厚底じゃないけどHOKAテイスト。攻める走りが楽しい軽量スピードシューズ
HOKA ONE ONE(ホカ オネオネ)から登場したニューモデル「ZINAL(ジナール」は、厚底中心のラインナップのHOKAからすると、ソールは薄めで重量は242g(27cm)と、軽量なスピードモデルです。ネーミングのZINALはスイスの山岳リゾートで、伝統的な山岳レース「Sierre-Zinal」が開催されることで知られています。
リサイクル素材を採用したアッパーはエンジニアードメッシュのシングルレイヤー。トウキャップは大きめでしっかりしているものの、サイドにオーバーレイによる補強はなく、内側から少し補強してある程度です。
タンもかなり薄く、目の荒いメッシュを採用しているため通気性は最高です。もちろん、HOKAの他のトレイルシューズ 同様にガセットタンも採用されています。
履き口のカラーは少し低めでパッドには十分なボリュームがあります。ヒールカウンターは内蔵されていないため、ヒールの後方への自由度は高くなっています。
スタックハイトはフォアフット18mm、ヒール22mm、ドロップ4mm。同ブランドの「TORRENT 2(トレント 2)」に近いスペックで、ヒールが1mm、ドロップが1mm低くなっています。ミッドソールはロードシューズの「Mach 4(マッハ 4)」と同じテクノロジーのPROFLY™️を採用。高いクッション性と反発力を両立しています。
ソールを見るとミッドフット周辺は、かなり大胆にミッドソールが露出しています。アウトソールはグリップに定評があるビブラムのメガグリップを採用。ラグ形状は細長い台形で高さは4mmです。さらにライトベースという新しい仕様を取り入れ、ラグの下の土台の部分の厚さを半分(約1mm)に抑えることで、軽量化を実現しました。
足を入れてみると、しなやかでピタリとフィットしてくれます。メッシュ自体は伸縮性が高いわけではありませんが、シングルレイヤーで補強もほとんどないので、ソックスのような履き心地です。ロードシューズのフィット感と比べても遜色がありません。
走ってみた印象は見た目通りのスピード系シューズですが、ミッドソールのクッションは思いのほかソフトでした。ただし、すぐに底を打つような柔らかさではなく、エネルギーリターンもしっかりとしているので、走りのテンポをつかみやすく感じました。特徴的なのはフォアフット部分のフレックスとトーションがしっかりしていて、逆にミッドフット部分がしなやかな点です。このため、フォアフットをメインに活用する走り方の方が安定感と推進力を感じられます。
トレイルでのグリップ性能は良好です。縦長のラグ形状と隙間を開けた配置のおかげで、着地時の抵抗は少ない割に、蹴り出し時やコーナーでの横方向へのグリップはしっかりしています。
ソールスペックが似ている「TORRENT 2」とも履き比べてみました。HOKA ONE ONEの中では軽快な「TORRENT 2」ですが、もうワンランク軽い走り心地です。ただし、足へのサポートは「TORRENT 2」の方がしっかりとしています。クッション性に関しては「TORRENT 2」の方が硬めでソールの剛性もあるので、荒れた路面状況なら「TORRENT 2」、比較的綺麗な路面なら「ZINAL」を履きたいと思いました。
ロードシューズと遜色のないフィット感、重量。そして、薄めながらクッション性と反発性を持ち合わせたミッドソールを持つ「ZINAL」は、トレイルを軽快に攻め込めるシューズ です。厚底を得意としていたHOKA ONE ONEにとって新しいユーザーを呼び込む一足と言えそうです。
ZINAL(ジナール)
・価格:¥20,900(税込)
・展開
Men’s(25.0cm–30.0cm・2色・242g/27cm)ソールスペック:オフセット4mm/ヒール22mm/フォアフット18mm
Women’s(22.0cm–25.0cm・2色・199g/24cm)ソールスペック:オフセット4mm/ヒール21mm/フォアフット17mm
・カラー
Men’s:Atlantis/Outer Space , Blazing Orange/Persimmon Orange
Women’s:Atlantis/Outer Space , Paradise Pink/Blazing Orange
・テクノロジー:Cushioned Midsole / Meta Rocker / Active Foot frame / PROFLY™️
■HOKA ONE ONE https://www.hoka.com/jp/