収まるようになりました。アキレス腱への圧迫感もありません。

――グリップはどうですか?

小川 アウトソールのコンパウンドが柔らかめで張り付きも良く、岩場でもしっかりグリップしてくれます。また、ラグに新しくギザギザがついたことで、グリップの良さはそのままに、土離れが良くなり、グリップ力を長くキープでき、泥がまとわりつくストレスも軽減されました。

――「SPEEDGOAT 5」の最大の魅力はなんですか?

小川 どれだけ練習しても、100マイルとなると長い距離なんですよね。それで、身体の限界が近くなって、動きが乱れてきたときに運動能力の低下を最小限に抑えてくれるところですね。シューズというよりはギアっていう感じがします。

――HOKAのシューズをうまく使いこなすコツはありますか?

小川 ソールが厚くて船底型のロッカー形状になっているHOKAの特性を生かす走り方ですね。その一つの方法として股関節・膝関節を中心に脚を回転させることで、足元が転がって抜けるようなイメージで走ることができます。

――具体的にはどんな動きですか?

小川 厚底だからといって、雑にドタドタ走ってしまうと脚が突っ張りすぎて、止める動きになり、消耗しやすいです。地面からの反発を脚の力を緩めながら受け止める感じです。自分から力を入れていくというよりは、受け身の動作で自然に曲がっていくことによって関節が緩んで脚がたたまれるので、次の足も出しやすくなります。頑張りすぎない走り方ですね。

――「SPEEDGOAT 5」は登りや下りではどんな利点がありますか?

小川 登りでは前傾して足を一歩前に出すだけで、ロッカー形状のおかげでオートマチックに母子球に荷重できるポイントに導いてくれます。そして、次の脚を伸ばしていけるポジションにすんなりと入ることができます。下りでは足裏全体で地面を捉えることができなかったとしても、踵の後ろ半分のどこで接地してもシューズが必ずフラットに戻してくれて、足裏全体で路面をキャッチしてグリップしてくれます。

――ユーザーにお勧めするならどんな人ですか?

小川 決してエリート用のシューズというわけではなく、トップ選手からエントリーユーザーまで誰でも履けるのが特徴だと思います。人を選ばない。とりあえず「SPEEDGOAT 5」を選べば間違いないです。

――ありがとうございました。

小川壮太(おがわそうた)
1977年生まれ。山梨県甲州市出身。プロトレイルランナー。陸上競技、スキー競技、山岳競技において国体で活躍。スカイランニング世界選手権および山岳スキー世界選手権の日本代表の経歴をもつ。

SPEEDGOAT 5
(スピードゴート 5)
・価格:¥20,900(税込)
・展開
Men’s 25.0–29.0, 30.0cm・2色・291g/27cm  ソールスペック  オフセット4mm/ヒール33mm/フォアフット29mm
Women’s 22.0–25.0cm ・1色・242g/24cm  ソールスペック オフセット4mm/ヒール31mm/フォアフット27mm
・テクノロジー:ミッドソールボリューム/メタロッカージオメトリー/アクティブフットフレーム


■レビュー記事はこちら ↓ ↓ ↓

【Review】HOKA「SPEEDGOAT 5(スピードゴート 5)」

■HOKA https://www.hoka.com/jp/

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