2023年2月より本格的にランニングタレント、モデルとして活動をスタートした中嶋友里さん。インスタグラムのフォロワーは5万1千人(2023年10月現在)を超え、X(Twitter)とYouTubeなどでも発信。最近は、ポットキャストにも力を入れているそう。人気の理由は一般ランナー目線での情報発信。ウルトラディスタンスが好きだという友里さんのランニングライフについてお伺いしました。
トム・ハンクスに憧れて
――ランニングを始めたのはいつごろですか?
中嶋 走りはじめたのは8年前。失恋をしたのがきっかけでした。時間を持て余していて、仕事以外に打ち込めることを探していたんです。映画や刺繍、ダーツ、辛いもの同好会(笑)などいろいろと挑戦しましたが、どれもハマりませんでした。そんなとき、映画『フォレスト・ガンプ 一期一会』でトム・ハンクスが走る姿がすごく印象的で、「これだ!」って思ったんです。次の日にランニングシューズを買って走り始めました。当時は一人でひたすら家の周りを走っているだけで月間走行距離は250kmを超えていました。
――インスタグラムでの発信を始めたのもそのころですか?
中嶋 はい。地元の友人もランニングをしていて、距離やタイムを記録して情報交換をしていました。ハッシュタグをつけていたのでランナーの方がフォローしてくれるようになりました。また、SNSを活用したイベントが増えた時期だったので、オンラインで繋がってオフのイベントに一緒に参加することもありました。当時「フルマラソン初出場にしてサブ4を目指す!」という目標を立てていて、練習の成果もあり無事にサブ4を達成。女性ランナーの発信という珍しさもあってか、徐々に同じようなタイムを目指す方からのフォローが増えていきました。
――そのころは、どのような投稿していたのですか?
中嶋 周りからラップタイムを載せることを進められていたので練習内容をタイムまで細かく掲載するようにしていました。これは今も意識しています。
――今では、ウルトラマラソンやトレイルの100mileに出場するなど、だいぶ距離が伸びていますね。
中嶋 家の周りを走りながら、サブ4チャレンジの前にハーフマラソンに出場。その時すでに、半年後のウルトラマラソンに勢いだけでエントリーしていました(笑)。その冬に「トレイルランニングというかっこいいスポーツがある」と友人に教えてもらい、装備やスタイルにひかれて、翌年に14kmのトレイルレースに出場しました。その後、インフルエンサーとしてお仕事をいただくことが増えてきたんです。招待ランナーとして完走に対するプレッシャーはありましたね。ただ、諦めない粘り強さで「私、絶対完走する」という根拠のない自信をもってレースに臨んでいました。そうしているうちに挑戦する距離が伸びて「長い距離の方が自分に合っているな」と思うようになりました。
ゆっくり長く走るのが好き
――ウルトラディスタンスの魅力はなんですか?
中嶋 ウルトラマラソンは、フルマラソンの延長のような感覚でたんたんと走り続けるところが好きです。キロ5分半で走り続けるのは自信ないけど、7分くらいなら止まらずに長く走り続けることができます。たとえば、江戸川河の川敷を走る「柴又100K」という大会は、「単調で景色も変わらないから苦行でしかないよ」と言われますが、私にとっては平らで、景色も開けていて、足元の心配をせずに100kmを走れる安全な大会です。レース中は走ることだけに集中できる感覚も好きです。
トレイルの100mileレースでは、朝方に3~4km林道や川沿いを走ることがよくありますが、疲れているからこそ走りきると決めています。でも、ただ走ればいいってわけじゃない。天候によって予測不可能な路面、激しいアップダウン、土手のような単調なトレイル。そういう場面を一つひとつクリアすることで100mileになる。そこにロマンを感じます。
――2022年、23年とウルトラトレイルマウントフジの「FUJI」(以下、「FUJI」)と「信越五岳トレイルランニングレース」(以下、「信越五岳」)という日本を代表する2つの100mileレースを完走していますね。トップアスリートではなく一般ランナーの範囲とはいえ、完走率40%の難関レース、信越五岳の100mileを2年連続で完走しているのは素晴らしいですね。100mileレースについて、SNSではどういうことを発信しているのですか?
中嶋 実は2021年に「FUJI」が中止になったので、その替わりに箱根から大手町を目指す自主100mileを走りました。自主ではありますが、これが初100mileでした。その後、2年で4本の100mileを走り切ることができました。SNSではレースに向けての練習内容はもちろん。ゴールするための工夫やモチベ―ションの維持について細かく掲載しています。走る練習以外にも、レースに向けて細かい準備や工夫、それとメンタル面を中心に自分がやってきてうまくいったことを共有して、参考にしてもらえればと思っています。
――信越五岳の感想を聞かせてください。
中嶋 2022年はFUJIのゴールタイムは36時間50分。信越五岳の制限時間は33時間なので単純計算で4時間以上縮めないと完走は難しい状況でした。そこから、エイドワークの見直し、林道の登りを走りきる走力、苦手な下りの克服を意識して練習を積みました。結果は制限時間17分前にゴール。完走はできたものの、前半にあせって攻めすぎてしまい、加えて補給を失敗して胃腸トラブルを抱え、後半は気力で走り切ったレース展開でした。完走率は40%だし、暑さで熱中症になる人も多かったので「よく完走したね」と言われました。フィニッシュした後は、「これはまぐれではないか」と思うくらい記憶がなかったです。
今年は、FUJIに向けての調整があまりうまくいかなかったこともあり、ゴールタイムは42時間58分。信越五岳の前に昨年ペーサーを務めてくれた先輩に、
「経験値ゼロと1はだいぶ違うから、自信をもっていきな」
と助言をもらいました。調子が上がらない時期が続いていたので、不安が残ってはいたのですが「絶対いける」と自分を鼓舞してスタートラインに立ちました。まずは落ち着いて100kmまで到達すること、翌朝まで余力を残すことを意識しました。結果、32時間49分でゴール。後半はギリギリまで耐えて、順位も上げながらフィニッシュできたのが良かったです。その替わり、ずっと関門時間に追われていました。常に関門の20~30分前あたりを進んでいたのでつらかったです。でも、そういうレース展開をすると決めていたので頑張れました。ペーサーと合流してからは楽しくて仕方なかったです。いつも一緒に練習をしている頼れる友人があうんの呼吸で引っ張ってくれたことで終始安心していられました。
HOKAは魔法のシューズ
――HOKA(ホカ)のトレイルシューズを初めて履いたときの感想を教えてください。
中嶋 初めて履いたのは2年前、普段の朝練で行く筑波山の5kmのコースで「SPEEDGOAT」を履きました。いつもは登りを歩いたり止まったりしていたのですが、なんと「SPEEDGOAT」を履いたら一気に駆け上がることができたんです。HOKAの魔法にかかった感覚で、興奮したのを覚えています。
――今年の信越五岳では「MAFATE SPEED 4(マファテ スピード 4)」を使用していましたが、選んだ理由を教えてください。
中嶋 前作の「MAFATE SPEED 3」を履いたときは、前足部が高くて荷重が後ろよりになる感覚がありました。「MAFATE SPEED 4」ではもう少し、バランスが変わって前よりに荷重できる感覚だったので、慣れて使いこなせるようになれば強力なグリップが武器になると確信して使用することにしました。多様な路面でサポートしてくれるし、苦手意識があるテクニカルな下りや岩場でもラギッドなラグがしっかりグリップしてくれたので安心でした。シューズの性能を活かして走る技術も少し向上したと思います。実は、後半は走れる林道が多いので「CHALLENGER 7(チャレンジャー 7)」を用意していたのですが、激しい雨で路面もドロドロだったので履き替えませんでした。
――「MAFATE SPEED 4」「CHALLENGER 7」「SPEEDGOAT 5」、それぞれの特徴を教えてください。
中嶋 「MAFATE SPEED 4」はいろいろな種類の路面を攻略しなければいけないときに最適な勝負シューズというイメージです。とくにグリップが強力なので私のように下りが苦手な人には安心感があります。「SPEEDGOAT 5」はクッションとグリップのバランスが良くて、下では疲れにくく、登りでは優しく後押ししてくれるオールラウンドなシューズ。「CHALLENGER 7」は軽量でロードシューズと同じ感覚で走れるので、林道やロードのパートが多いコースに最適だと思います。
――今後はどのようなチャレンジ、または活動をしていく予定ですか?
中嶋 活動拠点の筑波山を走りながら、腕試しに国内の100mileにチャレンジするというのが今のスタイルですが、これからもそれは続けていきます。そして、レースに出るだけではなく、トレイルを走る上での山の知識や技術も身につけたいと思っています。今年は「ハセツネCUP」の安全走行講習会に参加して地図読みやロープワークなどを学びました。普段のレースならコースにマーキングがありますが、何も印がない山で登山計画を作っての実技講習。一人で夜中に地図読みしながら山に入るという怖さとプレッシャーもありましたが、おかげで、だいぶ視野が広がりました。山を始めた頃からマナーや装備についての発信はしてきましたが、一歩先に目を向けた発信を今後も続けていきたいなと思います。
――ありがとうございました。
中嶋友里
ランニングモデル・タレント。8年前突如ランニングにハマり5kmの大会でレースデビュー。半年後にフルマラソン4時間以内に完走するサブ4を達成。その半年後には100kmウルトラマラソンにも挑戦。翌年から地元茨城県でトレイルランニングも開始する。タレント・モデル活動とともに、SNSやさまざまなメディアで「ランニングを日常に」をテーマに、走る楽しさやレースの模様を発信中。
・マラソンベスト:3時間42分13秒
・100kmベスト:12時間01分
・ULTRA-TRAIL Mt.FUJI 2022、2023年完走
・信越五岳トレイルランニングレース 100mile 2022、2023年完走
■Youtube 「ゆりちゃんねる -ランナー中嶋友里-」
https://www.youtube.com/@yuri12.29
■Instagram
https://www.instagram.com/yuri1229/
■X(Twitter):https://twitter.com/yuri1229
■Podcast 「ゆりらじ」:https://open.spotify.com/show/
4fb96LMFTEWmT0pn7LV7Ut?si=487473560d074e4f
MAFATE SPEED 4
(マファテ スピード 4)
・価格:¥27,500(税込)
・展開:Men’s 25.0–29.0, 30.0cm・295g/27cm、Women’s 22.0–25.0, 30.0cm・241g/24cm
・ソールスペック:Men’s ヒール33mm/フォアフット29mm オフセット4mm、Women’s ヒール31mm/フォアフット27mm オフセット4mm
・カラー:Men’s CERAMIC / DIVA BLUE、 Women’s CERAMIC / DIVA BLUE
■HOKAの記事一覧はこちら↓
■HOKA https://www.hoka.com/jp/