インプレスグループで鉄道・旅・歴史メディア事業を展開する株式会社天夢人は、2022年12月8日に、『山の今昔物語』(工藤隆雄・著)を刊行しました。
奇想天外、驚天動地!山は自然の神秘に満ち、かつ、人の世の縮図!まさに物語の宝庫!熟達の筆が冴える、著者が時間をかけて収集してきた山と人間の織りなす小宇宙のような物語たち。
霊鬼的な話、奇妙な話、滑稽な話などのテーマ別に、登山と山にまつわる逸話を『今昔物語』にならい86篇連ねます。
これまで、『新編 山のミステリー』『マタギ奇談』(ともに山と溪谷社)など、山と人との奇矯な関わりを見つめつづけてきた著者が長年あたためてきた、山を巡るさまざまな逸話が満載。
山の読みもの愛読者には、読み応えのある小篇集となっています。
カバー装画は、版画家・栗田政裕氏の味わいのある木口木版画作品「かんじき」です。
【内容】(抜粋)
第一章 霊鬼的な話
心霊写真は本当にあると思った話/死んだ人が見えるというご婦人の話/空中を歩く幽霊の話/山のなかで見かけた紅白の着物の女たちの話/死者の通り道がある話/若い女の幽霊を見た話/死んでもスキーを楽しむ幽霊の話/遭難して死んだ人が長蔵に挨拶に来た話/雪中行軍兵士の亡霊が八甲田山の避難小屋を覗いた話
第二章 奇妙な話
東日本大震災を予知した?ご婦人の話/山の神の声が聞こえ、負傷者を助けた山小屋の主人の話/息子の遭難場所をいい当てたイタコの話/自分が近々死ぬのが分かった男の話/池の精が現れた話/動物たちが山を守った話
第三章 遭難事故の話
遭難救助の大変な話/強力は弁当から死者まで運んだ話/小屋番の注意を聞かなかったために遭難した男の話/山小屋が忽然と消えた話/折れたピッケルの話/谷川岳で三十年ぶりに見つかった遭難遺体の話/谷川岳宙吊り遺体収容の話/愛知大学遭難事故の話
第四章 動物並びに昆虫の話
飼い犬のジョンが恩返しをした話/南アルプス北岳のライチョウの話/ニホンカモシカの厳しい子別れの話/縄張り争いに敗れたシカの行方の話/いたずらをするクマの話/昼寝の夢を破られ人間を襲ったクマの話/山にヒキガエルが登る話 (以下略)
第五章 悪い行ないの話
夜叉が現れた話/サクラソウを盗掘して別荘の庭をきれいにする話 (以下略)
第六章 世俗的な話
女小屋番がいる山小屋の話/退職後の生き方の話/恰好つけてもいつかはボロが出る話/素人がご婦人方を山に連れていって遭難した話/肝試しをして恥をかいた話 (以下略)
第七章 情けない話
山で自分の美学に溺れた男の話/山はその人の力量が分かってしまう場所という話/弟子を大切にしないカメラマンの話/吐いた暴言はいつか自分に戻ってくる話/一人よがりの行動をすると、怖い目に遭う話 (以下略)
第八章 滑稽な話
雪男の足跡の正体の話/山小屋が青白く光った話/山小屋のエセ常連の話/ヘビ玉の話/丹沢オバケ沢の話/幽霊の正体の話/幽霊が夜中に出るといわれるテント場に寝てみる話
第九章 知られざる謂れの話
達磨山から望んだ「秀麗富士」の話/五百円札の富士山の話/富士山の青木ヶ原樹海はヒメネズミが作ったという話/大菩薩連嶺の石丸峠の話/山のなかなのに海という地名がついた話 (以下略)
第十章 人情話
視覚障害者がダイヤモンド富士を見た話/成績よりも大切なことを教えた教師の話/山は調和が大切という話/丸い石は動かしてはいけないという話/たった一本の毒キノコで死にそうになった話/奥多摩湖畔の水仙人の話 (以下略)
【著者プロフィール】
工藤隆雄 くどう・たかお
1953年、青森市生まれ。大学卒業後、出版社勤務を経て、新聞・雑誌を舞台に執筆活動を展開。毎日児童小説優秀作品賞、盲導犬サーブ記念文学賞大賞等を受賞。著書に『定本 山のミステリー 異界としての山』『ひとり歩きの登山技術』『マタギに学ぶ登山技術』『マタギ奇談』『新編 山小屋主人の炉端話』(山と溪谷社)、『富士を見る山歩き』『続・富士を見る山歩き』『富士を見ながら登る山36』(小学館)、『山歩きのオキテ』『富士山のオキテ』(新潮社)などがある。
日本大学芸術学部文芸学科講師(ノンフィクション論等)。
山の今昔物語
・工藤隆雄 (著)
・出版社:天夢人
・仕様:四六判・ソフトカバー
・単行本:256ページ
・寸法: 18.8×12.8×1.75cm
・価格:1,760円(税込)
・発売日:2022年12月8日