#5 「バネ」のメカニズムを発動せよ
まっすぐ立っている時、胴体は長方形ですが、台形のような形に柔軟に動きます。走る時は右の体側の長さと左の体側の長さを常に変えながら動き続けるわけです。
さらに、この台形には捻れが発生します。そうすると、離地のポイントが後方に移動するのです。たとえば、右足が後ろになった時は右の体側が伸びて、右胸が前に出るわけです。
そうすることで重心が前方に崩れ、スムーズなランニングにつながるわけですが、この台形の動きにはもうひとつ大きなメリットがあります。
それは、足部にそもそも備わっている「バネ」を、意識せずとも有効活用できるようになるということです。
しかし、体側が伸びると、なぜ「バネ」のメカニズムが発動するのでしょうか?
その理由は「大転子」の動きを追うことでハッキリします。
大転子は大腿骨の一部分です。まっすぐに立った状態で、腰の骨(腸骨)を触ってみましょう。そこから少し下にある、ポコっと出た骨が大転子です。
胴体が台形の動きになると、大転子は内側に移動します。これは、解剖学でいうと「股関節の外転運動」です。
そうすることで、足への荷重は内側に移動します。すると、母趾が背屈しながら離地できるようになり、結果「バネ」のメカニズムが発動するわけです。
離地のポイントが後方に移動するのと併せて、この「バネ」を生かした走りができれば、驚くほどの推進力を得ることができるはずです。
(『走りの常識を変える!フォームをリセットする! ゼロベースランニング』第二章より)
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#5 | 「バネ」のメカニズムを発動せよ |
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発行元:実業之日本社 判型:四六判、192ページ 定価:本体1300円+税 ISBN: 978-4-408-45615-7 発売日: 2016年12月2日 |
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■著者 高岡尚司:1978年生まれ。福岡県大牟田高校から帝京大学へ進学。関東学生陸上競技対抗選手権大会 などで活躍。ケガを経験し選手の道をあきらめ、トレーナー、鍼灸・あん摩マッサージ指圧師として活動していく中で行き着いたのが「ゼロベースランニング」。裸足感覚のシューズをつくれないかという想いから足袋メーカー・きねや足袋と「MUTEKI」を共同開発。2014年からベアフット(裸足)感覚を追求した「ALTRA」シューズのアンバサダーに就任。現在は、自身が提唱する「ゼロベースランニング」の普及と、オリンピックで活躍するランナーを育てるプロジェクトに参画し、コーチとしても活動している。2012湘南国際マラソン 2時間45分39秒(裸足フルマラソン日本最高)。http://www.takaokashoji.com/